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<凌太>



「凌太あのね。Ryoからプレゼントが届いていたんだけど」


4月に入籍して引っ越しをした。

そして、庭の紫陽花も鮮やかな変化をさせている6月、控室でワンショルダーの純白のドレスを身に纏った瞳が四角い包みを持っていた。


「亮二から?」


昨年の騒動からどこに行ったのかわかっていなかった亮二が披露宴会場に荷物を送ってきたのだ。

生物学上の父親は今日の披露宴に来ているが、もちろん親族の席になる。

その父が亮二に教えたんだろうか?


ちょっと開けてみるといって包みを解くと額装されたイラストが出てきた。


白のタキシードを着た虎と純白のドレスを着た白猫のイラストで額縁には左上と右下に薔薇の造花の装飾が施されていた。

「可愛い。虎ってやっぱり凌太だったんだ。」


「虎?」


「うん、Ryoのイラストで・・・あっ、やっぱりいいや」


「別に今更、傷つくこともないし。途中でやめられると気になる」


「だよね・・・実は」そう言って見せてくれたのはウサギの母と虎の父親と一緒に並んでいる子うさぎの前で虎の子が泣いている。そして、窓にはハイエナがのぞいていた。


それは真実の姿だった。


「だから虎は凌太だったんだって思ったの。でも、イラストはとても素敵だし飾りたい」


瞳は亮二のイラストが好きなんだろう。

喜ぶ瞳に水を差したくないから「もちろんいいよ。他の物と紛れないように秘書に別に運んでおいてもらうよ」と言ってイラストを持って控室を出ると秘書にそのイラストを渡した。


「左上の薔薇の中から機械を取り出して、元父親へ渡す引出物の中に入れておいてくれ」


そう言ってイラストを引き渡した。



カメラでは無かったから、多分発信機だろう。



「まったく、素敵なプレゼントだ」


ため息をついてから披露宴会場に向かった。

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