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第1話 同窓会

焼肉屋のドアを開けた瞬間、むわっとした煙と、懐かしい声が一気に押し寄せてきた。


「うわ、嶋村しまむらちゃん久しぶりー!」

「背伸びた?」

「変わんねぇな、お前」


中学3年生の時のクラス。集まったのは20人くらい。思ったより人がいて、店の一角がまるごと占領されている。


わたしは女子の机に流れるように座った。男子と女子で、なんとなく分かれるのは昔から変わらない。


視線を上げなくても、どこにいるか分かった。


森田もりたくんは、やっぱり中心だった。


笑い声が一番大きくて、身振りも大きくて、相変わらずよくボケて、周りが自然と集まっていく。中学の頃と何も変わってないみたいに、かっこよくて、楽しそうで、眩しい。


――隣の席だった。


中三のとき、席が隣だった。でも、実際に話した記憶はほとんどない。プリントを回すときに「ありがとう」って言われるとか、机を動かすときに軽く目が合うとか、そのくらい。


わたしはただ、前の席や後ろの席の男子と楽しそうに話す森田くんを、横目で眺めていただけだった。笑うたびに肩が揺れるのも、身振り手振りが大きいところも、全部、声をかけられないまま、隣の席から見ていた。


それなのに、その光景だけは、やけに鮮明に残っている。


(……森田くんの笑い方は、あの時から変わっていない)


そう思った途端、女子たちの会話で現実に引き戻される。


「ねえ、小林ちゃんの彼氏ってどんな人?」

「えー!1年も続いてるの!?すごっ」


女子の机は、今の恋の話で盛り上がっている。


わたしは、相槌を打ちながら、ほとんど聞き役だった。彼氏はいない。話せることなんて何もない。


それでも、会話の合間に、何度も視線だけは勝手に森田くんを追ってしまう。


笑ってる顔。誰かの話にちゃんと頷いてる横顔。ふざけてるくせに、さりげなく飲み物を回してるところ。


犬の話をしてたとき、写真を見せながら嬉しそうに笑ってた顔まで、なぜかはっきり思い出した。


忘れたつもりでいたのに。


高校を卒業したら、みんな地元を離れていく。

この同窓会は、その前の、最後の集まり。


もう、会えなくなるかもしれない。


そう思った瞬間、胸の奥がぎゅっと縮んだ。


見せてよ、あの笑顔

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