テラーノベル
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一週間ほど経った日。僕はケージに入れられ一週間前にも乗った車に乗せられた。そして向かった先はご主人様のいるところだ。そこは相変わらず人でいっぱいだった。
車から降ろされた僕はあの男によって広い広い茶色のようなオレンジのような色の部屋へ連れて行かれた。男はどこかへ向かって歩く。そして立ち止まった。その先にあったのは青緑色のテントだった。男はそのテントの入口をめくり、「月岡さん」と声をかけた。そこにいたのは僕のご主人様だった。
「チャビーありがとうございます」
「いいえ〜これが俺の仕事なので」
そういい僕の入っているケージの扉を開ける。テントの奥にはこれまで入っていたケージとは違ったケージがあった。
「そういえば原田さんはどうしてこのような活動を?」
男はテントの入口の近くに座った。
「犬やら猫やら。俺は動物はすべて子供の頃から好きで猫はうちにいたんです。でもあることがきっかけで俺一人で世話をすることになったんです。で、高齢だったんでまあ病を患った時、親の手助けを得られないんで死んでしまったんです。そのときに思ったんです。ペットは家族であって物じゃなくて命。言ってしまえば犬でも猫でもネズミでもライオンでも人とおんなじなんです。でも人はそれを知らない人がいる。だから犬猫殺処分はあるんだということを。それからこの活動を」
「…そうだと私も思います。このコ(チャビー)を保護した時、とても警戒していたんです。きっと彼らは過去に人間に嫌なことをされたのだと私は思いました。だからこそ人は悪い人ばかりではないと知ってもらいたく飼ったんです」
「ええことです。そういう人が増えればいいなあと俺も活動しているので。きっとこいつ(チャビー)も幸せですよ」
「そう…ですかね…?」
それから男はこの場を去っていった。それから僕はケージに入れられながらご主人様と生活することになった。それはとても幸せだった。
僕は僕を助けてくれたあの男の話を聞いて思った。僕みたいに人を嫌いになった猫はいっぱいいてでも優しい人もいる。それを知ってもらうためにあの人は活動しているのだと。猫は命で物じゃなくて人間と一緒ということを知ってもらうためにあの人は頑張っている。僕はそのうちの一人なのだと。
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おっしゃるとおりでございます