コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
強さの海、セカンドシー。
それは第一世界を超えた者だけが足を踏み入れることを許された、新たなる戦場だった。
船の帆をいっぱいに膨らませ、風を切って進む海賊船。その甲板の先頭に立つのは、主人公――いや、もう“初心者”などとは呼ばせない。第一世界を制した猛者、リトだ。
「おーし、着いた着いたー!……って、いきなりこの威圧感!?」
海岸に降り立った瞬間から、空気が違った。
重く、張り詰めていて、あたりのNPCたちも妙に強面だ。しかもその中には、あからさまに「通りすがりとは思えないほど強そうな賞金稼ぎ」が混ざっていた。
「へぇ、やっと来たのか……第一世界の“優等生”さんよ」
「なっ……誰!? ていうか、どこでその情報仕入れた!?」
セカンドシー、挨拶代わりのバトルが始まる。
――ドゴォン!
「さすがに…マズイ…って、レンくーん!助けてええええ!」
「うおお!? いきなり巻き込むなー!」
リトの叫びに駆けつけた仲間たち、レン・リン・ミク・テト・メイコが次々と戦線に加わる。
リン「やれやれ、また“ドジっ娘ムーブ”で始まったね」
ミク「だけど、どこか…前より余裕ある感じがする」
レン「レベル、上がってるもんな。あと、なんか…筋肉もついてない?」
メイコ「やめて!それ言うと女子的に複雑なのよ!?」
敵NPCを蹴散らしながら、レベルはぐんぐん上がっていく。
「……レベル800。よしっ、ついに来た……!」
セカンドシーに来た目的の一つ――“人間”種族の覚醒。
それは身体に眠る力を呼び覚まし、戦闘能力を大幅に高めるものだった。
「……自分は、誰にも流されない。たとえ、海軍でも!」
「リト、気をつけて!来るよ!」
立ちはだかるのは、海軍大将。第一世界の“偽りの正義”とは違う、本物の強さと信念を持つ者だ。
――斬撃が空を裂く。水柱が空を貫く。
リトの体が傷付き、膝をついても、心だけは折れなかった。
「お母さんは……もう居ない……!でも…!」
「……それでも前に進まなきゃいけないんだ!!」
仲間の支えと、自分を信じる心が力になる。
「これが……覚醒した“人間”の力だぁぁあ!!」
バシィッ!!!
爆発のような一撃が海軍大将を押し返す。
荒れ狂う波の中、リトの姿が立ち上がる。
「この世界は甘くないけど……だからこそ、私はやる価値があると思うんだ!」
こうしてセカンドシーは進んでいく。
力を証明し、試練を超え、自らの限界を塗り替えて――
リトたちは、ファイナルシーへと繋がる道を、確かに歩み出していた。
「……なぁ、レンくん。オレたち、強くなったよな」
夕焼けの海辺。沈みかけた太陽が水面を染める中、リトはふとつぶやいた。
レンは焚き火の火に石を放り込みながら、ふっと笑った。
「うん。だけどそれだけじゃないよ。たぶん――“変わった”んだよ」
リンとミクが、どこか遠くの空を見つめている。
テトは口いっぱいにベリーをほおばりながら、言った。
「ねぇねぇ、次の世界ってもっとすごいんでしょ!? 火山とか、空飛ぶ島とか、お菓子の城とか!」
「テンションの落差よ……」
メイコは思わず笑った。でも、内心では焦りもあった。
海軍大将との戦いの傷は、身体だけでなく、心にも残っている。
戦いの後、彼は静かに言った。
「お前の正義が、どんな形であれ…貫き通せ。俺は、それを否定しない」
“正義”。それは第一世界から、ずっと問い続けられてきた言葉。
「……自分は、間違ってないかな?」
ぽつりとこぼしたリトの問いに、レンが即答する。
「大丈夫だよ。リトはリトの正義を、ちゃんと貫いてる」
「そっか……そっかぁ……ふっふっふ、じゃあ、そろそろ新世界に殴り込みに行きますかあぁああ!!」
「いやテンション!!急!!」
「だってー!テンション上げてかないと不安になるでしょ!」
リン「まったく、相変わらずの単細胞…」
テト「いや、メイコはたぶん三細胞くらいある!」
ミク「細胞増えてる!?」
レベルはすでに千を超えていた。
“人間”としての可能性も解放され、己の力が身体に馴染み始める。
周囲のNPCたちも、もう敵ではない。
街で人助けをすれば「姐さん!」と慕われ、
酒場に入れば「一曲頼むぜ!」とギターを渡される。
「ん〜……私、なんか方向性ズレてない??」
そんなふうに戸惑いつつも、冒険は確実に進んでいた。
しかしその時、どこからか響くアナウンスがあった。
『第三世界への扉が、開かれます――』
一瞬、場の空気が止まった。
どこかで聞いた“声”に、全員の背筋がゾクッとする。
「この声……間違いない、“アイツ”がいる」
「いよいよだね。ファイナルシー」
「でも行くしかない。だって、この冒険――」
「まだ終わってないから!!」
こうして、リトたちは第三世界――
**《ファイナルシー》**へと、ついに足を踏み入れる!