救助活動において、救急車でも問題ないがこの街には高いビルも多いのでヘリの運転もできた方がいいらしい。
ヘリの練習をしてみるが、どうにも旋回や着陸がうまくできない。
今もヘリを一台壊してしまった。
ヘリポート脇のベンチで悩んでいると、医院長に声をかけられた。
「ヘリの練習している?操作方法から教えるよ」
そもそも旋回や下降の操作自体にコツがあったらしい。
医院長の隣に乗り、ひとつずつ教えてもらう。
次に自分が操縦席に座り、医院長が隣に乗った。
「下降するときは少しずつ。勢いがつきすぎたら一旦上昇して」
ヘリに搭載されているカメラの使い方も教わった。
良いかったところは褒めてくれる。ダメだったところがあっても次にこうしたら良いとかナイストライと言ってくれる。
医院長はなんでも教えてくれる。
「どう?もう仕事に慣れた?」
規模の大きな犯罪が増え始めた頃、病院での待機中に医院長にそう声をかけられた。
犯罪と関係ない救助は慣れたが、犯罪現場での救助はどこまで介入していいのか分からない。
「今発生した事件現場に一緒に行こう。ヘリの隣に乗って、警察無線聞いていてくれる?」
医院長と到着した現場では何人かの警察官がダウンしていて、銃声も聞こえていた。
そんな中、救急隊無線を聞き、カメラで状況を確認しながら警察ヘリの邪魔にならないようヘリを運転する医院長はすごい。
「ここなら行けそう。降りてすぐピックしてくれる?」
自分ならなかなか入り込めない位置を指示され、急いで降りて警官をヘリに乗せる。自分がヘリに乗り込むとすぐ離陸した。
少し離れた場所では他の救急ヘリが倒れている警官のピックのために近寄ってきていた。
「待って。まだ撃ち合いしてる。救急隊は上空で待機して!」
無線を通した医院長の指示で、そのヘリは急いで上昇した。すぐさま近くを犯人の車が銃を撃ちながら通り過ぎて行った。
自分たちは一旦警察署まで移動し、ダウンしている警官と自分はヘリを降りた。
「あと治療お願いね。俺また現場行ってくるから。無線戻して良いよ」
しばらくの間、警察署での治療をこなすと医院長が迎えに来たので一緒に帰る。
「みんなお疲れ。連携ナイスだったよ」
互いに労いの言葉をかける中、医院長の現場での的確な指示と判断に流石だなと思って聞いてみる。
「医院長って前から救急隊でした?」
「いや、初めてだよ」
「えっ?」
その言葉に多くの隊員が驚く声を上げた。
「まぁ、ヘリの運転はできるし街のことも分かるから」
「それだけ出来たら闇医者に誘われませんでしたか?」
「んー。まぁずっと医院長を続けるよ」
濁された感じはしたけど、あれだけ出来るのだから過去に何かあったのだろう。
犯罪現場での対応に慣れ始めた頃、とある隊員の提案で医院長たちにサプライズをした。
「医院長いつもありがとう!」
そうして贈った救急隊員たちから医院長三人と市から派遣されているサポートさんへの感謝の手紙。
「すごく大事な物を貰ったよ。こちらこそありがとう。後でゆっくり読むよ」
医院長、自分たちも大切なものをたくさん貰っています。
あなたが医院長でいてくれてありがとうございます。
コメント
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凄い書いてますね!! 頑張っている気持ちが伝わってきます!!