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いつものフェニラン。いつものワンダーステージ。
司くんは今日は委員会で、遅くなるそうだ。
「司くんまだかなー、待ちきれないよぉーっ!」
「司、そういえば委員会でもすぐ来るのに…珍しい。」
「司くんお人好しだし、他の人の手助けとか先生の手伝いとかしてそうだけどね?」
たしかにーっ!とえむくんが納得したように元気よく返事する。
司くんはお人好しだから、他の人を手伝ったりしているだけ。
実際はそう自分に言い聞かせているだけで、不安しかない。
司くんはまだだろうか。
あぁ、でも…僕なんかが司くんの隣には立てないし。
来ても、僕は司くんと対等じゃない。
でも、彼が居るだけで場が平和になる。
彼が遠くに行かないなら、それでいいんだ。
それから10分ほど。
「ねぇ、司くんさすがに遅すぎるよ、」
「…探そう。司に何かあったのかもしれない。」
「分かった。えむくんと寧々は、独りだと危ないから2人で行動して。僕は独りでいい。」
「、分かった、じゃあ、あたし達は見つけたらネネロボちゃんに類くんのほうに伝えてもらうねーっ!」
普通にメールを飛ばせばいいのに、と思ったが、フェニランでもワンダーステージ周りは森で電波があまり来ない。ネネロボなら2人を守ってくれるだろうし、えむくんの案を了承して、僕は森の周り、えむくん達はワンダーステージ以外の場所を探すことになった。
ーえむsideー
「司くん、居ないねー、」
「ほんと馬鹿、なんで急に居なくなるのよ……」
寧々ちゃんはきつーい口調で言ってるけど、顔をちらっと見ると少し泣きそうなくらいしょんぼりしてた。
司くんはやっぱりみんなに愛されてるんだな、と思いながら耳を澄ます。やっぱり司くんの声も物音も音楽が大きくて聞こえない。
「むむむ…寧々ちゃんはネネロボちゃんに乗って!あたしちょっと走るね!」
「えっ!?えむ!?ちょっと、急に走らないでーっ!」
ー類sideー
森の奥深く。そこには灰色のコンクリートで作られたあからさまに不気味な建物。
僕は何を思ったのかその建物に入り、探索する。
「ん”ーっ!!、、ん…?」
ある部屋に入ると、司くんの口にガムテープが貼られ、縄で椅子に括り付けられていた。
「…っ!」
とても甘い匂い。司くんからとても甘い匂いがする。食べたい。食べたい。食べたい。
ダメだ、抑えられない。
「ごめんね、司くん」
近くに駆け寄り、首元に齧り付く。
甘い、美味しい。
「……誰」
「っ!?」
後ろから知らない声が聞こえる。
もしかして、司くんを攫った…
「神代類?」
「…そうですけど、」
「あのさぁ、いつも俺の天馬にベタベタ触らないでよ。天馬は昔から俺のもので俺のケーキなんだよ!!!天馬はお前のものじゃない、俺のものなんだよ!!!」
……何言ってるんだろう、この人。
司くんに恋人は居ない。ケーキということも今初めて知ったはずだ。
つまりこいつはフォーク?なら司くんはもうどこか食われた?
なんで?司くんは高尚な者だよ?
一番星なんだ。僕も寧々もえむくんも全部照らしてくれた。
星の生まれ変わりなんだ。そんな高尚な人なのに、こんなに穢れてる汚い奴が司くんを食っていい筈がない。
『それ、君にも言えることだよね?』
うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさい!!!
「天馬は、俺のだよね?」
ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがう
「っ、ぷはっ、」
ねぇ、違うって言って
「……オレのフォークは、類だ。だからもう、金輪際オレに近付くな!!!!」
あぁ、司くんの大声。少し怖いけど、かっこいい。
司くんは、やっぱり僕の一番星だ。
僕の一番星は、司くんだけだ。