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MAKO
『あはは・・・もう頑張れなくなっちゃった』
そう言った主は手に封筒を握りしめていた。
主はハナマルに力なく笑って封筒を差し出したので、ハナマルは急いで封を開けた。
「診断書・・・重度の鬱・・・」
『ごめんね、こんなんで・・・何も出来ない主で、役立たずでごめんなさい・・・』
ポロポロと涙を流しながら主は誰にともなく謝り続けた。
数カ月経っても主が回復する様子はなかった。
主は毎日ベッドで横になっている。
毎日半日以上眠っているのにもかかわらず、いつも眠たそうで食欲もなく、あんなに好きだった本にも手を伸ばさない。
『ハナマル・・・?』
しかし、たまにハナマルや他の執事たちと気まぐれに会話をすることがある。
今日は会話したい気分だったらしく、食事を運んできたハナマルに声を掛けていた。
『ハナマル・・・もう私疲れた・・・』
「・・・そうかい?もう寝るか?」
『ううん、違うの・・・皆にこんなに良くしてもらってるのに、私何も出来てない。
こんな役立たずの穀潰しなんか要らないじゃない?
主様にもっとふさわしい人がいるのに!
どうして私主様なの?主様だからこんなに優しくしてくれてるのに、主様の仕事できてないんだよ!?
ねぇ、もう嫌・・・このままずっと寝てるだけならもう、死んじゃいたいよ!
ハナマル・・・もう死にたいの・・・』
主は泣きながらハナマルを呼び続ける。
このように死にたい死にたいと繰り返す主を見ていられなくて、執事たちは遠巻きに主を見守っていた。
しかし、ハナマルだけはいつもと変わらない調子で食事を運び、主の希死念慮を延々と聞き続けた。
『もう死にたいよ・・・死にたい・・・
生きているのがヤだよぉ・・・』
唯一側にいてくれるハナマルに縋って泣き続ける主を見ていて、ハナマルもどこかが壊れてしまったのかも知れない。
「じゃあ、一緒に死のうか。主様」
ハナマルは主に心中を提案した。
主はその日から部屋から出て屋敷の中と庭を散歩するようになった。
丁寧にすべての部屋を見て回り、執事たちとじっくりと話した。
そして、主は執事達にプレゼントを買ってきて全員に渡したりもした。
きっとこのまま元気になってくれるだろうとハナマルを除いて全員が信じていた。
「本当に良いんだな?主様?」
『うん』
主とハナマルは、たまには遠くまで散歩に行こうと森に来ていた。
森の中にある大地の裂け目・・・大きな崖の前に2人で立つ。
『・・・っハナマル、ごめんね・・・
ハナマルは協会の子達を見守らなきゃいけなかったのに・・・』
主はハナマルの胸で泣き出した。
「良いんだよ、主様が俺と死にたいって言ってくれるなら、それが最優先だからな」
ハナマルはそっと主の頭を撫でながらそう囁く。
「主様、なんにも怖いことはないからな?
ハナマル様の腕の中で俺のことだけ感じてれば良い」
『・・・うん』
ハナマルは主をそのまま抱き上げて頭を肩に埋めさせた。
「さ、行こうか。主様。
・・・ユーハンちゃんに見つかったら俺だけ殺されちまうからな」
『ふふっ・・・そうだね・・・
一緒に行こうね、ハナマル』
主がハナマルをギュッと抱きしめ返したのを合図に、ハナマルは崖に躍り出た。
2人は耳元に感じるつむじ風とお互いの体温だけを感じながら目を閉じたのだった。
コメント
1件
うわっ…これ、めっちゃ重い…。でも最後まで一気に読んじゃったわ。 鬱で死にたいって繰り返す主に「一緒に死のうか」って提案したハナマルの冷静さ、逆に怖いし切ない。それから主が急に元気になってみんなにプレゼント配るのも、もうお別れ準備って分かってて読むと胸が痛んだ。飛び降りる直前の「ユーハンちゃんに見つかったら♡♡♡れる」って軽口がまたグッときたな…。2人きりで心中するエンド、話数は1話だけどこれで完結って感じよね。MAKOさん、重いテーマなのに丁寧に書いててすごいわ…。