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◇◇◇◇◇
神界の黒い部屋から戻ったレキは、マリスとヤヌリスの待つヘルサイズ本部の外に瞬間転移されていた。
ヤヌリス:「あ!レキが戻ってきたぞ!大丈夫か?」
レキ:「ああ、そうだな。戻ってきたな。」
マリス:「レキ!一体、何があったの?」
レキ:「ああ、今から説明する。」
レキは、マリスとヤヌリスにヘルサイズ本部の最奥の部屋である〈深淵の間〉での出来事とそこからリルミアに殺されて行った〈神界の黒い部屋〉での出来事を話した。
マリス:「あら、そんなすごいことになっていたのね。
それで、その右手の甲の刻印が魔王候補の証ってこと?」
レキ:「ああ、そうらしい。
まあ、本部での出来事は賭けだったが、これでこの先のやることはわかった。
ヘルサイズの呪印も解けたことだしな。」
ヤヌリス:「なるほど。魔人の国か!
面白くなってきたな!
その建国に立ち会えるってわけだな。
ははは、私もマリスも召喚されてラッキーだったな。」
マリス:「そうね。あとはレキが正式に魔皇になればいいってことかしら。
魔皇候補になったことだし、レキ様とお呼びした方がいいかしら?ふふふ。」
レキ:「いや、今まで通りにレキでいい。
お前たちは人間たちと違って信頼している。
が、お前たちは俺が魔皇候補だということは知ってたんじゃないか?
そんなことをリルミアが言ってたが……。」
ヤヌリス:「あー!確かにな。
確信はなかったけど、私たちが召喚されたってことはそういう可能性があるってことだからなあ。
通常、魔界以外で貴族魔人の主は魔皇かその可能性のある者にしかなれないからな。」
レキ:「ふーん。やっぱりそうか。
なら、俺にも運があったって訳だな。」
ヤヌリス:「で、で、ディスハー様に会ったんだよな!
どんな方だったんだ!?」
レキ:「え?お前たちは会ったことはないのか?」
マリス:「もちろんないわ。
私たちの位階では会うことはないわよ。
もっと上の公爵級でも三公クラスでないと会うことはないんじゃないかしらね。」
レキ:「ん。そうなのか。そんなにか。
いや、至って普通のいい女だったぞ。
あ、ただ、怒った時の威圧は凄かったな。
自然と逆らってはいけないと思わすくらいにな。
名前を呼び捨てにした時は死ぬかと思ったぞ。」
ヤヌリス:「あー!それは魔界でも有名な話だね。
何人かはそれで消されたって噂がある。
会ったことがなくてもね。」
レキ:「ああ、あれは確かにやばかったな。
そうするとこっちにいる間も気をつけないとな。」
マリス:「そうね。それは絶対に守らないといけないわよ。
せっかく魔皇候補になったんだから、怒らせてはダメよ。」
レキ:「ああ、わかってる。」
マリス:「ところで、レキ。これからどうするの?
レキの気配が消えた頃から、周りが慌ただしく動いてるわよ。
また本部に行って、そのガミラスとリルミアに話をつけるのかしら?
それとも、このまま本部を制圧する?」
ヤヌリス:「おー!そうだな!
