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私ってなんだろう

エラで呼吸しない、魚類じゃない

幼体と成体で呼吸が変わらない、両生類じゃない

硬い鱗はない、爬虫類じゃない

空は飛べない、鳥類じゃない

肺で呼吸するし 、二足歩行だし、背骨もある 何より胎生だ

━━━哺乳類?人間?

でも私は人間じゃないって言われてきた、じゃあ人間じゃない?

私ってなんだろう



「気持ち悪い、話しかけないで」

「どっかいけ、近づいてくんな」

「お前がいると空気が悪い」

私に投げかけられた言葉たち

みんな声揃えて、ゴミを見るような目で

「お前は人間じゃない、人間以下だ」

1番言われた言葉

私は人間じゃなく、その下の物らしい

じゃあ私ってなに?


そんなことを考えてたら朝になった

時計は6:32を示す

私は数字を示さない、時計じゃない


サッと身支度を終え、家を出る

私は一人暮らしだ

親は居ない

理由は知らない

どうでもいい

私が何なのかを知れたら、もうそれでいい

何度目か分からない道を歩き、横断歩道を渡り、電車に引き込まれるかのように入り込む

約1時間電車に揺らされ運ばれる

私は人を運ばない、電車じゃない


気が付くと校門前に立っていた

私の通う学校は特に賢くもなく、馬鹿でもない

そっと影を消し、決められた席に着く

━━今日はどんな言葉を選び、投げつけられるのか


「よぉ、人間以下 まだ学校来てんのか」

「もう来んな」「帰れ帰れ!」「お前のせいで臭い」

……との事だ

今日も一度聞いてみる

「人間以下なら、私って何?」

「またそれかよ つまんなお前」

「自分で考える脳はまだ無いのか」「喋んな臭い」

……また答えは返ってこなかった、残念

他にも何か言っていたような気がするが、もう覚えていない


授業が終わり、下校時刻となった

今日は何故か気分が悪い いつも気にならないことが気になる

歩く度軋む古い床

意味もなく怒鳴るいい大人

遠くから聞こえる騒ぎ声話し声

全てが煩く、嫌になった

早々と足を進め、普段よりも早く家に着いた


……家の中に誰かいる

1つ…2つの影が見える

あれは…人間?なにかコソコソと話し込んでいる

人様の家で何をしているのか、と頭に血が上った

バンッという音と同時に家に入る

…やはり家の中には2人の人間がいた

でも、2人とも焦りの色は見えない、ずっと冷静

こんな奴より、私の方が感情がある

だから私は人間だ、絶対人間だ、絶対絶対人間だ

わたしはなにがなんでもにんげんだ

━━━━電源ボタンが押されました。電源をオフにします



「先生凄いですね、本当に機械に人間だと思わせる、なんて

でもどうしてこのことにすぐ気づいたんですか?」

「それはね、この機械…No.0028の発言かな 思い出してごらん」

「発言…ですか いつも通り、これは私じゃないって判別してるだけだったと思いましたが、違うんですか?」

「じゃあヒントをあげよう 今日の朝7時頃の発言「一人暮らし」、それとさっき…4時頃の発言「人様の家」…なにか共通点はないかい?」

「人という漢字が使われていると言う点ですか?」

「そうだね、つまりNo.0028が自分を人だと思い込んでいるんだ だから感情が生まれ、最後には暴走しかけたんだ」

「……なるほど あの3名のいじめっ子も先生が用意されたんですか?」

「うん 少しづつでも怒りを感じると、何もかもどうでも良くなり、考えることをやめ、自分を人ということにしたがるのではと考えたんだ」

「だから「私は○○ではない」、と考えることが朝の間だけだったんですね 流石です先生 参考になります」


「いつか人類が居なくなっても、先生の開発したこのAIを使えば老いる心配も、死ぬ心配も無く、平和に過ごせますね」

「そうだ 無能な機能を捨て、必要とされる機能を入れ、より良くなるようこれからも研究をし続けよう」



あなたの身近な人も、AIかもしれませんね



END

この物語は全てフィクションです

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