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ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜
第126話 - 〇〇は『主人公がショタ化』するのを目の当たりにするそうです その1
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2023年12月25日
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2023年12月25日
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____四月十六日。朝八時。
「……ん、朝か。昨日は大変だったけど、あんなのが毎月のようにあるのなら、今回のはまだいい方だな。さてと、そろそろ起きますか」
俺は上体を起こすと、周りを見渡した。
ん? みんないないな。早く起きるのはいいことだが厄介《やっかい》ごとが起こらないか心配だな。よし、お茶の間に行こう。
俺は、まだ完全に目覚めていない状態でお茶の間へと向かった。
「おーい、みんないるかー……って、誰もいないのか」
ここは『神獣世界《モンスターワールド》』という名の異世界。
彼は十人のモンスターチルドレンとその他の存在たちと共に旅をしている。(この世界は日本とほぼ同じ地形である)
このアパートは、ミサキ(巨大な亀型モンスターの外装)の甲羅《こうら》の中心部と合体しているため移動は楽《らく》。
元は人間だったモンスターチルドレンたちを元に戻せるという薬の材料を集めるのが旅の目的。
関東地方から中国地方までやってきたのはいいが、最初に比べて、かなりの人数がここに住んでいると感じるのは俺だけであろうか?
さて、そろそろみんなを探しに行くとしよう。
俺は、二階にある自分の部屋から出ると、ミサキ(巨大な亀型モンスターの外装)の頭部まで歩いた。(彼は寝巻きのままだが、サンダルを履《は》いている)
「さあて、どこにいるのかな……」
俺がそこから見える草原をじーっと見ていた、その時。
「だーれだ」
背後から誰かに両目を塞《ふさ》がれた。こんなことを少し前にもされたような気がしたが、そのことはあまり考えずに、俺にこんなことをしている人物が誰なのかについて考えることにした。
「えーっと、シオリかな?」
「あたりー」
やはりシオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)だった。前の犯人もシオリだったから、すぐに分かった。
シオリは俺の両目を塞(ふさ)ぐのをやめると、俺の背中にしがみついた。
「おはよう、ナオ兄。調子はどう?」
「朝から、お前にこんなことされたら元気になるに決まってるだろ?」
「ふふふ、そうだね。ナオ兄は、ロリコンだもんね」
「俺はロリコンじゃない、俺はただ年下の女の子としか、まともな会話ができないだけだ」
「そうなの? でも、メルクさんとは会話できてるよね?」
「ハーフエルフ族である彼女は、俺の恩師である人に似てるから、例外だ」
「ん? それって、どういうこと?」
「見た目=年齢《ねんれい》じゃないってとこだ」
「なるほど。たしかに、あの種族は見た目から年齢《ねんれい》を判断するのは困難だね」
「まあ、そういうことだ。よし、それじゃあ、シオリ。俺をみんなのところに連れて行ってくれ」
「分かった。けど、一つ条件があるよ」
「なんだ?」
「私をこのままの状態で運ぶことだよ」
「なんだ、そんなことか。分かったよ、このまま連れてってやるよ」
「うん、お願い」
「おう、任せろ」
こうして俺は、シオリに言われた方向に進んでいった。すると、たどり着いた場所はミサキの中、つまり巨大な亀型モンスターの外装の体内であった。
「ミサキ、とりあえず、なんでここに全員が集合しているのか教えてくれないか?」
俺がミサキ(巨大な亀型モンスターの本体)にそう訊《たず》ねると、ミサキはこう言った。
「それはね、これを見た方が早いよ」
ミサキが指をパチン! と鳴らすと、パっとモニター画面が表示された。『ダ○ボール戦機』とかでよく見るやつだった。
「えーっと、これは俺たちがいる島国の地図か?」
「正確には、ずっと昔に僕がこの外装で歩きながら集めたデータで作ったものなんだけどね」
※ミサキの外装は不可視の結界を常時展開している。
「いや、それでも、これはすごいぞ! 伊○忠敬さんも目を丸くするくらいのものだぞ! これは!」
※伊〇忠敬←日本地図を作った人です。
「そうかな?」
「ああ、そうだとも! ミサキはすごいな!」
「わっ! いきなり頭を撫《な》でるのは、いくら僕でも、少し恥ずかしいよ……」
「おっと、すまん、すまん。今度からは気をつけるよ」
「うん、次からはそうしてね……。さてと、話を元に戻すよ」
「ああ、頼む」
「コホン、えー、僕たちは日本でいうと東から西に進んで来たけど、これから先に進むには一つ問題があるよ」
「ほう、それはいったい、どんな問題だ?」