その総統のガミラスの強さはわからないけど、私は強いからな。
人間なんぞ、ガツンと一発やってやるぞ!」
レキ:「ああ、そのことだが……。
向こうの出方がわからない以上、リスクを取りたくない。
ヤヌリスで殺れるかどうかもわからないしな。
ゆくゆくはヘルサイズとの接触は避けられないだろうが、一旦は俺たちは魔なる樹海に向かう。
まずは魔皇城に入って態勢を整えるぞ。
ヘルサイズとやり合うのはその後だ。」
ヤヌリス:「えー!?うん。レキ。わかったぞ。」
マリス:「ええ、承知したわ。
それじゃ、ここに長居は不要ね。
早速、魔皇城へ向かいましょう。」
レキ:「ああ、俺たち3人で魔人の国を創るぞ!」
一通りの話を終えたレキ、マリス、ヤヌリスの3人は、魔皇城へ向かうべく北に向かって旅立って行った。
◇◇◇◇◇
少し時は遡って、ヘルサイズ本部の深淵の間にて。
ガミラス:「リルミア!説明してもらおうか。
なぜ、あいつを殺した。
お前は俺が総統を継承した時に俺のやり方には口を出さないと言ったはずだ。」
リルミア:「ええ、そうでしたね……。
今までは。ということにしておきましょう。
その約束も無かったことにしますよ。
なにせ、今回は300年ぶりに興味のあることが起こったんですから。」
ガミラス:「どういうことだ!?」
リルミア:「あなたにも、そのうち分かりますよ。
今後、私には逆らわないことです。
いいですね?」
ガミラス:「はあ!?」
リルミア:「いいえ。あなたには拒否権はありませんよ。
ただ、あなたにとっても悪いことではありませんよ。逆らわなければね。」
ガミラス:「へえ。この部屋にいるのはお前と俺だけだ。
今、お前を殺ることも出来るんだがな……。
……まあいい。
相打ちを選ぶほど、馬鹿ではないんでな。」
リルミア:「いい選択ですよ。
今、まさに時代が動こうとしているのです。
あなたには、引き続き、総統としてヘルサイズを指揮してもらいますからね。
お任せしますよ。」
ガミラス:「ああ、俺は俺で好きにさせてもらう。
あんたはあんたで好きにやればいいさ。」
リルミア:「ええ、そうさせていただきます。
じゃあ、私は失礼しますよ。
あ。それとレキが魔人たちを連れてここに来ることがあるかもしれませんから、十分に注意しておくようにね。」
そう言って、リルミアは笑みを浮かべながらゆっくりと深淵の間を立ち去って行った。
ガミラスは、なぜレキが?と驚いた表情を浮かべるも、それを問うこともなく黙ってリルミアが立ち去るのを苦々しく眺めていた……。
◇◇◇◇◇
一方、レキたち3人は、ヘルサイズ本部を去ってから数時間ののちに魔なる樹海の入り口に立っていた。
マリス:「レキ。やっと入り口に着いたわね。」
レキ:「ああ、そうだな。
魔神ディスハー様の話だと俺と魔人は、この樹海の影響を受けないってことだったが。」
ヤヌリス:「うーん。私には、むしろこの樹海はいい感じしかしないけどね。」
マリス:「そうね。たぶん、この樹海に広がる瘴気の影響なんでしょうね。
魔界に比べると大したことはないけど、私たちには心地よいわよね。
まあ、人間には良い影響はないんでしょうけどね。」
レキ:「ほう。そういうことなのか。
だから、人間は近づけないってことなのか。
確かに今の俺には心地よい感じしかしないな。
ということは、俺もすでに魔人に近い存在だということだな。
人間かどうかも怪しいな。ははは。」
マリス:「ふふふ。そうね。人間辞めてるかもね。
じゃあ、行きましょうか。」
レキ:「ああ、行こう。」
ヤヌリス:「うん。行ってみよう!」
レキたち3人は、魔の領域である人間には近づくことも出来ない魔の樹海に足を踏み入れて行った。
◇◇◇◇◇
レキ:「ははは。これはいいな!
力が漲ってくる感覚だぞ!」
マリス:「ええ、確かに人間界とは思えないほど、清々しい気分になるわね。」
レキ:「ああ、俺にも分かるぞ。これはいい。
人間の立ち入れない領域。
魔人のみが生存可能とか、絶対領域だな。
ここに魔人族を増やしていけば、一大国家が出来るな!
ははは!これは素晴らしい!」
ヤヌリス:「そうそう。レキの固有スキルの召喚石クリエイトも平民魔人が召喚ができるようになったんだよな?」
レキ:「ああ、ディスハー様がそう言ってたよ。
まあ、その召喚をするのも魔皇城に着いてからだな。
城の周りには、昔あった魔人の街らしきものもあるらしいんでな。」
マリス:「ふふふ。楽しみね。」
ヤヌリス:「おう!わかったぞ!着いてからだな!」
レキたち3人は、魔なる樹海の中央にあるという魔皇城に向かって進んで行った。
◇◇◇◇◇