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いつもながらに賑やかな街に、今日も食材の買い物に来ている。
今日はディーダとノインとの三人。少し買い物の量が多くなりそうだったので、お願いをしてついて来てもらった。
「今日の夜、何を食べたいですか?」
お駄賃代わりに今日の晩御飯のリクエストを聞いてみると、彼らは声を揃えて言った。
「肉だろ」
「肉でしょ」
相変わらず気が合うようだ。
いつも通りの反応に、思わず私は笑ってしまう。
が、二人の論争はいつだって唐突に始まる。
「せっかく肉を入れるんなら、牛にしろよな、牛に」
「は? 何言ってんの? 鳥一択でしょ、センス無いなぁ」
ディーダのリクエストにノインが異議を申し立てた。
その瞬間、二人の間に見えない火花が散ったように見えた。
「センスって何なんだよお前、腹を膨らませるのにセンスが必要なのか? あぁ?」
「牛なんて焼くと固いし」
「何言ってんだ、鳥なんて焼いても柔らかくてキモイだろ!」
ただの好みの問題だ。騒が強い二人を筆頭に、先に野菜を見繕う。
その途中でふと思った。
「因みにお魚は――」
「「魚は敵だ!」」
お魚はどうですか? という提案は、早々と二人に突っぱねられた。
二人のすごい剣幕に思わずビックリしている間にも、二人はそれぞれ不平を口にする。
「魚はめっちゃ生臭い! あんなの食えたもんじゃねぇ!」
「どんなにマズかったって、肉なら腹が減ってりゃ食べるよ。でも魚はダメ。一体どこが美味しいの? って感じ」
「そうでしょうか。食べてみれば美味しいと思うのですが……」
肉よりはたしかに少々癖のある味かもしれないけれど。
お魚の散々な評判に、思わず苦笑いをする。
そんな私たちを見て、野菜売りのおばさんが言った。
「何だいあんたたち、そうやって晩御飯の相談をしてるところを見ていると、もうすっかり『家族』だねぇ」
家族。その言葉に、思わずキョトンとしてしまった。二人を見ると、ちょうど私を見ていた二人と目が合う。
お見合いになって、しっかり三秒。おばさんの方に視線を戻した。
「まぁ仕方がないよね、なんか二人とも危なっかしいし」
「常識知らずと口だけ達者、見張ってないと絶対に妙な事に巻き込まれるから仕方がねぇだろ」
「お二人の健やかな成長のために、私にできる事はまだありそうだとは思います」
繰り出されたそれぞれの言い分に、今度はおばさんがキョトンする番だった。
しかしすぐに「そういう所だよ、息ピッタリだ」と笑いだす。
ディーダが反射で「あぁ?」と凄み、ノインは「は?」と聞き返す。
見かねた私が「二人でいいお肉を選んできてくれませんか?」と言うと、二人はすぐに、まるで競うように駆けだした。
楽しげなおばちゃんから売れ残りのオマケを少しつけてもらってから、私も二人の後を追った。
~~第一巻、Fin.