テラーノベル
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放課後の屋上は、世界から切り離されたみたいに静かだった______
《花びら、手のひら、君の体温》
フェンス越しに見下ろす校庭は、満開の桜に縁取られて、まるで淡いピンク色の海に浮いているみたいだ。
「綺麗だね」
隣に立つういが、風に乱れた髪を耳にかけながら言った。
その横顔があまりに儚くて、呼吸さえ忘れてしまいそう。
「……卒業しても、連絡していい?」
絞り出した俺の声は、情けないほど震えていた。
ういは一瞬だけ目を見開いて、それから困ったように笑った。
「いいよ!でも、私のこと忘れちゃうかもよ? 大学に行ったら、もっと可愛い子がたくさんいるもん」
冗談めかして言う彼女の指先が、スカートの裾をぎゅっと握りしめているのを俺は見逃さなかった。
言わなくちゃいけない。転校して遠くへ行ってしまう彼女に、今日、この場所で。
俺は震える右手を、ゆっくりと伸ばした。
ういの手は、すぐそこにある。
あと三センチ。
指先が触れそうな距離。
その時、春の嵐が俺らの間を吹き抜けた。
視界が真っ白に染まるほどの桜吹雪。
舞い散る花びらに視界を奪われ、伸ばしかけた俺の手は、行き場を失って空をきった。
「っ〜!忘れるわけないだろ! 俺は……っ」
言葉が喉に詰まる。
ういは、俺の肩に止まった一枚の花びらをそっと指でつまみ上げると、それを大切そうに自分のポケットに滑り込ませた。
「この花びら、魔法の薬なんだって。持っておけば、一番大切な人とずっと繋がっていられる。……なんてね!」
おどける彼女の瞳は、少しだけ潤んでいた。
「魔法」なんて言葉を使わなきゃ、想いを伝えられない俺たちの、あまりに幼くて甘酸っぱい距離。
一週間後。駅のホーム。
動き出した電車の窓越しに、お折れは叫んだ。
「好きだ! 桜が散っても、夏になっても、ずっと好きだ!!」
加速する電車の中、ういが窓に顔を寄せる。
声は聞こえない。けれど、彼女の唇は確かにこう動いた。
――『私も! ニコッ』
泣きながら笑う彼女の姿が、遠ざかっていく。
俺の手のひらには、あの時掴めなかった体温の代わりに、
冷たい春の風と、一枚の花びらだけが残されていた。
展開早くて、ごめんっ(´;ω;`)
めちゃくちゃ短編ですw
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コメント
5件
これって歌から撮ったんですか?それとも考えたコメディですか?