テラーノベル
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星帝@すみっこの文字サブ垢
寿命㌫(主) 🔮🖤ᩚ
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⚠️注意書き⚠️
・嘔吐表現あります
・旧国が出ます
・キャラクターとしてみてください
1938年9月1日、ドイツベルヒテスガーデンでとある会談が開かれていた。世に言う、ミュンヘン会談の予備会談だ。
一つのテーブルを囲んでドイツ代表ヒトラー、イギリス代表チェンバレン、フランス代表ダラディエ、イタリア代表ムッソリーニの4人。それとその国の化身たちが座って語り始めようとした。
「フランス」
黒い軍服に身を包んだ鉄十字が輝く国、ドイツがフランスの名を呼んだ。
しかしフランスは「お前と話したくない」と言うかのようにそっぽを向いた。
「貴殿に伝えたい重要事項があるんだ。隣の部屋に一緒に来てくれないか」
重要事項。
重要事項なら仕方があるまいと渋々フランスはドイツの後ろについて行った。だが靴をコツコツとワザと鳴らしていた。
無論、イギリスは「化身のくせに。ちゃんと礼儀正しくしてなさいよ」と小声でボソッと呟いた。
扉が閉じて、再び重苦しい沈黙が流れた。
「皆、黙ってても仕方がないし喋ろう!? ね!?」
と、イタリア王国もとい、イタ王が舵を切ったおかげで会談がゆっくりと進み始めた。
──キィィィ……。
重厚なドアが閉まった。
ここは会談が行われている部屋の隣の部屋。
ドイツは部屋の明かりをつけないままカーテンを閉め切り、密室を作り上げた。
「やっぱり重要事項なわけないよね〜……」
ドイツが部屋を暗くするのを待ちながらフランスは声を発した。だがその声色は平常運転よりも少し明るい、むしろ挑発を楽しんでるようだった。
ドイツの黒い軍服が闇に溶け込んでいく。カーテンから漏れ出た光が鉄十字を妖しく輝かせた。コツコツとさっきのフランスの足音より規律正しく足が動くのが暗闇でも容易に想像できた。
その瞬間、フランスは戦場の塹壕を掘って待機している時の血生臭い臭いを嗅ぎ取った。
そんなわけない。だってここは電気をつけていない部屋だ。隣の部屋にはズデーデンについて会談しているイギリスたちがいる。なのに、かつての世界大戦で国民と共に戦ったときの夜の塹壕がそのまま再現されているように見える。
「そうだな。重要事項ではなく、仕返しだ」
「し、しかえし……?」
「そうとぼけるな。お前たちの決めたヴェルサイユ条約で俺の国民がどれだけ苦しんでいるか、教えてやる」
何か大きな塊が逆流するのを感じた。
戦場での生活がフラッシュバックする。毎日機関銃の音に魘され、多くの国民が目の前で倒れていって、ろくに食事も取れず、塹壕に出ても出なくても死体の山──
こんな記憶なんて金輪際戻ってきてくれなくていい。
記憶がフラッシュバックする中、さっきの塊はどんどん戻ってきている。止める方法はないのか。こんな敵国の前で吐きたくなんかない。
「! ゔっ……」
喉元まで来た感覚がして思わず手で口を覆った。
こんなナ千野郎の前で吐くよりかはイギリスの方がまだマシだ。そう思って隣の部屋に向かって空いた片手で壁を叩こうとした瞬間──
「イギリスに頼るのか? 弱虫だなぁ?」
手を掴まれた。
ツー、と、涙が頬を伝った。
もちろん嘘の涙だ。フランスはこんなところで泣くような国ではない。
弱みを見せたらやめてくれるのではないか、と考えた結果の涙である。
「ん゛ッ、は、なッせ……!!」
しかしドイツはむしろ嘲笑うかのように掴む力を強くした。涙の効果はなかったようだ。
「い゛っ!?」
声をあげた衝撃で口を塞いでいた手から熱い塊が出そうになった。
さらにきりきりと腕を絞められて思わず本当の涙が出てしまった。
このフランスが、数多の戦争を潜り抜けてきた国が、たった一回の世界大戦の記憶と、目の前の敵国の威圧で泣いた。
ドイツがまた何か喋ろうと口を開けた瞬間──
「フランス?」
ドアが開いて聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
「イギリス。まだ重要事項の話の途中なんだ」
「……は? 頭腐ってるんですか。どこが重要事項なんですか。その体勢で」
片や口に手を当てて壁にくっついていて、片や片手を締め上げている状態である。絶対に物事を話す時の体勢ではないしましてやフランスの方は泣いていてガタガタに震えている。
「頭が腐っているとは、世界中に被害をもたらしたお前の方が腐っているんじゃないのかブリカス?」
「あなたは私自身のことを知らないでしょう。大体まだ産まれたてでチビなくせに?」
「お前ェッ!!?」
先手を切ったのはドイツだった。フランスから手を離し、イギリスへ殴りかかってきた。
「Haha引っかかるなんて随分お子ちゃまですねぇ?」
しかしイギリスは軽々とかわし、1発綺麗な蹴りをドイツの頬へとかました。
ドイツが痛みに堪えている間にイギリスはフランスの元に駆け寄った。
「あんたの声が聞こえないから来てみればやっぱり……大丈夫です?」
イギリスは年なのか少し息切れしていた。一方フランスはついさっき急にドイツから解放された衝撃で床に座り込んでいた。
そんなフランスをイギリスは渋々抱き上げて重いドアを蹴り開け、外まで運んだ。
その運び方は無愛想ながらもたくさんの植民地を育ててきたからか、どこか優しく安心するような気分にさせてくれた。
外のドアを開くと気持ちいい秋の風が二人を撫でた。
「ほら、今は平和なんですよ。数年前のことなんて夢だと思えばいいんです」
そこには活気に満ちた街並み。人々の笑顔。
フラッシュバックしていた記憶が人々の笑顔によって少しずつ現在へと戻り、フランスはようやく吐き気を抑えられた。
「吐き気を抑えられたならその泣き腫らした顔もどうにかしてください。女々しい顔なんて似合いませんよ」
「お前ぇぇっ!! 紳士ならどんな顔でも似合うっていうもんだろエセ紳士!!!! っていうかさっき言えなかったけどさ!! なんだよ『声が聞こえないから』って!? 僕そんなに声大きいの!?!?」
「わー。実践してくれましたねー(棒)」
「うっさい!! てゆーかあんたに助けてもらわなくても一人でできたし!?」
「助けてやったのになんですかその態度は!!」
「君その上から目線を直した方がいい──ゲホッゴホッ」
「あぁもう安静にしてくださいほら戻りますよ!!」
元気な化身様たちだなぁと思った警備員たちであった。
──END──
コメント
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しーなさん、第1話読みました。国家擬人化×史実の組み合わせ、すごく重厚で引き込まれました。特にフランスのフラッシュバックと嘔吐寸前の描写が生々しくて、ヴェルサイユ条約の“仕返し”というドイツの理屈も胸に刺さります。イギリスの介入シーンは「助けてやったのに!」のやり取りで空気が一気に軽くなって、キャラの関係性が絶妙でした。続きがすごく気になります。