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次の日の朝早くに起きることができた。着替えてから外に出て軽くストレッチをする。それからランニングを始めた。城の敷地内を走り回るのだが無駄に広いからこれがなかなかキツい。
30分くらい走ったところで一旦休憩を入れる。汗がダラダラ流れてくるが拭く暇はない。持ってきた水筒に入っている水をゴクゴク飲んで喉の渇きを満たす。
さて、次は何をしようか、体軽いし、もう少し走り込みでもするか?なんて考えていると、後ろから声をかけられた。
振り返るとそこには、ライアネルがいた。
「また汗臭いことしやがって、王族には要らない努力だってのによ」
ライアネルは吐き捨てるように言う。それを俺は無視して走り始める。ライアネルは何故だか悔しそうな顔をしていた。
アイツは別に運動が出来るような人間じゃないし、それこそ汗臭いことをするような奴じゃないからわざわざ俺を追いかけてくるようなことはしない。
俺のこういう地道な努力は、この城では俺を変わり者として認識させる要因になっているのだ。
俺は無言のままひたすら走る。時折すれ違う騎士たちが不思議そうに俺を見ているが、特に話しかけてきたりはしなかった。
彼らからすればもう日常の一コマだろうしな。
「っふ……っふ……っふ……」
うん。やっぱり今日はなんだか体の調子が良いな。不思議だ。
そしてあっという間に昼になり、昼食を食べ終えて少し休んでから再び訓練を開始する。
今度は剣術の訓練だ。木刀を使って素振りをしたり型の練習をしたりする。素振りは体力づくりのために毎日最低でも100回は行っている。
最初は10回しかできなかったのにな。成長しているのを感じることができるのは楽しいものだ。
ひとしきり終わったらまた走っていく。王族王族、とライアネルは言うが、両親は止めないのか?
そう思う方もいるだろう。あいつらはライアネルが大事だからな。弟の俺はライアネルの盾となり矛となり、みたいな感じらしい。
まあクソほどどうでもいいけど。盾にも矛にもなる気ねえし。
「ふぅ……」
…日が傾いてきたな。もうそろそろ終わるか。
俺は木刀を片付け、タオルで顔や首の辺りの汗を拭う。その時にふと視線を感じて後ろを振り返ると、そこには何故かライアネルが立っていた。
ライアネルは俺が見ていることに気づくとニヤリと笑って近づいてくる。またいたのかお前。稽古とか勉強とかどうした。
まさか終わってからまた来たのか?そうだとしたらお前もはや俺のこと好きじゃん。
「ジェディ、昨日はよくも置いていったな」
「目隠し、外してくれなかったので」
「ふんっ、そんなの知るか!勝手に出て行った罰として今日もついてこい!」
「ヤです」
「拒否権は無い! ついてこい!!」
「もう夕食の時間でしょう。俺なんかに構っている時間はないのでは?お父上とお母上に怒られますよ」
そう言えば、ライアネルはぐっと押し黙る。よし、勝った。
俺は踵を返して部屋へと戻る。今日も一日疲れたわ~。風呂入って飯食ってさっさと寝よう。