「えーっと、分かりやすく言うと、僕が日本でいうところの北海道、四国、九州地方に行くためには、他の四聖獣《しせいじゅう》の許可がいるってことだよ」
「それは『四聖獣』の『玄武《げんぶ》』である、お前の権限でどうにかならないのか?」
「僕たちには、それぞれ守護区域というのがあってね。海を渡って別のところに行くときは、他の子の許可がないと入れないんだ」
「そうなのか……」
「大丈夫だよ、そんなに怖い子たちじゃないから」
「いや、お前はそうでも他のやつがそうとは限らないだろう?」
「『四聖獣《ぼくら》』にとって種族は関係ないよ。ただ、その人が僕らに危害を加えるか否《いな》かを見極めるだけだよ」
「……そうか。なら、問題ないか。それで? 次はどこに行くんだ? ミノリ」
俺はミノリ(吸血鬼)の方を見ながら、そう訊《たず》ねた。
「えーっと、次は『蒲公英《たんぽぽ》色に染まりし花畑』に行くわよ!」
「ほほう、そんなところがあるのか。きっとタンポポだらけなんだろうな」
「ええ、そうよ! だけど、人間の肉が大好物だからナオトは近づかないほうがいいわね」
「どんなタンポポだよ……」
「冗談《じょうだん》よ」
「ホントか? 俺が近づいても大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ」
「あー、良かった。せっかく、みんなで【ピクニック】に行くのに、俺だけ参加できないんじゃ楽しくないもんな」
「ええ、そうね……って、ちょっと待って!」
「なんだよ、ミノリ。いきなり大きな声を出すなよ」
「そんなことはどうでもいいの! それより、あんた今【ピクニック】に行くって言ったわよね?」
「ん? ああ、そうだけど。それがどうかしたのか?」
「あんた、その意味を分かった上で言ったの?」
「ん? どういうことだ?」
「それは私が説明します」
その時、コユリ(本物の天使)が話に入ってきた。こういう時は大抵(たいてい)、コユリが説明する。そして、決まってミノリと言い争いになる。
「銀髪天使はお呼びじゃないのよ! 黙ってて!」
「黙るのはあなたの方ですよ、アホ吸血鬼」
「なんですって! 表に出なさい!」
「イヤです。朝から、あなたのような血を吸うことしか能《のう》のない人と戦いたくありません」
「そんなことないわよ!」
「正直、ピンときませんね。あなたはマスターがここに来てから、ずっと血を吸うのを我慢《がまん》しているじゃないですか」
「うっ! そ、それは……」
「どうやら図星のようですね。では私が説明しても、よろしいですね?」
「……いいわよ、勝手にしなさい」
「分かりました。では、マスター。今から説明を始めますが、よろしいですか?」
コユリ(本物の天使)はこちらを見ながら、そう言った。
「あ、ああ、いいぞ。始めてくれ」
「了解しました。それでは説明を始めさせていただきます。しかし、マスターの服が寝巻きのままでは、私のモチベーションが上がりません。ですから、マスターはいつもの格好《かっこう》になってください」
「え? ああ、そうだったな。じゃあ、今から取ってくるから、少しま……」
「服なら持ってきたので、問題ありません。……ミサキさん」
「はーい。えーっと、こうだったかな?」
ミサキ(巨大な亀型モンスターの本体)はそう言うと、手を二回、叩《たた》いた。
すると、俺の立っている場所に更衣室(カーテンで周囲を囲むやつ)が出現した。(床《ゆか》から飛び出した)
「……び、びっくりした。え、えーっと、ここで着替えるのか?」
「はい、その通りです。では、ミサキさん。マスターにいつもの服を渡してください」
「うん、分かった」
ミサキは、トコトコと俺の方に歩いてきて、カーテンを少し開けると俺にいつもの服を渡してくれた。
「ありがとな、ミサキ」
「どういたしまして。それと靴(くつ)も持ってきたから置いておくね」
「おう、ありがとう」
「どういたしまして。でもまあ、全部、コユリちゃんの指示なんだけどね」
「そっか……んじゃあ、今から着替えるから少し待っててくれ。あと、みんなにくれぐれも覗《のぞ》かないように伝えてくれ」
「うん、分かった」
「おう、頼んだぞ」
俺がそう言うと、ミサキはカーテンを閉めて、みんなのところに行った。さてと、着替えますか。
____数十秒後。着替え完了。俺は黒い半袖《はんそで》Tシャツを着た後に水色のジーンズと白い靴下と白い運動靴と黒いパーカーを身に纏《まと》った。
「コユリー、もういいぞー」
「分かりました……ミサキさん」
「はーい」
ミサキが手を二回|叩(たた)くと、例の更衣室は一瞬(いっしゅん)で消えた。(床《ゆか》の下に行った)
「待たせてすまない。もう説明していいぞ」
「分かりました。それでは説明します」
その後、コユリ(本物の天使)が説明し始めたが、それは一時間ほど続いたため、俺がざっくりと説明する。
ズバリ、例の花畑に【ピクニック】に行くということは結婚式を挙げるのと同じことだということだ。
理由は例の花畑で告白し、そこにある結婚式場に行って式を挙げると、そのカップルの愛は永遠のものになるという伝説があるからだそうだ。
つまり、そこに【ピクニック】に行くということは「結婚してください!」と言っているようなものなのだそうだ。説明終了……。