テラーノベル
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パラパラと次第に集まってくる視線をかき散らすかのように慌てて大通りを抜けて、路地に身を隠す。うーん本当にどうしたものか。頭を抱えて考える。路地の湿っぽい匂いが鼻を伝う。
一旦、と思いコートのポケットに突っ込んでいたスマートフォンを取り出す。顔を近づけると顔認証が作動してホーム画面へと導かれる。
時刻は13時25分。問題なく作動しているようだ。かといっても、文明の利器と言えるこれも、こんなところに来てしまっちゃ何の役にも立たない。溜息をつきながらコーヒーを啜る。ブラックは苦い、そう思った。その時ジャリ、と、粗い砂の粒が絡み合う音が近くから聞こえた。気付いて後ろを振り返ると若い男が1人佇んでいる。驚いて体を少し固まらせているうちにその男は足を伸ばしてこちらに歩みを進めてくる。
_ん?何?もしかしてこっち来てます?
嫌な予感がして後ずさる。次の瞬間には、もう男に間合いを詰められていた。男が真正面に立ち、こちらの姿を上から下まで見定めるように観察しているのが見て取れる。やばいな。冷や汗を滲ませながら平静を装って男を見つめ返す。こっちは異世界系の知識とかなんも頭に入ってないんだぞ、何が起きるか分かったもんじゃない。bl系じゃなくとも、異世界転生の作品くらい読んでおけばよかったと後悔する。
「あのお……、どうかしました?あ、俺は全然怪しいものとかじゃなくて」
「………」
青い長髪に青い瞳を携えた男がこちらをじっと見ている。フード付きの黒い少し余裕のあるコートを着ている服せいか迫力がある。スゴ、キラキラのエフェクトが背景で舞いそうなイケメン。なんて、いつもの癖で呑気なことを考えて脳内で読み上げている間に、男の顔がこちらを不審な目で見ていることに気がついた。
「見たことの無い格好してんな。どっから来たお前」
……さすがにこれは予測できた。変なカッコの人間がいたらそりゃあ声をかけるよな。それを言われたら終わりだよ。なんの説明もしょうがないので困る。素直に異世界から来ました、なんて言ったら頭がおかしいやつか、変質者だと誤解されて殺されるかもしれない。
目の前のイケメンは純粋にこの格好を疑っているのであろう。
「いやーあはは。なんか気が付いたらここにいたって言うか。なんも分からなくて困ってたんですよ」
たはー、とギャグ漫画のキャラクターに着くような効果を纏わせながらへらへら笑う。
どこから来た、かは言わずに取り敢えずはぐらかした。そしてその次。
「ついでに言うと記憶がなくて」
これで完璧!だってこの世界に存在する俺はさっきスタートしたのだから。辻褄は合っている。
今言った発言を聴きながら男はさらに顰めた眉をぎゅっと引き攣らせた。うわ、やばいかも。
男は目を下に向けてちょっと考えたあと、またこちらに目を合わせながら言った。
「……転移魔法でも受けたのか」
て、転移魔法。なるほど。やっぱファンタジーなのですね。てことは魔法でバトルする感じの世界なのだろうか。厄介だ。
「そ、そうなのかな?でもほんとに何もわかんなくて」
いやー困った困った、というように薄っぺらいため息を吐いた。はやくやり過ごさせてくれ。そして俺のことは忘れてくれると嬉しい。また男はこちらを睨みながら俺の容姿をじっと観察する。
LiSA1125
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コメント
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第2話、拝読しました!いきなり異世界に放り込まれて困惑しつつも、咄嗟に「記憶がない」と言い訳するところ、主人公の機転が効いてて笑いました。イケメン青髪キャラとの距離感も絶妙で、これからどう転ぶのかすごく気になります。設定の出し方が自然で、世界観にすっと入っていけました!続きが待ち遠しいです!