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1942年(昭和17年) 7月 ガダルカナル島
あの会話の後、とくになにもなく中村とも班の皆とも平穏に軍隊生活をしていた時。
小嶋「はぁ〜、飛行場かなり出来てきてるな~。」
中村「あぁ、確かにもう飛行機を搬入するだけじゃないか?対空設備はあるし。」
現在海軍の飛行場はかなり出来上がってきており、航空機はまだ少ないが数機の零戦や対空設備はある程度整っていた。
小嶋「それにしても…敵はいつ来るんだろうな。まったく来やしない。」
小嶋は不思議と思っていた。
なんと言ってもミッドウェーの敗退から一ヶ月経っているのに米軍が動かないことなんてありえないと考えていたからだ。
中村「やはり穂馬さんの言うとおり、ある程度だけ作らせようとしてるのかもな…」
小嶋「いやでも…もうかなり出来上がってるぞ…?零戦もあるから攻撃するなら飛行場も攻撃しないといけないし…余計にわからんな…」
小嶋たちは不思議でたまらなかった。
穂馬兵長が言ったある程度だけ作らせ奪取するという理論は今回当たってはいないからだ。
すると新しく班に入った誰かが近寄ってきた。
義丸一等兵「こんにちは!二人とも何を話していられるのですか?」
まだ新任の義丸一等兵だ。
小嶋たちが成績優秀で上等兵に特進している中、訓練生時代頭しか取り柄のなかった義丸は体の不備という理由で一等兵にされていた。
つまり小嶋たちとはほぼ変わらないが階級は小嶋たちが上だった。
小嶋「あ、義丸一等兵か…いや〜実は米軍が最近動きがなくて不安になっていてな…」
義丸一等兵「え?聞いていないんですか?」
義丸は不安そうに言う。
義丸「最近オーストラリアで米軍の動きが活発になっているんですよ…?いやまぁ…ここからは遠いからあまり情報は共有されてないのかもしれませんが…かなり広まってますよ?この情報。」
実は最近オーストラリアでは米軍の反攻作戦のためにかなり動きが活発になっていた。
山田兵曹「やはり、司令部の読み通り。もうそろそろここも戦場になるかもな。」
小嶋、中村、義丸「うおっ!?」
3人はいきなり現れた山田兵曹に驚いてつい声を出してしまった。
山田兵曹「俺は幽霊かっての(ボソっ)…まぁ、義丸一等兵の言うとおり、段々米軍の動きが活発になっているのは事実だ。それに備えて我々も一刻も早く航空基地を完成させ、太平洋を開放しなければならない。」
山田兵曹は義丸の言うことを本当だと言い、その目標を語った。
小嶋「へ〜…そうなんですね…」
小嶋はへ〜と言う感じで理解する。
山田兵曹「本当に実感はあるのか…?まぁいい…俺は中尉に用があるから、またな。」
そう言って山田は兵舎に戻っていく。
小嶋「…やっぱり軍曹も忙しいんだな〜」
中村「当たり前だろ〜階級は下士官では高いほうだろうし。さっ、仕事に戻ろうぜ。」
中村は警備の仕事に戻ろうと小嶋を誘う。
小嶋「あぁ、そうだな行くか。」
そうして少し歩いたその時、地獄のサイレンが鳴る。
スピーカー「ウーーーーーー…」
小嶋「なんだ!?」
中村「空襲警報だ!どういうことだ!」
小嶋たちは初めての空襲警報に驚き、慌てふためいていた。
小嶋「おい!とにかく壕に逃げよう!」
中村「壕は航空基地か!?遠いな…!行くぞ!」
二人は急いでバタバタ走っていた。
そして航空基地が見えてきて壕が見えてきた時、青空に大きななにか鳥のようなものが見えてきた。
敵のB17重爆撃機だ。
空の要塞とも言わしめた爆撃機がいきなり現れたら誰でも驚いてしまう。
小嶋「う、うわぁぁぁぁ!敵の爆撃機だぁ!」
中村「ばっばか!早く壕に行くぞ!」
そしてまた急いでバタバタと走る。
そしてやっとたどり着く。
小嶋「速く!速く降りて!」
そして二人とも壕の階段を降りきった時、グォォォンという轟音が聞こえてきた。
B17の飛行音だ。
周りの日本兵「やべぇ…やべぇよ…」
「どうするんだよ…死にたくねぇ…」
「う、うるせぇよ!黙れ!所詮アメ公の爆撃機だろ?対空砲が片付けてくれる!」
そう誰かが言った瞬間ズドーン!と轟音が鳴る。
味方の対空砲だ。
対空砲長「撃てー!!!」
ズドーン!とまた轟音が響く。
壕の中から全隊員が見守る。
日本兵たち「やっちまえー!」「頑張れー!」
「撃ち落とせー!!」「いけいけー!」
そしてその瞬間敵のB17のエンジンから黒煙が出てくる。
命中弾だ。
その瞬間全員が沸き立つ。
小嶋「おぉ!やったぞー!!」
周りの日本兵たち「バンザァァイ!」「やったぞー!!!」「ハハッ!やりやがったぁ!」
しかし沸き立った壕内も一瞬で静まる。
敵の爆弾倉が空いたのが見えたからだ。
対空砲兵「て、敵の爆弾倉が開いたぞー!」
対空砲長「たっ、退避ー!」
そして慌てて対空砲のところから対空砲兵が退避してくる。
小嶋「速くしろ!おい!速く!」
しかしそんな掛け声も虚しく、爆弾は落とされる。
ガチャンと言う音とともに、爆弾が落ちてくる。
小嶋「伏せろー!!!!!!!!」
その瞬間皆が一気に壕の奥に伏せた。
そして爆弾が炸裂する。
ドギャァァァァン!ドガァァァァァァン!ととんでもないほど大きい爆発音を響かせる。
対空砲兵たち「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
一瞬にして対空砲兵たちは吹き飛ばされる。
そして敵爆撃機は去った。
中村は確認のため外に出る。
中村「出てきていいぞ…敵は去ったみたいだが…」
中村はなにか不安そうなことを言う。
吉田中尉「こ、これは…!」
小嶋「ち、畜生…!!!」
外に出ると、飛行場は穴だらけで兵舎も吹き飛ばされていた。
残ったのは死体と、木材のかけらだけだった。
佐原海軍大尉「おい!零戦は!」
海軍下士官「草に紛れさせたおかげで無事です…一機は吹き飛ばされましたが…」
零戦にも被害がいっていた。
佐原海軍中尉「そうか…まぁ…一機なら良い…とにかく…搭乗員に被害がなくて良かった。そして我々が生き残ったのは、彼ら対空砲に従事していた兵士たちがいたからだ。彼らに敬礼。」
そして外に出てきた兵士たちは皆、吹き飛ばされた対空砲の兵士たちに敬礼した。
小嶋「こ、これが…”死ぬ”って…こと…」
小嶋は恐ろしくてそう呟いてしまった。
彼らが初めて経験した地獄。
コレで彼らはもう、戦争に来てしまったという実感が湧いた。
穂馬兵長「あの時と同じだな…」
第三話「平穏な自然の中で…」
コメント
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ああ、第3話読み終えたよ。ここにきて一気に空襲シーンが来たね…。B17が飛来して対空砲が応戦する緊迫感、そして爆弾が炸裂して一瞬で吹き飛ばされる対空砲兵たちの描写が生々しかった。小嶋が「これが…死ぬって…」と呟くところには、これまで「平穏な自然」だった風景が一変した衝撃が詰まってた。穂馬伍長の「あの時と同じだな」も、彼の背負ってるものを感じさせる伏線で、続きが気になる。