──────ノイズ視点──────
突然の裁判。この場を《正義》という名のもとに支配する菓子。それを村民たちは止めるわけでもなく、ただ、静かに見守る。俺も、そのひとりだ。
助ける意味を見いだせない。それもある。しかし、違う。俺は茶子が居なくなった世界線の菓子など知らないからだ。それに、植物を操れもする。今歯向かったら何をされるかわかったものでは無い。俺には勇気はあるが、馬鹿では無いのだ。
──────トプンッ
そんな、物体が液体から出てきたかのような音がする。それと同時に
バチバチッ
レイラの魔法を消した時のと同じような音が裁判所に轟く。それは、誰かが裁判所の中で攻撃を行うところだったことを表す。
「誰だッッ!!!」
菓子の冷たくも、よく通った声が再び裁判所の中を覆う。
「汝、誰を前にして正義を騙る?」
俺は、その光景を見て、地面がまるで水面にでもなったのかと錯覚する。何故ならば地面は水紋を描いているのだから。しかも、その水紋の中心から角を持つものが現れたのだから。
次の瞬間大きな水音と共に人影が現れる。それは空中でピタリと止まると、空を蹴り、思いっきり菓子の方向へと勢いをつけて飛ぶ。
「私、言ったわよ?裁判所では暴力は禁止、と。」
菓子はそいつの蹴り技を花1つで受け流す。花?とは思ったがこれが茶子の能力を継承したからだ、と直ぐに納得できるが、花…。花?
「こんなもの裁判ではない。独裁国家の縮小版よ。」
その蹴り技を繰り出したものが裁判所の地面に足をつけようとする──────と同時に植物がそれを拘束する。足、胴体、腕、首と巻きついていく。
パァァァァァンッッ
それ───ダークが黒い液体となって弾ける。残されたのは拘束する物体を失った植物と黒い液体だけ。
俺達も加勢しなければ、と思うができない。何故ならば法律があるから。今、この場に現れた理由がわかる。俺達が加勢できず、自分は罰を受けるかもしれないが、逃げることが出来るからだろう。
──────不意に菓子の後ろで黒い影を見る。そう、それは紛れもなくダークであろう。死角からの一撃。──────に、なるはずだった。
「裁判所の法律を何回破れば気が済むのかしら?」
間一髪なのか、菓子の後ろにはバカでかいじゅうが生成されており、ダークの死角からの一撃を防いだのだ。しかも、またまた空中から銃が発生し、ダークに向かって発砲する。
パァァァァァンッッ
銃がダークの脳髄を撃ち抜く。赤い血は流れず、代わりにあるのは黒い液体だけ。頭を撃ち抜かれたそれは地面に落ち、まるで血痕のように黒い液体を地面に撒き散らす。
おかしい。普通、人外は頭を撃ち抜かれたくらいじゃすぐに再生する。心臓が停止するか、寿命が尽きるまで生きることが出来る。わざわざ黒い液体として残す意味はなんなのか。
しかし、狙いは確実で菓子であることが分かる。何故ならばこちら側に一切干渉してこないからだ。
「あははッッw私を楽しませてね?」
ダークは狂気的な笑いを浮かべながら怪しげに左目を光らせる。その瞳が光った瞬間おぞましい記憶が俺の意思と関係なしに溢れかえる。
菓子は人殺し。村民の命を奪おうとした。森を破壊しようとした。お茶会を再開不可能にした。めめ村を裏切った。裏切り者。
そんな菓子に関する記憶がマイナスなもので埋まる。菓子のいい所が分からなくなる。これが正しい記憶のような気もする。つまり菓子は裏切り者…?そんな疑問を持つ。思考が上手く回らない。何か、記憶を黒く塗りつぶされたかのような。分からない。分からない。
《武器を取らなければ》
不意に、そう思う。なんでか、そんな疑問を埋めるように裏切り者の抹殺のため、と直ぐに思い浮かぶ。なるほど。確かに裏切り者は早めに処罰しておいた方が良いだろう。合理的な判断だ。
バチンッ
脳内に雷が落ちたかのような感覚とともに脳内に
《勇者》
の2文字が浮かぶ。と、同時に先程まで菓子のマイナスなイメージしか無かったものが次々に良いものへと変わっていく。
勇者は味方が催眠されようとも、それを助けなければならない。世界の法則かのようなもの言いにあまりいい気がしない。だが、この能力のおかげで助かったのは事実だった。喜ぶべきか否か。…まあ、喜ぶ一択なのだろうが。
1つ、訂正があった。先程脳内で思った武器を取らなければ、それは正しい。現に、俺は武器を取ろうと思っている。しかし、それは菓子へでは無い。めめ村に仇なすダークに、である。
そう強い決意を抱けば俺の心にまとわりついていた闇が剥がれ落ち、俺の意識は海の底から海上へと急上昇する感覚を味わう。
目が覚めれば目を閉じたあとと、だいぶ光景が異なっていた。武器を持った村民たちが仮面をつけたまま、菓子に向かって武器を振るっていた。ブツブツとつぶやくような声で同じ言葉を繰り返し唱える。
「裏切り者を処分しなければ」
──────と。
ここで切ります!!疲れた…今回1回データ飛んでるんですよね…なのでこれ書くの2回目です。疲れた…
おつはる!
コメント
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おつかれ〜