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わこまり。
気分が落ちてるから、良い小説が書けそうです。
ははは。
暗めの話だから、
そこだけは注意して。
▷sha
彼には、自分の身を大切にしない癖があった。
仲間に対して過度の信頼を寄せ、自分に対しては厳格な人だった。
味方最大の脅威だとか、生きる殺戮兵器だとか、人聞き悪い噂ばかり経っていた。
なのに、自分の手厳しく、俺らには優しく接していた。
笑顔が絶えるときなど、めったになかった。
心、壊れてただろ
体もボロボロだっただろ
だから、こんなことになる
俺は言ったのに。自分のことも見てやれと。
彼はふっと笑って、そっけなくありがとうと言って、次の戦争はいつかなんて話逸らして、
無理して笑ってほしいなんて、思っていない。
お前の無理した笑顔なんて、一度も見たくなかった。
目元を隠して、笑ってるって言い張っても、信憑性なんて微塵もないっつの
隠し始めた時、「イメチェンや、かっこええやろ」なんて言ってたっけ。
嘘がバレバレすぎて失笑した記憶が鮮明だ。
刺された目を見せたくないから、って
素直に言えばいいのに。
▷
なんで、
今更こんなこと。
俺が、なにしたって
今、強く願ったって
何かが変わるわけでもないのに
奇跡が起きるわけでもないのに
無駄な願いを込めてしまう。
死んでほしくなんかないって、
あわよくば、
生き返ってほしいなんて。
考えたところで虚しくなるだけなのに
俺の空っぽな心は、受け入れたくなんかない、と叫び続ける。
自分の手に涙が落ちていた。
自分でも気づかなかったが、
爪跡が残るくらい強く握っていた。
自分の手は、汗でぐっしょり濡れていて気持ち悪かった。
悔しいのだろうか?
ちがう。
悔しいだけで終わらせてはいけないと思った。
悲しみでもなくて、悔しさでもなくて、怒りでもなくて。
自分の心は空っぽなのに、重すぎる気持ちだけが上に圧し掛かっていて。
今にも押しつぶされてしまいそうだった。
▷zm
あの一場面が、両目に映った。
忘れかけていた、両目で見えるクリアな景色。
クリアになんて映したくなかった、この景色は
自分が鑑賞しているかのように、第三者の視点で映っていた。
ゾムは敵の大将に走った。
目にもとまらぬスピードで、小型のナイフを相手の心臓に突き刺した。
的確に、少しの無駄もない動きで、確実に相手を仕留めた。
ナイフを抜く瞬間、横腹にえぐられたような激痛が走った。
敵の大槍が腹を貫通し、内臓を引き裂いた。
ゾムの手からはナイフが滑り落ち、立つ力さえも失った。
槍が腹の中で僅かに動く度に、ゾムは呻き声を上げ、血を吐いた。
大量出血の末に、灰色に濁っていた世界がさらにぼやけ始め、意識を失った。
▷
はっとして目を開けると、またしても両目にクリアな世界が映った。
さっきまで、何を見ていたのかなど忘れていた。
草原だろうか。ここは死後の世界のように美しかった。
うららかな日差しがあって、湖には蓮の花が咲いていた。
昔から、何もしていない時間は嫌いだった。
のんびりとした足取りで、久しぶりにゆったりとした時間が流れていくのを感じていた。
どのくらい歩いていたのだろうか。
終わりはなく、疲れもなく、風景の変わり映えもしなかった。
のどかな時間は、機械的な動作によって退屈へと変わっていた。
「いつまで、続くんやろ」
ぽろっと口にして足を止め、地面に視線を落とした。
草が生い茂る中に、小さなスコップを見つけた。
何の躊躇いもなくそれを拾った。
スコップの先は少し汚れていて、いかにも使い古した感じだった。
シャオロンも、此処にいるのだろうか。
どうせ、ロボロ追いかけまわして遊んどるんやろな。
また一歩、一歩と足を進めた。
次は、何が手に入るだろうと、期待に胸が膨らんだ。
