sn「うげぇ…なんですかこの青いの…」
cn「これは……血?」
md「チダ……………」
re「いや、見た目は全然血じゃないんだけどね?なんか…感が、ね?」
kyo「…俺の感も、これは血やって叫んどんねんなぁ…」
みんながまじまじと青い血を見つめる。
その血は、どこか禍々しい。
mob「道端に落ちていた時からこの血がついていたようでして…なんせ不気味なものですから、誰も取り除こうとするものはおらず……」
すいません、と頭を下げる町長さん。
直後、クロノアさんがその血へ手を伸ばす。
しかし、町長さんがその手を止めた。
mob「おっと、まだこの液体の検査は終わっておりませぬ。無闇に触れたり、嗅いだりはしない方がよいかと…」
kr「あぁ…そうですね、すいません。」
クロノアさんはサッと手を引く。
何か気になるものでもあったのだろうか。
町長さんはそっとニット帽とマフラーを
机の上へ置き、こちらを向いた。
mob「…で、どうでしょう?こちらは、らっだぁ統領様の物なのでしょうか?」
kyo「…らっだぁの物で、間違いありません。」
mob「!…そうでございますか。」
そう驚いたあと、町長さんは
不思議そうな顔でニット帽と
マフラーをみつめた。
mob「いやぁ…まさか、本当にらっだぁ統領様の物でしたとは…」
mob「…しかし、なぜこんな村に…らっだぁ統領様が訪れたことなど、一度もありませんが…」
tr「確かに…なんでこんな所にこれが…」
md「…ソレニ、コノチ…ナンカヘン。」
re「ほんっっっとそれ!青色の血なんて聞いたことないよ!なにこれぇ…!!」
レウさんが、意味がわからない、とでも
言いたげな様子できょーさんにしがみつく。
しがみつかれたきょーさんも、
その青い血を呆然と見つめていた。
mob「とりあえず…こちら、どうしましょう?一度、こちらで汚れなどを取り除いてからお返しする形に…」
kyo「いや、そのまま持ち帰ります。こちらでその血のことも検査したいので…」
mob「あぁ、分かりました。それでは…」
そう言って、町長は
キョロキョロと周りを見渡す。
mob「…おや?らっだぁ統領様はいらっしゃらないのですか?」
kyo「…あー…あいつ、なんか用事があるとかなんかで来られてないんすよ。」
mob「おぉ、左様でございましたか。すいません、お忙しい時に。」
町長は、申し訳無い、と頭を下げる。
そして、テーブルの上にあった紙袋を取り、
血に手が触れぬよう、そっと大事そうに
ニット帽とマフラーを袋につめた。
mob「では…こちらは、きょー様にお渡しすればよろしいですかな?」
kyo「はい、大丈夫です。帰ったらあいつに渡しときますんで。ありがとうございます。」
きょーさんはそっと袋を受け取る。
その直後、クロノアさんが口を開いた。
kr「すいません。このニット帽とマフラーって、どの辺に落ちていたのでしょうか?」
mob「…あぁ。確かに、そちらもお伝えしておかなければ。」
mob「ちょうど、あちらの方面に…と、口で説明するより、案内した方がよさそうですな。」
町長さんがよいしょと腰を上げ、
役所の扉の方へと移動した。
mob「どうぞ、ついてきてください。案内します。」
着いたのは特に不思議な場所ではなく、
人気が少なめの道路のようだった。
その道路は右側が石垣になっており、
左側には広い田畑が広がっている。
道路の奥には、大きな森林がそびえていた。
町長さんが地面を見渡す。
mob「町の民の話ですと、この辺りに落ちていたそうなのですが…」
その時しにがみ君が、あっ!と
声を上げ、前の方を指さした。
sn「あそこじゃないですか?ほら、なんか青いのがついてる…」
全員がその方向を向く。
しにがみ君が指さしていたのは、
道路の右側…石垣がある方の端だった。
そこには、青い水溜り…いや、
青い血溜まりがあった。
cn「…あそこっぽい、ですね…」
tr「えぇ…血溜まりできてんじゃん…」
俺らは怯えながら血溜まりに近づく。
まだ乾ききってはいないようだが、
半分乾燥してしまっているようだ。
青い血溜まりは、ゴミ捨て場によくある
あの異様な悪臭を強く放っており、
俺らは思わず鼻をつまむ。
re「くっさ!なにこの変な臭い?!」
sn「ここまで来ると、もはや人間殺しに来てますね…」
しにがみ君が苦笑いを浮かべた。
