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雪乃は2人に、事の経緯を話した。
ニャオハが囚われたままのこと。
それを前に逃げてきてしまったこと。
タイムリミットは日没だということ。
「どうしてボールに入れなかったの?」
美希は雪乃に問いかける。
雪乃は俯いて表情に影を落とす。
「…私、決めてたの。これ以上ポケモンは仲間にしないって」
雪乃は2つのモンスターボールを手に取る。
「この子達は、小さい頃から私と一緒にいてくれた。壮絶な過去を、共に戦って、どんな時もそばにいてくれた。もう同じ思いを誰にもしてほしくない。この子達と一生を共にしようって、決めてた」
そうだったのか、と聞いていた瀬戸も納得する。
「だから決意が揺らいだの。もしこの先、私と一緒にいて、辛い思いをしないだろうかって」
いや、きっと辛い思いをする事になる。
私は追われる身。
今後何もないとは限らない。
「でも拾わずにはいられなかった」
あの時、出会った瞬間から。
何かを感じていた。
「…私はニャオハに、自分を重ねてた。でも、重ねすぎてた」
ニャオハを手放せば、私も同じように捨てられてしまうのではないか、と。
結局私は、自分を守ろうとしていたに過ぎない。
「私は何も考えずニャオハを拾った…。責任とか覚悟とか、何も考えてなかった。
私にニャオハを迎えに行く資格はないのかもしれない」
俯く雪乃。
隣にいた美希がポンと肩に手を置く。
「資格なんているの?」
「え?」
「私はポケモン苦手で、そういうのよく分からないけど…」
美希が笑ってこちらを見る。
「友達になるのに、資格なんていらないでしょ」
雪乃はその言葉に目を見開く。
「そうだね。不安な気持ちはわかるけど、草凪さんなら大丈夫じゃないかな」
瀬戸も笑って雪乃を見る。
「今までどんな困難も乗り越えて来たんでしょう?ポケモンたちと一緒に」
2人の言葉が染み渡る。
そうだ、どんな壁にぶつかっても、私は乗り越えてきた。
怖がりすぎてたんだ、目の前のことに。
「大丈夫。何かあっても僕らがいるから」
「そうよ。あんた単細胞なんだから、ごちゃごちゃ考えずに突っ走ってればいいのよ」
2人の言葉に、雪乃は立ち上がる。
同時にエーフィとブラッキーもモンスターボールから出てくる。
2匹は雪乃を見上げて頷いた。
「…ありがとう、みんな。
行こう」
雪乃は前を見た。
不思議ともう、何も怖くなかった。