ぺいん、さぶ郎、ミンドリーは天文台から帰る途中、カフェで昼食を取ることにした。いつもはぺいんが出前帰りに立ち寄るが3人で訪れたことはなく、逆にクマの店員がミンミンボウに訪れることがあった。
「こんにちは〜」
「いらっしゃ〜い。今日は珍しく3人いっしょやね」
「今日は外で食べようかなってなったんですよ〜」
クマの店員はぺいんと会話しながら3人を窓際の席へと案内しメニューを出す。さぶ郎はもうメニューに夢中だ。
3人はそろってオムライスを頼んだ。提供されたオムライスで、さぶ郎のものだけはケチャップでかわいらしいクマの絵が描いてあった。相変わらずこのクマの店員は見かけによらず手先が器用だ。
仲良くオムライスを食べながら、この後の予定を話す3人の会話が聞こえたのか、クマの店員も会話に混ざってきた。
「自転車レースだったら3日後の午後だよ」
「もしかしてコースも知ってます?」
「レギオンからスタートして街中を走るらしいよ。あと自転車は貸してくれるけど、自分のでもいいらしい」
「さぶ郎、どうする?」
「自転車買いに行きたい!」
「んじゃ、ご飯の後、買いに行こうか」
3人は昼食後、ビーチそばのサイクルショップで自転車を購入し帰宅した。
さぶ郎はこの自転車でレースに出て勝つ気満々だ。
「明日から朝練するっ!」
「おー。がんばれー」
夕方にミンミンボウを開けるとたくさんの客が来店した。
公務員やメカニック、おそらく半グレやギャングであろう人々で混雑し始めると些細なことから客同士の諍いも起こる。
「仕事の後はギョウザにビールだろ」
「エビチリとコーラだろ」
この日は警官とギャングと思しき客が何がおすすめかで揉め始めた。きっかけは大したことではないが、会話がヒートアップ中、警官は相手が指名手配犯だと気付いたらしく、今度は逮捕する、しないで言い争っている。互いに手錠や銃などの危険物を持ち出そうとしたしたところで、厨房から様子を見ていたぺいんが止めに入った。
「はいはい。他のお客さまもいるから全員、店裏のガレージに回って?話聞くから」
店裏のガレージで警官と推定ギャングを正面に見据え、ぺいんの説教が始まった。
「まず、二人とも。店の中で揉めんな。手錠も銃も出すな。」
いつも愛想が良いぺいんとは真逆の少し圧を含んだ声に、先ほどまで騒がしかった二人は押し黙る。
まずは警官に顔を向けたぺいんが話し始めた。
「で、警察の言い分は?」
「指名手配犯だったので捕まえようかと」
「もしそれで相手が激昂して店員や客の市民に被害が出たらどう責任取るの?業務妨害も良いとこだし警察の信用問題になるよ?やるなら迷惑のかからない店の外でやれ」
次、と言わんばかりに今度は指名手配犯に向けて話す。
「で、指名手配犯。お前も捕まりたくないなら変装ぐらいしろ。そんで銃とか持ってくんな。変装していても警察は銃の所持を確認したら対応しないといけないんだから」
「………うす」
一旦落ち着いた様子の二人を見、姿勢を正したぺいんは今度は諭すように話しかけた。
「改めて言うけどな。これ、うちの店に限ったことじゃないからな?自分や身内だけで生きていると思うなよ?」
「………はい」
「街には公務員以外にもメカニックやうち以外の飲食やってる市民もいるだろ。店で揉め事起こして出禁になったら?噂なんてすぐ回るよ?」
「申し訳ありませんでした」
「すんませんした」
「黒でも白でも腹は減るだろ。ここはお腹の空いた人に飯を売るところだ」
分かったら帰れ───ぺいんにそう言われ二人はすごすごと帰って行った。
素行の悪かった客を見送り、一息ついたぺいんは裏口から店に戻る前に暗がりに立つミンドリーに声をかけた。
「あのさぁ、後ろで刀抜いて黙って立ってるのやめて?圧、怖いから」
「んー?店員を守るのも仕事だし」
「僕もさすがに銃は隠し持っているからね?とは言え危ないことはしないにこしたことはないでしょ?」
「まぁ、そういうことにしておきましょう」
(ミンドリーが一番怖いのよ)
ミンドリーが刀を収めたことを見届け、二人は店内に戻っていった。
コメント
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続き待ってたァァァ
一番乗り!!