それにつられ、周りのみんなも
苦笑いを浮かべる。
しかし、たった一人。クロノアさんは、
ぶつぶつなにかを呟きながら
真剣に血を観察していた。
kr「…この血、塀にもついてるな…つき方から見て、血が出ている状態で塀にもたれかかっていた可能性が高い…」
kr「だとしても、どこで出血した?この量の出血なら、ここに移動するまでにも血痕を残すはず…」
kr「…移動した後の血痕も見られないな…血痕を消した?…いや、そんな簡単に跡形も無く血痕を消せるはずがない…消せるなら、この血溜まりも消すはずだ…」
kr「じゃあ、一体どうやって…それに、こんなにも出血するような怪我で、簡単に移動できるはずもないはず…なら、どこへ…」
ぶつぶつ呟くその姿は、
まるでクロノアさんとは別人のようだ。
永遠と独り言を呟き続けるクロノアさんに
ついにトラゾーがしびれを切らし、
クロノアさんに声をかける。
tr「ちょっと、クロノアさん?なに一人で固まってるんすか。」
kr「…え?…あぁ、ごめん…」
クロノアさんは、先程のしにがみ君のように
苦笑いを浮かべる。
pe「クロノアさん…なんかさっきの役所のときから様子おかしいですよ?大丈夫ですか?」
kr「いや、なにもないよ。大丈夫。ちょっと気になっただけだから。」
pe「…なら、いいんですけど……」
俺は言葉ではそう言うが、
怪しげにクロノアさんの顔を見つめる。
これでも、知り合ってから10年は
一緒に過ごした仲である。
さすがに、なにかを隠しているなくらいは
しにがみ君も、トラゾーも、
感じていることだろう。
mob「…さて、そろそろ役所へ戻りましょうか。」
cn「そうですね。ありがとうございます、案内までして頂いて…」
mob「いえいえ、これくらいお易い御用ですよ。」
町長さんは、俺らがどんなに暗くても
明るく接してくれていた。
正直、とてもありがたい。
mob「さて…みなさんは、このままお帰りになられますか?それなら、送迎の者を手配しますが…」
kyo「…あー、そうっすね。もう他に用はありませんし…」
きょーさんが、お願いします、と
声を発しようとした時、俺がそれを止めた。
pe「あ、あの!俺の母さんが、夕食を用意してくれてるらしくって…もし良かったら、食べて行きませんか?」
re「え、それほんと?!」
cn「んじゃ、せっかくだしお邪魔させて頂くかぁ。」
md「…ドンナノダロウ…」
運営国のみんなが、ワクワクした様子で
了承してくれた。
sn「久しぶりだなぁ、お母様の手料理!」
tr「ぺいんとの母さん、まじで料理美味いからな。」
こちらもこちらで、二人がワクワクしている。
kr「…そうだね。食べてこっか。」
クロノアさんが笑顔を浮かべる。
しかし、まだ元気は無さそうだ。
mob「それでは、夕食が食べ終わり次第、こちらに連絡してください。送迎を用意致します。」
kyo「あ、ありがとうございます、何から何まで…!」
俺らは町長と別れたあと、
ゆったりとした足取りで俺の実家へと
足を運んだ。
pe母「まぁ、いらっしゃい!よく来てくれたわねぇ!」
チャイムを鳴らすと、すぐに俺の母親が
扉を開け、出迎えてくれた。
夕食のいい匂いが、玄関にまで漂ってくる。
kyo「こ、こちらこそ、ありがとうございます。」
きょーさんが、また緊張した様子で
かしこまった返事を返した。
pe母「もう、そんな緊張しないで!ぺいんとのお友達さんでしょう?ゆっくりしてって!」
kyo「は、はい…」
お母さんの元気さをみて、きょーさんが
少し安堵の表情を浮かべる。
pe母「さぁさ、入って入って!沢山用意してあるから、沢山食べてね!」
sn「はい!遠慮なく食べさせて頂きます!」
しにがみ君が元気よく返事をした。
少しずつだが、きょーさん達も最初よりかは
明るくなっているような気がする。
俺は嬉しくなりながら、
久しぶりの実家に足を踏み入れた。
kr「………青い、血……………………」
コメント
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半分乾燥してなくとも乾ききっていないということは、、まだそこまで日が浅くない!そうであってほしい!!(切望)
なーに考えてるのかなnaさんは…w 青い血て多分rd知っとる人ならわかるんやろうな