テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
藤澤side
マネージャーが手続きを済ませ、
こちらへと戻ってきた。
「お待たせ。行こ」
そう短く、こちらに告げると
スタスタと先に歩き始めた。
「うん………」
少し寂しさを覚えるものの、
この状況で普段通りでいられるわけが
ないのだ。
しょうがないことだろう。
今、平静を保っていられることですら
褒め称えられるべきことなのだから。
それより何より、 僕は若井のことが
気になって仕方がなかった。
さっきからずっとぼーっとしている。
まさに、心ここに在らずという感じなのだ。
もちろん、
元貴のことはすごく心配なんだけど…
若井、無理しちゃうから。
すごく男の子らしいし
かっこいい若井だけど、
ミセスの中では最年少。
それに、こんなに余裕がない若井を
初めて見た気がする。
いつも明るい彼は太陽のような
笑顔で瞬く間に人を笑顔にしてしまう。
そんな太陽のような人だからなのか、
それとも彼としてのプライドなのか。
若井はあまり相談というものをしないのだ。
どんなに大変なことがあったって
大抵、普段通りに振る舞う。
昔は
全く売れなくてライブ会場もガラガラで。
そんな日だっていつも
「大丈夫!思いっきり楽しむぞー!」
なんて言って、元貴に呆れられてたっけ。
何があってもどれだけ苦しくても
表面上はいつも太陽の笑顔。
そしてそれを無意識でやってのける。
自分が無理していることに気づかない、
無自覚なのだ。
フェーズ1の終わりが決まった頃
だっただろうか。
若井に聞いたことがあった。
「若井はさ、いつも元気に笑ってて
疲れないの?」
そんなことを聞いた僕は少し意地悪を
言うつもりだったのかもしれない。
だって、あの時期だったんだ。
自分が悪態を着いていたことに
今更言い訳をするつもりもないけれど。
フェーズ1の完結。
それはつまり、
メンバー二人の脱退を意味する。
今まで共に泣いて笑って、支え合ってきた
メンバーがもう、いなくなる。
そんな状況で人を気遣え。
思いやりを持って気を配れ。
だなんてこと、まだまだ若く、
青かった僕には できるはずもなかった。
「え?なんで?」
でも若井は何も気にしていないというふうに
あの「太陽の笑顔」をこちらに向けた。
「だって若井、
全く変わんないっていうか…」
「いつも笑って励ましてくれて
ばっかりだし」
「こんな状況なんだから、
若井だって無理しないで
弱音吐いたっていいのに」
若井の目も見ずにぼそぼそと
言葉を紡ぐ僕。
年上にして情けないなと我ながら思った。
そんな自分に飽き飽きしながら
こんな愚問をしてしまった
罪滅ぼしをしようと僕は再び口を開いた。
だが、開かれた口から声が発せられることは
なく、ただ掠れた息が漏れただけだった。
なのに、若井は首を傾げながら
「えー!そんな風に見えてんの!?
そんなつもりなかったわ!」
と、軽く弾んだ声で笑い、
「まあ、キツそうだったら
涼ちゃん助けてよ!笑」
「じゃあ俺もう行かなきゃだから
またね〜!」
そう冗談めかしてお茶目にはにかむと
軽くスキップするような足取りで
去っていった。
今、なんじゃないか。
僕が若井を助けるのは。
僕が若井を救うのは。
11話読んでくださって
ありがとうございました!
最近このお話で大森さん出てなくて
申し訳ないです💦
がんばってどんどん
書き進めようと思います!
ここからは全く関係ない話なんですが
このお話の10話を書く前、
もう書くの途中でやめようと
思ってたんですよ
学校のことも部活もすごい忙しく
なっちゃってて…
でも、いいねしてくださる方がいたり
コメントでこのお話が大好きだと
言ってくださる方がいたり
そのときにすごい「やっぱり頑張ろう!」
と励まされまして!
ほんとに単純なものですが、
人の暖かい言葉の力はすごいなと
改めて思いました
何度も伝えているつもりではありますが
私のお話を読んだり、
いいねしてくださったり、
コメントしたりし て くださっている皆様。
本当にありがとうございます!
これからもゆっくりにはなりますが
頑張るのでよろしくお願いします!!
コメント
2件
はるんさん、いつも素敵な小説、ありがとうございます 忙しい中更新してくださり、とても嬉しいです 次話、ずっと気長に待ち続けます! これからも応援させてください!!
うわあ…藤澤の視点、すごく切なかったです。若井が「太陽の笑顔」で無理してるのに本人も気づかないタイプって描写、グッときました。過去の「涼ちゃん助けてよ」の台詞が今、重く響く。これは後で若井を救う展開になるのかな…。それと作者さん、忙しいのに続けてくれてありがとう。人の温かい言葉で頑張ろうと思えたというエピソード、胸が熱くなりました。これからもゆっくりで大丈夫、応援してます!
33