不協都市の少し離れた薄暗い森にヴァンパイア達が住まう館があった。
私はそこに住んでいる4人、血賛四の従者。ここに住んでいる人私含めて、皆んなヴァンパイア。
血賛四は皆んな日光に弱い為、ヒカクシという日光を直接見ても浴びても大丈夫な布で出来た魔法の目隠しをして過ごしている。
中でも苦手な血賛四が1人いるが私はその苦手な方の従者にあたってしまった。カヤト様に毎日何言われるか、いつ暴力を振るわれるか、ビクビク震えながら生活している。
ディサイア・エルヴィアン「これで報告は以上だ。各自解散」
この方はディサイア・エルヴィアン様、この館の2代目当主でもある。
従者はそれぞれどこに入るのかはわからないけど4人のうちどこかに配属される。
エミル・ディスペンダ「ソフィアさん!」
彼はエミル・ディスペンダ君、彼も私と同じカヤト様の従者である。
ソフィア「どうしたの」
エミル「ちょっと良い?」
エミル君が連れて来てくれた場所は庭、話があるみたいだけど…どうしたんだろう。
エミル「ソフィアさんのお兄さんってこの人なんじゃないか?」
そう言ってエミル君はスマホのカメラで撮った写真を私に見せた。
数年前に離れ離れになってしまった兄の姿。
ソフィア「どこで…」
エミル「お、合ってたみたいで良かった…ソフィアさんから特徴を多く聞いてこの人なんじゃないかって思って撮っておいて正解だったぜ。…その〜撮った当時真夜中であまり行った事ない街中だったから分かんないんだよな…」
ソフィア「そ、そっか…ありがとうね、これでまだ生きてるって分かったよ」
エミル「もしかしたらもう一度あそこに行ったら居るかも」
ソフィア「それもそうかもね!あ……でもお兄ちゃんヴァンパイアハンターで私はヴァンパイア…こんな姿見ちゃったら……」
エミル「……た、確かにな…でもこっそり覗き見るぐらいならバレないだろ!多分…」
ソフィア「こっそりか…それなら…」
エミル「それと、奥にディサイア様居ただろ、ヴァンパイアハンターの話なんかしてたらさ…って思ってここを選んだんだ」
ソフィア「なるほどね」
「お主ら何をコソコソしとるんじゃ」
エミル「わわっ!?ミ、ミカン師匠!」
この方はミカン・フィリーム。血賛四の中でも最年長の女性ヴァンパイア。
エミル「ま、前教えて下さった宝石の種類、詳細について友達に伝授していたところです!」
ミカン「ほう、なるほどな!エミルがやっている事は非常に良い事じゃ!この先もインプット、アウトプットを心がけるようにな!」
エミル「は、はい!」
ミカン「それはそうと、散歩、付き合ってくれんか?」
ソフィア「良いですよ」
エミル「勿論!」
ミカン様は毎日朝の散歩は日課であり、欠かせないもの、好きな事の中にも入るらしい。
ミカン「おぉ〜!感謝するぞ!実は、カヤトに断られてしまっての〜」
ミカン様はカヤト様を散歩にいつも誘っている。
エミル「それは残念ですね」
ミカン「奴と一緒に散歩して談笑したいんじゃよ〜でも奴の性に合わんみたいでな。こればっかりは仕方のない事というのか…でもわしは諦めんぞ!!」
ソフィア「が、頑張って下さい」
そんなこんなでミカン様に付き合わされた後、エミル君と別れて従者専用の休憩所でのんびりしていると、
「ソフィアちゃん、ちょっといいかな?」
彼は、ジョセフ・グルーヴァス様。血賛四の1ヴァンパイアで、イケおじと呼ばれる部類に入る方で女性従者に人気が高い、みたい。
ジョセフ様は私が座っている向かい側の席に座り、話を持ちかけて来た。
ジョセフ「もうこの生活に慣れたかな?」
ソフィア「は、はい!毎日大変ですけど…」
ジョセフ「確か、ソフィアちゃんはカヤト君の随伴者さんだっけ?」
ソフィア「そう、ですね」
それぞれ、血賛四の中では従者の呼び名が違うのである。
ジョセフ「大変だよね、彼に使えるの。僕は即ギブアップするかn…」
ピカラ・ビスズ「ジョセフ様!ここにいらしたのですね!!探しましたよ!さぁ、あちらで談笑会の続きをしましょう!」
ジョセフ「おっと、すまないね、ソフィアちゃん、いや〜バレないと思ってたんだけどな…
じゃ、じゃあ頑張って!」
ジョセフ様はピカラさんに腕を引っ張られていった。相変わらずの人気っぷり…。
さて、私は明日の夜、エミル君と一緒に街を徘徊する。こっそりとね。不安だらけだけど誰かと一緒なら私は少し心強いかな。血賛四にバレたら何されるだろうな………っていつもマイナスな事を考えてしまうのをやめたいな…
続く
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