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体育祭の朝。
まだ早い時間なのに、校庭からは放送のテスト音や準備の声が響いていた。
咲は鏡の前で三つ編みを整え、白いハチマキをぎゅっと結んだ。
(……いよいよ最後の体育祭か)
体操服姿の自分を見つめると、胸の奥がじんわりと熱くなる。
今日はいつもより少しだけ、特別な日。
スマホが震え、美優からのメッセージが届いた。
《昇降口で待ってる!早く来い~》
「……よし」
小さくつぶやき、リュックを肩に掛ける。
――今日の姿を、悠真さんは見てくれるだろうか。
その想いを胸に、家をあとにした。