風景ばかりを見ていた目は、いつしか地面を見つめるようになっていた。
「あ、」
本を見つけた。
蝶柄の栞が挟まっていた。
中身を開いてみたけれど、字など一文字も書かれていなかった。
エーミールもここにいるのだろう。
きっと今頃、焦ってこの本を探しているか、ショッピの遊び道具として弄られているか、大先生に育毛剤を勧められているかのどれかだろう。
滑稽な姿やろな。早く見たい。
足取りは早くなり、軽くなった。スコップを右手、本を左手に抱えて、草原をひたすらに歩いた。
次は、誰がいるのだろうか。
「…ww」
明らかに草原にはないものを見つけて、笑ってしまった。
プロテインのボトル…きっとロボロは今頃、血眼になって探しているだろう。
早く届けてやらな。
…一口飲んでみたが、味はよくわからなかった。ごめんなロボロ。
ロボロは筋トレでもしているんだろうか。
いや、草原で空気も読まず筋トレなんて…彼奴はするような奴やったなw
また、自慢話を聞いてやろう。
本をズボンのポケットにしまい、プロテイン片手、スコップ片手に草原を散策した。
傍から見たら変な奴だ。
…でも、これまで一度も人と会わないのは少し怖かった。
風景が変わらないのも、気が狂いそうになる暗い気持ち悪かった。
それでも、あいつらの落とし物探し、なんて考えたら気分は上がる。
各々がどんな反応を見せてくれるのだろうか、なんて考えるだけでも口角は上がってしまう。
「うわぁー」
ライターが落ちていた。
大先生が真っ青な顔して冷や汗をかきながら、
「なぁ、俺のライター知らへん(´;ω;`)?」
と聞きまわっている様子がありありと浮かんできた。
てか草原で煙草吸おうとしてんのか彼奴は。草木にまで失礼な奴や。
微笑して、胸ポケットにライターを仕舞い込んだ。
届けてやったら、きっと涙目で感謝を述べてくるだろう。
そのすぐ近くには、誰のものか一発で分かる二つのものが落ちていた。
ヘルメットとグルグル眼鏡。
最近入ってきた新人の二人の象徴のようなものだろう。
どこか煽り癖のある二人は抜群に相性が良かった。
それは、戦争でも戦争のときじゃなくても。
というか今二人ともこれらを付けずにいるってことやんな?
チーノの瞳は見たことがないから、クリアな視界であるうちに一目見ておきたい。
ショッピ君がヘルメットかぶっていないなんて…どうせ昼寝でもしていたのだろう。
…ということは、皆が近いのではないか?
そう思って、心が躍った。
やっと会えるのか、と
何をしていたのか、きっちりと聞かせてもらおう。
近くの葉っぱを使ってスコップの土を落とし、ズボンのポケットに入れた。
眼鏡は胸ポケットにしまい、ヘルメットは小脇に抱えた。
皆、こんなにのどかな場所に来て浮かれとったんやろ。
揃って落としものするなんて、面白いな。
そんなことを考えて足を速め、
自分の心も浮かれ調子になっていた。
正面向いてルンルンで歩いていたところに、目に留まるものが落ちていた。
赤いマフラー。
……書記長。
これ、失くしちゃいけないものちゃうんすか。
今まだ極寒の冬なのに。…まあ、此処はうららかでぽかぽか陽気だから、外すのも納得できる。
手放したことなんて、なかったやろ。
そういえば、これまで見つけてきたものたちは、
スコップ
シャオロンがいたずらの時に常に持っていた謎の武器。
本
エミさんと会うときは本読んでるか本読みながらコーヒー飲んでるかの二択だった。
手放しているところなんて見たことがない。
プロテインのボトル
ロボロは食事のときすらこれ持ってきてたな。
相棒やからな!…とか言ってたっけ。
ライター
大先生が手放しているところを、俺は一瞬たりとも見たことがない。
暇なとき、任務中でさえ煙草吸っとる奴やから。
ヘルメット、グルグル眼鏡
アイデンティティのようなものだ。二人にとっては。
