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それは、1年前のこと
たまたま 2人の休みが被ったから デートしようと提案した。
久しぶりのデートはとっても楽しくて 夢みたいだった
ショッピングモールに新しくできた雑貨屋で、指輪をお揃いで買って 結婚指輪みたいだねって笑いあって 帰りの公園のベンチで他愛もない話をずっとした。
ふとした時に結婚指輪を見ては 照れくさくなって また見て そんなことを繰り返していた
ずっと前から言いたかったことを 話してみたいと思った
性別が性別だから、結婚はできないけれど ずっと一緒にいたいと思ったから、話しかけた
「ね、ぷーのすけ。ずっと…ずーーっと 一緒にいようね」「…当たり前やろ。 俺はずっと あっきぃの傍から離れへん」その言葉が嬉しくて 嬉しくて 今日は本当に幸せだなって 心から思った
そんな日の1ヶ月後 ぷーのすけが急に姿を消した。
1日帰ってこないことはたまにあったからなんとも思わなかった ただ連絡がなかったことに違和感を覚えた
そうして、2日経っても帰ってこない。こんなことは初めてだった。流石に連絡してるかも 俺が見逃してるだけかもと思い、メッセージアプリを起動する。それでも、ぷーのすけからは一通も来ていない
3日経った。流石におかしいと思って、身内にぷーのすけのことを聞いて回った。みんな、しばらく会っていないと言っていて ぷーのすけに何かあったんじゃないかと思って ぷーのすけのことを探し始めた。
そんな事をし始めて1週間も 2週間も ずっと探して
でも、手がかりは何もなくて
1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月経ってもまだ何も手がかりが掴めなくて
4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月
10ヶ月 11ヶ月
1年。
1年経っても、何も手がかりはなくて
いままで受け入れられなかった事を考え始めた。
ぷーのすけは、俺に愛想つかせたのかもしれない。
そうじゃなきゃありえないもん ぷーのすけが何も言わず、急に姿を消すなんて。 ましてや、何も残さずに。 そんなことを考え始めたら辛くて、どうしようもなくて 俺はついに 探すのを諦めた。
もちろんぷーのすけには会いたい。けれど、どうしても足が動かない。外に出たくても出られなくて 探したくても探す気になれなくて。一緒に活動をしているみんなには申し訳ないけど しばらく休ませてもらっている。みんな さすがに察したのか心配して、たまに電話をかけてくれたり、家に来てくれたりする
ほんとにみんなには助かっていて、みんなには頭が上がらない。
そんな日々を過ごしていると、いつのまにかベランダくらいには出られるようになっていた。 たまに浴びる外の風は気持ちよくて、暖かい。たまに寒い日はあるけれど、それすらも心地よく感じられるくらい。 軽い朝食をとって、暇していると 電話がかかってくる 「誰からだろ…?
…はい、もしもし」「あ、もしもしあっきぃ?元気?」「…うん、そこそこ元気。」「…なら良かった。」「まぜちは?元気?」「めっちゃ元気めっちゃ元気w …あ、そうだ いまから家行ってもいい?」「え…? …全然いいけど」「よっしゃ!ありがとあっきぃ! しばらくしたら行くわ」「分かった。待ってるね。」
どうやらまぜちが来るらしい。それまでは特にすることがない。ただ時間が過ぎるのを待つだけ。
久しぶりに部屋を片付けることにした。
いつも適当に物をしまっている棚を久しぶりにちゃんと見てみる そこにはぷーのすけと一緒に買ったものばかりで 少し胸がキュッ…となる。見れば見るほど、漁れば漁るほど思い出が蘇ってくる。 水族館で買ったキーホルダー 買うのは何にするかで沢山話し合ったね。 遊園地で買ったカチューシャ 買う直前までつけるの躊躇ってたね。
動物園では 公園では イルミネーションを見た時は
そうやって、たくさんの思い出を漁った。 そうしたら、あるものが目に入った。「…指輪……」そう、ぷーのすけが姿を消す1ヶ月前のデートで おそろいで買った指輪だ。 あの時は真剣に何の指輪を買うか悩んでたね。 …それで、帰り際に公園に寄った時、一緒に約束してたっけ。
…って。 …おかしいよね、今は どっちかが別れようって言ったわけじゃないのに 離れ離れだよ。
…分かってたはずなんだけどね。『一緒にいよう』…なんて、ただの口約束でしかないって。守る保証なんてないって。 「…分かってた、はずなんだけどなぁ…」思い出してしまったら 涙が止まらなくなってしまって 色々考えちゃって 何も考えたくなくなっちゃって
ずっと前から考えていた事を思い出してしまって
ねぇ、ぷーのすけ。ぷーのすけは、もう俺の事忘れてるのかな。それとも、まだ覚えてる? 覚えてくれてたら嬉しいけど…でも忘れてほしい気持ちもあって…って、なんか情緒不安定みたい…w
…ただ、答えてくれるだけでいいから…覚えてくれてるか、忘れてくれてるか それだけでいいから…って 思っていると、それに答えるかのように 数年前にぷーのすけが言ってくれた言葉を思い出す。
『──あっきぃ、他のこと忘れてもいいから、これだけは覚えててな。俺は、何があっても───────』
その時は、感動してたのか泣きっぱなしで、続きがわかんなかった。 だけどきっと、今思い出すってことはそういうことなのだろう。
ぷーのすけは、きっと…
何があっても、俺のことは忘れてない。
…そう、信じていいよね。