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ピンクのフリルに赤いリボン
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ギンガムチェックのワンピース
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ブランド物のバッグ
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どれもこれも輝いて見えた。
そして、どれもこれも身につけている人は美しかった。
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周りが霞むくらい輝いて見えた。
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そんな輝く人たちを横目に
引き立て役となるのがお決まりだった…
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第10話 重い足を引きずって
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時計は午後19時を回っていた。
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彼女の家から駅までは相当な距離があったため帰りはタクシーを呼んで貰った。
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今日は来てくれてありがとっ!って。
タクシー代3000を無理やり渡してきて。
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お礼を言わないといけないのはこっちなのに。お金まで貰ってなにしてんだろ。
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彼女は笑顔で見送ってくれた。
お互いが見えなくなるまでずっと手を振った。
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緊張がほぐれて体の力が一気に抜けた。
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窓から見える広大な自然をぼーっと見つめていたら タクシーのおじさんがちらっとこちらをみた。
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運転手『おぉ、大量の荷物やなぁ、こんな森ん中にディズニーランドでもあったかいねぇ~』
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葵『あぁ、これですか…笑』
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両手には大量の紙袋にはみ出た沢山の雑誌。
これも全て彼女から借りた物だった。
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ファッション雑誌にコスメ集雑誌にデパコスの香水。
オマケに彼女が使わなくなったコスメなどが大量に入っている。
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葵『友達…の家に行ったので、、、そのお土産です』
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運転手『ほっほっほっ。太っ腹なお友達だねぇ』
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_ほんと、太っ腹どころじゃないよね。_
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運転手『そんな大量のお土産持ち帰ったら、親御さんもビックリするねぇ』
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ハッとした。
完全に忘れていた。親の存在を。
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今まで自分が欲しかったコスメや服や飾り物は親に一切ねだったことが無かった。
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輝く女の子を見る度に
そういう人の生きる世界とは違う次元にいる事実を認識させられて、吐きそうで苦しくて、
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でも誰も助けてくれなかった。
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親の求める理想像で、
自分を隠しながら生きてきた。
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自分が求める世界は
自分の手が届く世界では無かったから。
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なのにこんなもの急に持ち帰ったら
想像しただけで背筋が凍る。
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_まずは将来のこと、よく考えなさい_
_余計な事をするな。後々後悔するぞ_
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両親にはさんざん言われてきた。
それからは一切の自分を隠してまじめに勉強してきた。
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_成績上がったね。偉いよ葵_
_勉強が出来ればな、世の中怖いものないからな、頑張れよ_
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勉強さえ頑張れば両親は褒めてくれた。
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家では完全孤立状態になった。
親と話す頻度も徐々に減り、お互いの顔を見ることも減った。
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毎日必死に勉強して、
余計なことを考えないで。
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家を出るまでの辛抱だと思って一心不乱に耐えていた。
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でも無理なんだ。
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親の言いなりの人生なんて…
好きなことを出来ない人生なんて。
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今日、家に帰ってこれを見せよう。
好きなことを精一杯、
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今度は親のためにじゃなくて
自分のために生きていきたい。って。