失くしたらすぐ気づくはずだ。
そう考えると落ちていること自体おかしい。
赤いマフラー
これに関してはトントンが一番大切にしているものと言っても過言ではないだろう。
夏は外しているが、今は冬のはずだ。
全員が、大切なものを失っている。
何があったのだろうか。
何はともあれ、早く彼らを見つけて届けに_____
耳元で、いきなり声がした。
総統の声、しかもとても焦っているようだった。
「グル、」
「振り向くな。」
「え……、なんで、」
「あいつらは、?今何しとるん?どこに居る!?」
「お前も、大切なものを失っている」
「それを、取りに行ってこい」
「なんや…俺は今目もなんでか知らんけど復活しとって、五体満足で失ったものなんて…」
「失ったものには気づきにくいものだ」
「走れ」
「俺は__」
「良いから早く!走れ!!」
「っ、…会えるんよな、ッ ?みんな、この先に 居るんやな…?」
「信じていれば、きっと見つかる」
「泣いても、叫んでも、辛くても、走り続けろ。」
「待ってるから 」
その一言は小さくなった。
力強いその声を信じて走った。
走って、
走って、
走って、
息が切れても、
横腹が痛くなっても、
目がぼやけても、
走り続けた。
目がぼやけて、世界がクリアじゃなくなった。
うららかな日差しはいつしかなくなっていて、辺りは暗く、黒くなっていた。
それでも、走った。
怖かった。
感覚が消えていくようで。
体が焼けるように痛くて。
辛かった。でも、走り続けた。
そのまま、意識が薄れてきた。
走っているのかさえ、分からなくなってきて、
気づいた。
俺は、死んでいたんだ、と。
失くしたものは、命だったんだと。
そして、俺が総統から受け取ったもの。
指示。
グルッペンは指示をなくしていた。
総統に指示を与える能力が無かったら、それはもう大惨事だろう。
そのことに気づけて、ほっとして、力が抜けて。
微かに、
心臓の音が聞こえた。
泣き声が聞こえた。
あぁ、泣いているのか。
悲しんでくれているのか。
…はは、実は死んではいないんだな、これが。
皆のおかげ。
失ったものを、思い出させてくれた、
幹部、全員の、おかげ。
からかうのも程々にしようか。
手に感覚がある。
医務室のベッドの上だろう。
そろそろ、
起きてもええんちゃうかな。
「ぉは、よ…w」
目を開ける前に、言葉が出てきてしまった。
薄っすらと目を開けると、全員が目を丸くしてこちらを見ていた。
全員の目は赤く腫れていて、涙が伝った跡がくっきりと残っている者もいた。
gr「おかえり、ゾム」
「ただいま、総統」
「皆も。…その、ありがとうな。」
「あと、ごめん。心配かけt」
ci「し…死んだかと思ったんやからな?こっちは…」
shp「心配どころじゃないんすけど…?」
rb「謝るなこんな時に…!死にかけてごめんなさいだぁ?そんなこと言うたらもう…怒るよー?」
ut「せやでゾム。任せっきりだった俺らこそ謝る立場やんか」
em「そうですよ!…でも、一旦落ちつきましょ、」
tn「とりま、生きててよかった。」
「そ、っか…」
「グルッペン、」
gr「ん?」
「失くした…もの、見つかった、わ」
「あざ、す」
gr「…そうか。」
sha「お前はぁぁぁ何回俺の涙腺を崩壊させたら気が済むんやぁぁぁぁ(泣)」
tn「シャオロンは目の前でみとった分、衝撃でかかったからな」
sha「せやぞぉっ、…うぅ(泣)」
sha「一歩。ガチでほんの一歩だけ遅くて…手遅れに、なったら…俺に責任が、あるから」
sha「怖くて…」
シャオロンの声は裏返っていた。嗚咽混じりになりながら、彼は言葉を紡いでくれた。
自分のために、こんなに__
「俺は、幸せ者やな…w」
もう、心配なんてかけられないな。
最後までありがとね。
長くなってすまねぇ。(約5250文字)
おつまり。