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第二セット。
読めないプレースタイルの条善寺。
蘭お得意のリードブロックの成果か、24-25。あと一点で勝利に大手をかける。
そしてここに来て叶のサーブ。
叶のサーブをこの勝つか負けるかで使いはできない。
そしてメンバーチェンジでコートに舞い降りたのは島道蘭の片割れ。
島道知夏だった。
ずっと蘭の背中を追っていた知夏が今、同じフィールドで戦ってる。
「 知夏、ナイッサー! 」
「 ナイスサーブ 」
知夏が息をすぅっと吸う。
場の空気が変わるようなジャンプフローターサーブ。
そして決まる。
「 サービスエース!!!!! 」
叶は喜びのあまり立ち上がり叫ぶ。
烏野高校。インターハイ。宮城県予選突破。
部員の皆と別れて歩いて島道家の2人が帰っている時、知夏が話し始める。
「 今日の蘭、かっこよかったよ!サーブのとこもだけどリードブロック!!ずっと死守って感じで! 」
「 そんなこと言ったら知夏だって。ジャンフロあんなに上手くなってたんだね 」
「 びっくりしたでしょ 」
くすっと笑ってくせっ毛を揺らす。
「 そりゃ…あ、あと途中で大声出すのやめてね。恥かしいから 」
「 でもやる気はでたでしょ? 」
「 まーね 」
くすっと笑ってくせのないさらさらした髪を揺らす。
「 蘭、今日はたい焼き買って帰ろっか 」
「 うん 」
今日のMVPの2人が沢山の戦利品と共に島道家の門を潜る。
「「 あ 」」
早瀬家の最寄り駅。
飛和と十磨が改札でばったり出会う。
「 インハイ、おつかれ 」
「 うん。おつかれ 」
2人ともつかれているのだろう。
いつもなら買い食いでもする所だがそそくさと家に帰る。
「 勝ったの? 」
十磨が飛和に問う。
「 当たり前 」
「 ふーん。じゃあ次俺らとだね 」
インターハイ宮城予選。準決勝。
それは青葉城西高校が相手だった。
「 …この前の練習試合勝ったし 」
「 それ俺、フルで出てないし!! 」
ちぇっと舌打ち交じりで話す。
「 ま、どっちにしろ勝つし 」
「 あっそ 」
生意気な弟。
でもその弟の兄はなんだかムカつくけれど、どこか嬉しかった。
「 …はやく追いついて来い 」
兄は小さく呟く。
「 あ?なんか言った? 」
「 なーんも。あぁー腹へった。 」
今日もきっと喧嘩ばっかりだろう。
明日は兄弟じゃなく選手としてネットを挟む2人が早瀬家の門を潜る。