「俺が幸せにする」
追い出されてから数時間が経ち、現在時刻23時30分。家を追い出されたのは15時。8時間30分が経過していた。そして突然、ある男の人に声をかけられた。
???)お前、こんな遅くに何してるんだ?
らん)…別に。誰ですか。
???)…俺の名前は
いるま)いるまだ。お前は?
らん)…らんです。
いるま)らんか…らんって呼ぶから、いるまって呼んで
いるま)…らんはなんでこんなところにいるんだ?
らん)母さんに家追い出された…から?
いるま)帰る家、ないってことか…
らん)うん。別にどうでもいいけどね。死ねるし。
いるま)そんなこと言うなって(笑)俺の家、くるか?
らん)…どうせいるまも最後には突き放すんだ。
いるま)突き放さないから、な?
らん)最初はみんなそう言うよ?助けてやるって。でもそれは嘘なんだよ?結局、助けて貰えない。
らん)…1週間だけ、いい?
いるま)じゃあ、1週間だけ俺の家に住んで、楽しかったら継続、つまんなかったら家から出ていく、これでどうだ?
らん)…いいよ
いるま)1週間は、家族だと思って接してくれていいから、気持ち、全部ぶつけてこいよ?
らん)…いいの?俺わがままだから…いっぱいお願いするよ?抱きしめて欲しいとか。愛して欲しいとか。殴らないで欲しいとか。全部受け止めてくれんの?
いるま)ギュッ…全部受け止める。安心しろ。
らん)…グスッ…俺、抱きしめてもらったの初めてグスッ
いるま)そっか…俺がいっぱい抱きしめてやるから。
らん)本当に…?
いるま)本当だ。らんのことは、俺が幸せにする。
らん)信じられない…
いるま)今はそれで大丈夫…サスサス
らん)…グスッ
俺はそんな言葉に泣いてしまったが、いるまは何も言わずに、背中をさすってくれていた。それに、抱きしめてくれた。父さんが死んでから、愛されたことのなかった俺は、「愛してもらえる」ということが、とても嬉しかった。いるまは、俺に幸せをくれるらしい。だからちょっと信じてみようとおもう。嫌になったら突き放せばいい。思いを全部ぶつければいい。きっといるまは信じてくれる。受け入れてくれる。裏切られたら、それはそれでいいと思ってしまった。思ってしまったものはしょうがない。いるまについて行くしかないんだ。泣き止んでちょっと経ってから、2人で歩いて、いるまの家に向かった。家に向かっている間は、いるまがずっと手を繋いでくれた。暖かい。いるまの手は優しい。怖くない。いるまの手が俺は好きだ。
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