彰人side
俺ってこんな事する人間だったか?勢いに任せて司センパイを連れ出すとか有り得ねぇ…。引かれたか?
後ろを向くと司センパイは泣いていた。俺はびっくりしてなんて声をかけていいのか分からなかった。
「司先輩。大丈夫ですか?落ち着いてください。ここには神代先輩も草薙もいません。」
冬弥がなだめてる。俺は何も言えなかった。言わなかった。司センパイが落ち着いたら…どうしようか。
「…ありがとう、あきと、とうや」
こんな弱々しい司センパイの声を聞くのは初めてだった。
「大丈夫です。当然のことをしたまでです。」
「泣いてる奴を放っておくなんて出来ないしな。」
「そうか。冬弥も彰人も優しいな。」
少し落ち着いたようだがなんだかビクビクしてる。もしかして神代センパイと草薙さんに見つかるのを恐れてるのか?
「司センパイ。とりあえず此処じゃ落ち着かないからカフェにでも行きましょうか。」
「そうだな。此処だと神代先輩達に見つかるかもしれないからな。」
「…そうだな。すまないな。彰人、冬弥。」
「別に謝んなくていいっすよ。」
「そうか…。」
司センパイは少し微笑んだ。
なんだか嬉しかった。
「それじゃあ行きましょうか。」
廊下を歩き始めると
「あっれ〜?弟くんに冬弥くん?と…司先輩?!」
「あ、ここにいたの〜?もう!遅いから心配したんだよ…って、天馬先輩?!」
「あぁ、暁山に白石か。どうしたんだ?」
「どうしたんだじゃないんだよ〜!冬弥!探してたんだよ〜!瑞希と一緒に!」
「うんうん。見つかってよかったよかった…じゃなくて!司先輩、どうしたのそんな暗い顔して?」
司センパイは何も喋らない。震えている?
「えっと…。あぁ、ごめん!邪魔しちゃった?」
気まづい空気が流れる空間に耐えきれず杏が声を上げた。
「はっ、話さなくて大丈夫だよ〜。誰にも話したくないことあるしね…!」
すかさず暁山が声をあげる。
なんなんだこの茶番…。
俺が面食らっていたら
「彰人…。」
と司センパイの声が聞こえた。凄いちっさい声。冬弥にも聞こえないくらいちっさい声。
「どうしたんですか。司センパイ。」
「あいつらには、話してもいいかもしれない。信頼できるから。」
たどたどしく喋っている司センパイを見て俺はとても不安になった。このまま消えてしまうかもしれない。そんな考えが脳裏に走った。
「おい。彰人…?彰人…?」
「え、あ、すみません。え?それ俺が言うんですか?」
「そうだが?他に何があるんだ?」
普通だったら言い返すと思う。でもなんだか言い返せない雰囲気だった。
「おい、暁山に杏。お前らちょっと着いてこい。司センパイが話したいことがあるらしいぞ。」
「「え?」」
「も、もちろん!私たちにできることなら力になるよ!」
「うん。杏の言う通り。ボクも力になる。」
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乁(°ω°`乁)マジ神✧*。
続き楽しみにしてます。