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情報・・めぐる君は21歳です。神社の神官として働いているので神を信じています。
めぐる重い、なんちゃってwww
「ゆき、結婚しよう!」
メグは唐突にそう言った。
「へ?」
僕の両手を掴む手に力を入れ、メグはまたこう言った。
「結婚するぞと言っているんだ」
「え、、僕?」
「ああ」
「僕男だし、、」
「性別は関係なかろう」
メグは間も開けず言い返した。
まて、どうゆう事だ?結婚、、?
「、誰と?」
「俺と」
俺、?
「、、なんで?」
「好きだからだ」
「え、、?」
知らなかった、というか初めて聞いた。
「む、無理なんじゃ、」
「ゆきは確か今年で17だろ?来年には結婚できるじゃないか」
「そうゆう事じゃなくて、」
「何が問題なんだ?」
何がって、、、。僕の意見はどうなるのだろう。
「結婚って、付き合ってからするものじゃ、」
「そうか。なら、結婚を前提に付き合ってくれ」
メグは、真剣な顔をしていた。、この人、本気だ。
メグは僕の返事を待っているようだった。
僕は数秒間をあけ、口を開いた。
「ごめん、それはできない」
ズキっと、胸の奥が痛む気がした。
「何故だ、俺の事が嫌いなのか?」
「違う、その、事情があって」
「事情?俺の他に好きな奴がいるのか?」
あれ、なんかおかしくなってないか、
「いないけど、」
「なら、良いじゃないか」
「そうじゃなくて、僕、ここに来れるのは今年で最後だから」
「ならば俺の家に住み込みで働けばいいだろう」
多分、大学受験とか何かだと解釈されたのだろう。
話が噛み合わない。
「ごめん、それもできない」
「何故だ」
「…」
僕は軽く微笑んで見せた。
メグは何故振られたのか分からない、と言う様子だった。振られたという事に気づいているのかは分からないが。
風が吹き、ザアザアと木々が揺れる。神社は木々に覆われていた。その木々は強い太陽の日差しから僕らを守ってくれていた。
「、、いつから、?その、そう思うようになったのは」
僕は聞いてみた。
「初めて会った時だ。一目惚れだった」
一目惚れって本当にあるものだったのか。
「初めて君を見た時、俺はびっくりしたよ。こんなに綺麗な人が居たなんて」
っ…
「そして運命だと思った。1年たってようやく気持ちの整理がついた。あったら言うって決めていたんだ」
あったら言うって、普通こんな急に言うだろうか。会った瞬間言ってたし。
「好きだ」
「、、うん」
なんか無性に恥ずかしくなってきた。僕は両手で顔を覆った。
「なんだ?照れているのか?可愛いな」
「…」
、、ダメだこの人、、。
「何でこんな、、前はもっとムスッとしてたじゃん、、」
「あぁ、あれはただ緊張してただけだ」
メグに会ったのは、僕が散歩をしていた時だった。道に迷っていた所に声を掛けてくれたのだ。でも、その時はびっくりした。メグは紺色の袴を着ていて刀を持っていたからだ。
「君、名前は」
「及川悠己です」
「、、そうか。敬語は使わなくていい。俺はめぐ、、廻(めぐる)」だ。」
ーーと言った感じだ。メグと呼んでいるのなんとなくだ。
それから僕とメグはよく話すようになった。
メグは僕にいろんな話をしてくれた。だから僕もメグに沢山話をしていた。
「まあ、結婚の話はゆきが帰る前に答えてくれればそれで良い」
「、、分かった。」
帰る前、か。短か。はっきり言えない僕が悪い。
「改めてだが、久しぶりだな。会えて嬉しい」
「久しぶり」
それから僕とメグはお互いの近況報告?などをした。やっぱりメグは面白い。一緒に居ると気が楽な気がした。
告白されたはずなのに、こんなに軽いのは何故なのだろうか。
話もひと段落つき、なんとなく森の奥を見てみるた。すると、キツネがネズミを咥えて歩いている姿が見えた。
、あのネズミはもう死んでいるのだろう。
「メグはさ、僕が死んだらどう思う?」
僕はそのキツネに視線を落としたまま問いかけた。
「俺は非現実的な事は考えない」
「でも、あるかもしれないじゃん。不慮の事故とか、絶対に治せない病気、とか」
僕は淡々と、そう言った。
「、、もしそんな事があったら俺は自分の不甲斐なさを呪うよ。それに、ゆきが死ぬなんて考えられない」
「、、そっか」
「でも俺は、絶対にゆきを死なせたりしない。事故なら、傍に居れば防げる。病気なら、きっと何か手があるはずだ」
死なせたりしない、か。僕が助かる方法なんてあるはずないのに。
僕は完全に諦め切っていた。もう無理だって、駄目だって、未来はないって思込んでいた。
きっとメグが僕の立場にいれば、諦めずに生きる方法を探していただろう。でも僕は、何もせずにただ時が過ぎるのを待っていた。死ぬことを受け入れていた。当然だと思ってしまっていた。
死に、恐怖さえ感じていなかった。
「メグ、ごめん」
「何故謝る」
「メグの気持ちには答えられない」
「…分かった」
「え」
メグは案外すんなりと受け入れた。
「だが、訳を聞かせてくれ」
「…」
やっぱりそう来るか。
辺りはオレンジ色に染っていた。いつもならもう帰る時間だ。
メグと目があった。
「さっきも言ったけど、ここに居られるのは今回が、最後だから」
僕は静かにそう言った。
「もう二度と来ないと言っているような言い方だな、」
「本当にそうだから」
風が前髪を揺らした。
「、、何故だ」
「知らない方が良い」
「教えてくれ」
メグは真剣な顔つきで僕を見ていた。
でも僕は何も言わず、首を振った。
「ゆき、?」
「…」
「なら、俺から会いに行く」
「え?」
「金はまあまああるし、神社は父に預ける」
「…」
僕は黙り込んでしまった。
「、、ゆきに会えなくなるのは嫌だ」
「…」
僕は何も言えなかった。嫌だと言われても、どうしようもないのだ。会いに来てくれたって、結局はお別れをするだけなのに。
「俺の傍に居てくれ、俺は、来年も、再来年も、ゆきに会うって決めていた」
そんな、勝手に。
来年には、僕は死んでしまうのに。もう今年で最後なのに。
「君が帰ってしまってからも、俺はずっとゆきのことを考えていた。今日がずっと、待ち遠しかった」
それ以上言わないでくれ。そう言われても、僕はどうする事もできないから。
、、失敗だったかもしれない。会いになんて来なければ、メグにこんな思いさせる事なんてなかったのに。
何で思いつかなかったんだろう。
辺りは暗くなり始めていた。
「ゆき、俺の気持ちは変わらない。だから、振り向いてくれるまで何度だって言う」
「……」
「何を隠してるんだ。教えてくれ、俺もゆきの力になりたい」
「…無理だ」
「無理なんかじゃない」
「…何も知らないくせに」
「そう言えるのは知らないからだ。」
「…」
「教えてくれ、どんな事だって受け入れる」
、メグには無理だろう。
だけど、、言ったら、助けてくれるのだろうか。
「、、教えてくれたら、すごい物をくれてやろう」
「…いらな」
「なんだと、本当にすごいんだぞ」
「嘘だ」
「なっ、あれは神様のご利益が………」
メグは必死に弁明した。その姿がなんだか可笑しくて、僕は笑ってしまった。