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撮影を終えた後 『』メロ 「」レロ
カメラの電源が切れ、部屋に残ったのは妙に気まずい沈黙。
「はいはい解散〜。
いや〜疲れたわ、俺。あんな至近距離で顔面強すぎだろ普通に☆」
肩をぐるぐる回しながら、わざとらしくため息。
いつもの“ウザい”調子で、逃げ道を作る。
『ふふ……お兄様、相変わらずですのね』
「相変わらずなのはそっちだろ?
急に現れてカメラ占領して、はい自己紹介〜ってさ。
俺の家、撮影スタジオじゃないんだけど?」
『あら……では』
メロはソファから立ち上がり、ことりと首を傾げる。
『しばらく、ここに泊まらせてくださいませ』
「……は?」
一拍。
それから、やたら早口。
「いやいやいやいや、無理無理無理☆
なに普通に言ってんの? 泊まるってなに?
俺と? この距離感ゼロの妹が? 毎日?」
『……』
メロは何も言わず、一歩近づく。
そのまま、見上げる。
『お兄様……』
「っ、ちょ、だからその顔やめろって!
分かってんだよ、それ! その目!!
男殺しの目!!」
『地獄に戻ってきたばかりで……
まだ、落ち着ける場所がありませんの』
「いや知らない知らない!
それは行政に言って! 悪魔の窓口行って!!」
袖を引かれる。
ほんの、少し。
『……ここが、一番安心できるのです』
「っ……」
言葉が、詰まる。
「……あ〜もう!
なんでそういう言い方するかなぁ!?
ズルいんだよマジで!!」
『お兄様、顔……』
「見るな見るな見るな!!
赤くないし! これは照明!!
地獄の照明が悪いだけ!!☆」
『ふふ……』
メロは、勝ちを確信した笑みを浮かべる。
『では……一晩だけ?』
「いや“だけ”の信用度ゼロだからね!?
どうせ明日も明後日も“もう少し”って言うでしょ!?」
『……言いますわ』
「即答!? そこは否定しろよ!!」
頭を抱えて、ぐしゃっと髪をかく。
「……はぁ……
分かったよ。泊まればいいんでしょ泊まれば」
『まあ……♪』
「その顔やめろ!!
条件付きだからな! 俺の部屋入るな!
距離近づくな! あと俺で遊ぶな!!」
『……努力は、いたしますわ』
「“努力”!? 確約しろ確約!!」
くすくす笑いながら、メロは荷物を手に取る。
『相変わらずですね、お兄様。
うるさくて、優しくて……』
「余計な評価つけんなっての☆」
そう言いながらも、
レロの調子は完全に狂わされていた。
――ウザさ全開でも、
この妹の前では、どうしても“兄”に戻ってしまう。
相変わらず。
一番厄介で、ずるい存在だった。
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