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ベル。フランス語で美しいという意味のコードネーム。本名は妃冴香。その名の通り端整な顔立ちをしており、校内三大美女のうちの一人だ。
そんな彼女の正体は、表は優秀な公安警察。裏では犯罪組織、サジェスに所属する裏世界で名を馳せる殺し屋。
彼女は今、悶々としていた。
「サージュを殺さなきゃいけない、というのがね……」
ふと呟いた時、後ろから突然声が聞こえてきた。
「おい。ここで何してる?」
声のした方を見るとそこには少年が一人佇んでいた。
「公安警察よ。ラトレイアーの拠点の調査に来たの。もう構成員も何人か捕らえたから問題ないわ」
「そうか。なら良い。最近この辺、マフィアが多くなってきているから、気を付けるんだな」
「ところであなたは?」
「俺は、ただの警官だよ」
男はそう言って去って行った。
「……」
冴香は、顔の向きを変えると、その方向に歩いて行った。
「マフィアね~。やっぱ、米秀学園は普通じゃないわ。明日は、英才学園に行かないといけないし……」
冴香は困ったように首を傾げた。
「――は、……――を……――って……」
廊下の奥から何者かの声が聞こえてきた。
「この声、山根歩美!」
冴香は廊下を走って行った。
「ベル!」
雪が叫んだ。
「ベル?」
雪の言葉に松村が、問う。
「ベルって、なんだ?」
「あ、しまっ……」
雪が左手で口元を押さえる。
その様子を見たフォリーはゆっくり近づき、雪の持つ拳銃を跳ね飛ばした。
「なっ……」
「ナイフには素手じゃないと面白くないじゃないですか」
雪の顔がどんどん青ざめていく。
「オーケー、面白い。やってやる」
雪は頬から垂れた血を拭うと、フォリーを睨みつけた。
「待ちなさい」
「おーっと、これはこれは……サジェスで有名なベルじゃありませんか?」
「黙れ」
ベルは足につけたナイフホルダーからナイフを取り出した。
「ちょっと虫唾が走るから」
フォリーは方向転換し、ベルの方を見た。
「それじゃあ、始めますか」
フォリーがそう言って冴香に斬りかかろうとした時だった。
「た、大変だ‼」
「サ、景音!」
雪は声のする方を見た。そこには汗だくになった景音が立っていた。
「さっき、構成員が吐いたんだが、この学校のどこかに爆弾が仕掛けられていると……!」
「はあ⁉」
雪が驚いて叫ぶ。歩美たちも蒼白で景音も見ていた。
「中家、だいじょう……」
松村が近付いた時、景音は気が抜けたのか膝の関節が砕けたようにその場に崩れ落ちた。
松村は彼を支えた。
「爆弾って……うそでしょ⁉」
「景音は嘘をつくような奴じゃないからな。それにこんな時に冗談言わないだろ?」
「中家、体弱いのに動くから……」
冴香は困った表情をすると、フォリーがナイフを持って斬りかかっているのが見えた。
「おっと」
「油断は禁物ですよ?ベル」
「こいつは私が相手するから。アンタらは分かれて爆弾を探しなさい」
ベルはナイフを地面に叩き付けるようにすると、刃先が廓大された。
「バトル漫画かな?面白い武器ですね」
フォリーは笑顔でそう言っていた。
景音、紗季、松村、歩美、雪の5人は、別の部屋に移動し、チーム分けを行うことになった。
「二人ずつ組んだとしても一人余るから、あたしは一人で行く。お前らは二人ずつ組んでくれ」
「じゃあ、俺は紗季と組むよ」
「分かった。私は景音君と組むから」
5人はそこで別れた。
中家・山根ペアは本棟と一棟の一階と二階を担当。
松村・福浦ペアは二棟と三棟の一階と二階を担当。
秋原は旧校舎と一棟の二階を担当。
それぞれ担当のところへ移動していった。