今作から本格的に不穏となり、殺人が起きます。
血表現等も勿論含まれますので、地雷の方は回れ右お願いします。
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葛葉「ん…」
ベットのギシ、という音と共に目が覚める。柔らかいベットのおかげでよく寝れた、…ん?柔らかいベット? ゆっくりと重い瞼を上げてみると、目の前に叶の顔があった。それはとても心地良さそうで、でも少しだけ儚さも感じられた。
葛葉「…ッはぁ?!」
…って、いやいやいやなんでこんな事になってんだよ! 反射的にガバッと体を起こして叶と逆方向へ後退りする。俺の声と、移動する振動もあって叶の瞼が上げられる。
叶「あ…おはよ、葛葉。…どしたん、顔赤いけど…ww 」
むくっと起こした体で、猫のように目元を擦って、あくびをして眠そうに尋ねてきた。絶対確信犯だろ、と少し苛立ちを見せながら 自分の首へ手を当てて 何でもねぇよと答える。
…今は7時だ。そろそろ皆目を覚ました頃だろうか。1度最初の部屋へ顔を出してみるとしよう。少し重苦しく感じる足に力を入れて、扉へと向かった。すると叶が、一旦顔だけ洗わせてと言ってきたもんで少しの間待機をした。
皆生きてるかな。
ふとそんな思考が頭を過った。不安だったんだ、自分は死に慣れてるとか、そういうのを言い訳にして自分の考えを無視していたけど。怖いものは怖い、だって、俺がこれまでに見てきた物は殆ど他人の血やどうでも良い奴ばっかだったから、このにじさんじの仲間って認識してる奴らが死ぬのは、嫌だ。
無意識に下へ向いた頭に、少し重さが増した。叶が俺の頭の上に手を置いたんだ。くしゃ、と雑に撫でられて、手を握られた。
叶「大丈夫だって、ほら、行くんでしょ?」
昨日まで小さく見えた背中が少しだけ頼もしく見えた。あぁ、と返事をして、扉を引き開けた。すると1つの人影。
葛葉「…社長!」
加賀美「葛葉さん!おはようございます。」
扉を開ける音で俺らに気付いたらしく、視線がピッタリと交わされた。その社長の声色は、いつも通りに聞こえたが、少しだけ安堵も混じってた気がする。
葛葉「よく寝れました〜?」
加賀美「…まぁ、そこそこですかね?葛葉さんは…」
急に社長の言葉が止まる。何だ? と首を傾げたが、すぐに理解出来た。叶が俺の部屋から顔を出したからだろう。すると叶は察したように笑顔でこう言った。
叶「1人で夜を過ごすのが怖くて訪ねたら泊めてくれたんですよ〜!」
その声色は昨日とは比べ物にならない程明るく、配信の時のような声をしていた。彼が無理してる事がよく分かる。社長はあーそうなんですね、と納得の意を示して頷いた。
その後、一緒に朝食でも食べましょうかという話になって、食堂へと足を進める事に。その際聞いた話だと、社長も泊まらせはしなかったけどSMCの2人が訪ねてきて、少しの間話をしていたんだと。やっぱ考える事は同じってか?その調子だとVΔLZ辺りも部屋で集合してそうだ。
そうして、会話を弾ませながら歩いていた時だった。微かに、血の匂いがしたんだ。吸血鬼なだけあって、血液の香りはすぐに分かる。それが余計に怖かった、2人はまだ気づいていないみたいだ。進める足を止めてしまった事で、2人が首を傾げた。
叶「どしたの葛葉?」
葛葉「……血の、匂いが。」
そう言った瞬間、急にその場の空気が重苦しくなった。さっきまであんな楽しそうに話してたのに。その空気から逃れたくて、可能性を否定したくて話を逸らした。
葛葉「いや、でも食堂の肉の匂いとか…かも…」
加賀美「…いや、1度確認しましょう。何処からしますか?」
でも社長は誤魔化しをものとせず問い掛けてくる。社長はもう決意を、意志を固めているのか? こんな環境でも前向きに居ようと? …さっすが、社長だな。その問い掛けを否定することも出来ず、スンと香りを確認して指をその方向へ向ける。それは倉庫のような、掃除用具が入ってそうな場所。
社長は迷いなくそのドアノブへと手を掛けた。でも、とても緊張しているのがわかる仕草だ。
加賀美「では…開けますよ。」
そう言って扉を引き上けると、人間でも流石に分かるだろうと言える程、血生臭い香りを始めに感じた。叶と社長は、その香りに慣れていないからかすぐに口元を手で覆ったが、俺は何もしなかった。ただ動揺だけが襲ってきた。
大丈夫、まだ決まった訳じゃない。そうだ、まだ…、
そんな願い半分の考えを抱いたまま、俺は1人で部屋へ足を踏み入れた。そしてより血の香りの濃い場所を辿った。足音からして、他2人も俺に着いてきているっぽい。
少しずつ、無意識に息が荒くなっていた気がする。血の香りで本能が騒いでいるのか? にじさんじに入ってからまともにこういう血の香りを嗅いでなかったから? あの時間が、日々が平和過ぎたのかもしれない。
早く、この血の匂いを否定したかった。何かのドッキリだって、違うって。
でもそんな考えは次の一瞬で粉々に砕かれた。1番香りが濃い場所、この香りの根源。
そこには、1期生出身で、俺達とよくゲームコラボしてた________
勇気ちひろの変わり果てた姿があった。
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今日の証拠、アリバイ
6時50分起床。
7時5分、部屋を出てすぐ加賀美ハヤトと遭遇。
SMC組が少しの間、加賀美の部屋で集合。
7時半、勇気ちひろの死体を加賀美、葛葉、叶の3人で発見。
コメント
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めっちゃ面白かったです続き楽しみに待ってます♪