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森は不気味なほど静かだった。鳥のさえずりも、風の音さえもない。祠は苔むした石でできており、異様に古びた雰囲気を漂わせていた。祠の前には小さな木製の人形が供えられ、赤い紐で縛られていた。美咲はそれが気味悪いと感じつつも、写真を撮り、ノートにスケッチを始めた。
しかし、祠の周囲を調べているうちに、彼女は苛立ちを覚えた。「こんなボロボロの石、ただのゴミじゃない?」と呟き、つい出来心で祠の石を蹴ってみた。すると、祠の屋根部分が崩れ、地面に落ちた。中から黒ずんだ骨のようなものと、赤い液体が流れ出した。美咲は一瞬怯んだが、「ただの古い供物でしょ」と自分を納得させ、祠をさらに壊してしまった。石をどかし、供物の木偶を踏み潰し、赤い紐をちぎった。
その瞬間、森の空気が変わった。まるで何かが目に見えない力で彼女を睨んでいるような感覚。背筋に冷たいものが走り、慌ててその場を離れた。