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8月12日。
明日から17日までお盆休み。
「しーのっ」
部活が終わり、体育館を出ると入り口の外に玲花が立っていた。女テニもちょうど終わったのだろう。
「玲花。お疲れ様」
「お疲れ!あのさ、着替えた後ちょっとついてきてほしいんだけど、、」
「ん、どこ?」
「生物室!未提出のプリントあったこと思い出してこの前先生に聞きに行ったらお盆までに出してって言われて、毎週月曜は生物室にいるからって」
「そうなんだ?うん、わかった」
生物部の顧問だから、部活をやっているのだろうか。
「ありがとうう〜〜あの先生ちょっと苦手だから紫乃についてきてほしかったんだ」
たしかに、生物の先生たまに怖いから私もあまり得意ではない。
「部活やってる〜、入って大丈夫かな」
生物室を覗くと、先生と何人かの生徒がいた。
「失礼しますって言って入れば大丈夫だよ」
「わかった、、…失礼しますっ」
玲花はゆっくり中に入っていった。
・・・.!………?
〜〜、… 〜〜
奥にある美術室から話し声が聞こえた。
そういえば、最近行ってないな。
愛衣ちゃんが部活に来るようになると分かってから、邪魔になるだろうと思い一度も行っていない。
〜〜###,,,!
おそらく愛衣ちゃんであろう子の笑い声が聞こえた。
ちょっと、覗くだけしようかな。
気になって、静かに廊下を渡って美術室のドアの手前で立ち止まり、ちらっと中を覗いた。
「宇治先輩見てください、先輩のと全く同じの描きましたっ」
「盗作だよ」
「模写ですよ模写!先輩のと並べたら〜、ほらっ、なかなか完成度高くないですか?」
愛衣ちゃんが自分の椅子を宇治のすぐ近くに寄せた。
「高いけど、模写してなんて言ってないでしょ」
「いいじゃないですか、好きなの書かせてくださいよ。私先輩の絵好きなんですっ」
鼓動が早い、気がした。
「先輩、眼鏡変えました、、?なんかいつもと違うような」
「変えてないよ」
「あれ、そうなんですか、、雰囲気が違う気がしたんですけど、、」
「紫乃〜っ、なんで居なくなってんの〜っ」
後ろから玲花に軽く背中を押された。
「美術部?なんか用事?」
「幡中?」
宇治と目が合った。
「あれ、美術部って宇治ひとりじゃなかったっけ」
「お疲れ」
宇治がこっちにやって来て言った。
「…あ、お疲れ」
「なんか久しぶり?」
「うん、ちょっと」
「宇治、あの女の子って部員の子?」
玲花が宇治に聞いた。
「元幽霊部員。兼部だったけど片方辞めたから」
「そうなんだ?でも良かったじゃん一人じゃなくなって。ねえ紫乃」
「え?ああうん、そうだね」
奥で愛衣ちゃんがこちらに軽く会釈した。
「ごめん邪魔して、帰るね」
「別に、邪魔とかないよ」
私は玲花に帰ろ、と言って美術室を通り過ぎた。