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「いらっしゃいませ。ようこそ大栄建設へ。見学だけでもお気軽にどうぞ」


優しそうな笑顔に、ドキっとした。

爽やかで素敵な男の人。顎のラインもシュッとしていて、切れ長の涼し気な瞳が綺麗だ。私は思わず彼に見惚れてしまった。


「おーい」


小声で呼びかけられ、光貴に肘でつつかれた。目の前の彼を凝視してしまったことを詫びた。しかし彼は気分を害した様子もなく、爽やかな笑顔で私に聞いてくれた。「新婚様ですか?」


「はい。結婚して一年半ほどになります」


そこまで細かく言う必要は無かったと思うけれども、聞かれたので正直に答えてしまった。


「左様でございますか。お客様方は、現在既に色々な展示場を回られていらっしゃると思いますが、是非、他社を圧倒する我社の強みをご覧頂き、ご検討頂ければと思います。館内をご見学の際、お持ちのパンフレットが重いでしょう? お荷物として、こちらでお預かり致します」


すっと流れるように手を差し出された。


素人の私でも解る。この男、仕事めちゃくちゃできる人!

ふつうは他のハウスメーカーでもらったパンフレットなんか、預かってくれないよ。

優しいなぁ。営業マンの鏡だと思う。


私は一目でこの新藤さんを気に入った。優しそうな所も、デキそうな所もいい。なにせよスーツプラス眼鏡! 私のツボをガッチリ押さえてる。


一般の人にここまでトキめいたのは、初めてだった。二次元のイケメンとRBの白斗以来だ。

差し出された手をこっそり見つめた。新藤さん細い手に綺麗な指。あ、左手の薬指、指輪無い。結婚してないんだ――そこまで考えて我に返った。


光貴と結婚している私が、そこを確認してどうするの?

目の前の新藤さんが独身でも既婚者でも、私にとってはどちらでもいい話。


ただ、独身だ思うとなぜか嬉しい。でも私には関係ない。私は結婚しているから。


「お荷物プレートはこちらです。この番号札をお持ちください」


新藤さんに荷物プレートを渡してもらった。プレートには『7』と書かれている。ラッキーセブンだと思った。幸先いい。

だって…こんなイケメンスーツ眼鏡営業マンがマイホームの物件担当になれば、さぞかし良い家が建ちそうな気がする。私の中で新藤さんは、二次元で一番の爽やかイケメンスーツ眼鏡男となった。彼の推しならなれる。


「お帰りの際、お預かりした荷物はプレートと引き換えでお返しさせていただきます」


詳しい案内を行う前に、新藤さんが私たちに向き合い、丁寧に頭を下げて名刺を渡してくれた。


「申し遅れました。私(わたくし)、大栄建設営業担当の新藤博人(しんどうひろと)と申します。どうぞよろしくお願い致します」


新藤さんの名刺を受け取り、先ずは玄関から右隣の開放的なオープンキッチンに案内して貰った。


展示場を見回って気が付いたけれど、各メーカーが見学用に建てているモデルハウスは住居用ではなく、各部屋毎に案内したい強みを提示してあるので一軒家としてのイメージが掴みにくかった。統一感があまりない造りが多かったのが印象だ。

でもこのモデルハウスはきちんと一軒家をベースに各部屋が作られていて、イメージが持ちやすかった。私ならこうしたいと理想が膨らむ。

各部屋を見回り、ガラスの向こうに展示されている空調設備の断面が見られる場所で、新藤さんがこのモデルハウスの特徴を説明してくれた。


「一番の特筆すべき、弊社の強みをご説明させて頂きます。我々の住宅は、全館床暖房を採用しております。気密性も他社を圧倒し、独自の技術で開発した断熱材を利用する事によって、室内の温度を最適に保つのです。今日割と冷えていますが、弊社の住宅は暖房器具は床暖房のみで、一切エアコンもストーブ類も使用しておりません」


「すごいですね」


率直に感想を述べた。新藤さんの言う通り、このモデルハウスは他に比べて室温が快適で温かかった。すごいなぁ、と光貴も同様に感心している。


でも、全館床暖房なんて電気代めっちゃ高いのでは……!

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