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またまた新キャラ(前回のは出てこない)
ffidyll お金持ちの家に生まれた、中性的な子。その分十分教育を受けられたのかすごい気さくな性格で頭もいいすごい完璧な子
しかし何故か落ちてる小銭を見つけるプロというお金が無い人みたいなことを極めている
___________________________
「うわ〜〜〜夏祭りの匂いする!!」
「うるせぇ、鼻いいな」
HoolaとHyeheheは、浴衣姿で夏祭りの人混みを歩いていた。
Hoolaは濃いめのピンクに白い桜模様の浴衣、
Hyeheheは藍色に銀の柄がさりげなく入ったシンプルなもの。
屋台の明かり、浴衣のすれ違い、夏の匂い――
まさに“ふたりだけの夏”がそこにあった。
「ねぇ!たこ焼きたこ焼き〜〜!」
「お前、3分前にも食ってただろ」
「いーじゃん!夏祭りって屋台が命でしょ〜?」
ふたりはたこ焼きをつつきながら、
金魚すくいやスーパーボールすくいをめぐり、
ふざけあいながら笑っていた。
⸻
すると、少し先で人だかりができている屋台が。
「ん……?あれ……」
「なになに?何の屋台?」
「……うちの友達だ!!ちょっと挨拶したい!!」
そう言ってHoolaが駆け寄ったのは――
「わなげ屋台」。
看板には、手描きでこう書かれていた。
1回20円
7輪で大チャンス✨
そして、店番をしていたのは……
ffidyll。
浴衣姿で微笑む中性的なその子は、
どこか貴族のような品と、屋台の兄ちゃんのような気さくさを併せ持っていた。
「Hoolaちゃん、やっほ〜。来てくれて嬉しいな」
「うちも!なんでffidyllが屋台やってんの!?」
「家のお金でさ、ちょっと遊び……じゃなくて、地域貢献ってやつ?ふふ」
「てかこの価格設定、優しすぎん!?!?」
「よく言われる〜、でもね、お祭りって“思い出”に残るのが一番でしょ?」
(イケメンすぎるやろ……)
⸻
長蛇の列に並び、ようやく2人の番が来た。
「よーし!うちらで特賞のぬいぐるみ取るぞ!!」
「どうせハズす未来しか見えねぇけどな……」
14輪を手に、2人は真剣そのもの。
でも……!!
「……あっ!!」「うわっ外した!!」
ガラン、ガラン、スカンッ……
全部、見事にハズレた。
「…………」
「…………」
「……センス皆無かよ」
「いや、これは……風!!風が悪い!!」
見かねたffidyllは、ちょっと困った顔で笑って言った。
「残念だったね。でも、また来てね?……それと、がんばれ」
その言葉には、どこか含みのある優しさがあった。
HyeheheがちらっとHoolaを見ると、
彼女は頬を膨らませて、悔しそうに輪っかを見つめていた。
(可愛いな……)
⸻
______花火の下で
夜も更け、打ち上げ花火が始まる。
「……なあ、Hoola」
「なに〜?」
「今日さ……言いたいこと、あった」
そう言って、Hyeheheは少しだけ照れながら、
浴衣の袖から小さな箱を取り出した。
中には、小さなガラスのペンダント。
色はHoolaの髪色に似た、明るい黄色だった。
「買うつもりなかったけど……なんか、渡したくなって」
「え、なにそれ……え、え……うちに……!?」
「やっぱ……その……付き合ってるんだし、
なんか、形に残るもん……あってもいいかなって」
花火が大きく空に咲いた。
パァン!
照らされたふたりの顔は、ほんのり赤くて、
でもどこまでも幸せそうで――
「……ばーか」
「へ?」
「そういうの、もっと早く言ってよ……嬉しいし」
Hoolaは照れくさそうに笑って、
そのままHyeheheの手を握った。
そして――
「今日は、ありがと。うち、すっごく幸せ」
小さく、小さく。
花火の音に紛れるくらいの声で、もう一度キスを交わした。
⸻
おまけ
祭りの終わり、片付け中のffidyll。
「……あ、また10円落ちてた。僕って天才かも」
ふと、遠くに見えたのは――
手をつないで帰っていく、HoolaとHyeheheの後ろ姿。
「ふふ、よかったね、Hoolaちゃん」
ffidyllは静かにそう呟いて、また次の輪を丁寧に並べていった。