テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
82
1,648
#恋愛
雪音
31
「それじゃあ、修学旅行の班発表するぞ〜。」
担任の先生が黒板に班のメンバーを書き始める。もうすぐ修学旅行。楽しみすぎて、朝からクラス中がその話で持ちきりだった。私も親友の美咲と、
「同じ班になれたらいいね!」
なんて話していた。この時までは−−−。
「1班ーー」
先生が名前を読み上げていく。そして、
「4班は神谷蓮、黒崎怜央、水瀬湊…」
そこまで聞いて私は嫌な予感がした。
「それから、柊心音」
「…え?」
思わず声が漏れる。黒板を見ると、そこには私の名前と、さっき呼ばれた3人の名前。そしてもう一人の男子の名前が書かれていた。「桐生陽向」と。
「嘘でしょ……。」
この4人は、学校ではかなり有名な男子たちだった。イケメンで、運動もできて、女子からも人気がある。だけど、そんな4人には一つだけ共通点がある。女嫌い。女子にはほとんど話しかけない。話しかけられても、必要最低限しか返さない。そんな4人と、私は同じ班になってしまった。
「ドンマイ、心音。」
親友の美咲はそう声をかけてきたが、私はその声すら耳に入っていないくらい絶望だった。
「それじゃあ、班ごとに係決めて〜。」
みんなが班ごとに集まっていく。私もしょうがなく4人のところへと行く。
「……最悪」
湊くんがぼそっと呟いた。
「え?」
「女子と同じ班とか、最悪って言っただけ」
さすがにちょっとムッとした。
すると黒崎くんが口を開いた。
「修学旅行くらい静かに過ごしたかったんだけど」
「私だって別に一緒になりたかったわけじゃないし」
思わず言い返してしまった。一瞬、空気が止まる。
「……へぇ」
黒崎くんが少し驚いたように私を見る。神谷くんは興味なさそうに、
「まあ、必要なときだけ話せばいいでしょ」
と言った。
「じゃあ、係決めよう」
私がそう言うと、4人は一瞬黙った。
「係って何があるんだっけ?」
怜央くんが先生から配られたプリントを見る。
「班長、しおり係、食事係、レク係だって」
「俺、班長やる」
蓮くんが淡々と言った。
「じゃあ俺、レク係」
怜央くんが続ける。
「俺はしおりでいい」
陽向くんがプリントを見ながら言った。
「じゃあ、残りは食事係?」
私が聞くと、湊くんがこっちを見る。
「……それでいいんじゃない?」
「じゃあ私、食事係やる」
「決まりだな」
蓮くんがプリントに名前を書いていく。
……思ったより普通に話せるじゃん。
女嫌いって聞いてたから、もっと全員に無視されるのかと思ってた。
「……何?」
湊くんが私を見る。
「え?」
「さっきからこっち見てるけど」
「いや、別に……」
「ならいいけど」
そう言って、湊くんはまたプリントに視線を戻した。
なんか……感じ悪い。
でも、私だって負けたくない。
「じゃあ、これで係決め終わりでいいよね?」
「うん」
「先生に提出してくる」
私はプリントを持って立ち上がった。
そのとき、後ろから怜央くんの声が聞こえた。
「……意外と普通じゃん」
「何が?」
「いや、もっと面倒くさいタイプかと思ってた」
「それ、どういう意味?」
「そのままの意味」
「……失礼なんだけど」
私が睨むと、怜央くんは少しだけ笑った。
「ほら、そういうとこ」
「は?」
「別に」
そう言って、怜央くんは目を逸らした。
……本当に何なの、この人。
私はため息をつきながら、先生のところへ向かった。このときはまだ、ただの最悪な班だと思っていた。修学旅行当日、私たちの関係が大きく変わることになるなんて。このときの私は、まだ何も知らなかった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!