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テラーノベル(Teller Novel)
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 早くも教会に住み始めて五年が経った頃――僕は十二歳になり、リーズも十一歳になった。

 五年前と比べ、力も強くなり、文字に関してもミレーユに教えてもらい、本などもすらすら読めるまで成長した。

 王国に住む子供達は、王国内にある学校という教育施設に通って勉強しているらしい。

 リーズはというと、五年前とは違い短かった髪も長くなり、無邪気だったあの頃とは違い大人びている。そして、暇さえあれば教会にある本を読み学勉に励んでいるが、どこからそんなやる気がでてくるのやら……。

 まあ、それはいいとして、勉強をしていない時や食事の時など、僕が近づくとすぐに距離を置こうとする。

 なぜ、離れていくのだろう?

 もちろん、リーズが嫌がることをした覚えはないし、あまりちょっかいを出すこともない。

 本当に女心って難しいな。

 ミレーユに聞いてみれば何か分かるかもしれない――女性同士だし。

 僕は食事の支度をしているミレーユに会いに食堂まで向かった。

 食堂に近づくにつれ、美味しそうな匂いが漂ってくる。

 どんな料理を作っているのだろうか……?

 そして僕は食堂に訪れ、ミレーユに悩みを聞いてもらった。

「ミレーユ、最近リーズが僕から離れていくんだ。何か聞いてない?」

「うーん……そうね。思春期だから一緒にいるのが恥ずかしいのよ。きっと!」

「でも、僕は全然恥ずかしくないよ」

 ミレーユは困った顔をしながら、今いる食堂からリーズがいる書斎へと向かって行った。

 何か告げ口したかのような感じになってしまった……。

 リーズが怒って僕の所にこなければいいが……そんな不安とリーズに構ってもらえない寂しさもあり、どうしても落ち着かない。

 僕は一旦、自分の部屋に戻ることにし、ベットで横になりながら考えた。

 ミレーユに提案された〝習得の儀〟を受けるか受けないかを。

 その習得の儀とは、自分の中に眠る潜在能力を引き出し、各個人にそれぞれ向いた固有スキルが神から与えられるというものだ。

 十五歳になれば、教会で儀式を受けられるのだが……どうするべきかを悩んでいた。

 固有スキルを習得したとしても、復讐の役に立たなければ意味がない。

 俗にいう弱小スキルと呼ばれるものを獲得してしまった場合、僕自身どうしたらいいか分からなくなりそうで怖い。

 何で今、そんな三年後の儀式に気にしているのかは、ちゃんとした理由がある。

 実はこの儀式、十五歳になっていなくても一応、受けられるらしい。

 もちろん正規のルールではないが、教会の神父・聖女の資格を持つ者が受けていいと判断すれば受けることができる、とされている。

 まあ、僕の場合、ミレーユが聖女としての資格を持っているため、いつでも受けることができるという訳だ。

 そんな感じで僕が一人で悩みごとをしていると、

「ねえ、リヒトいる?」

「いるよ。ていうかお前の部屋でもあるんだから、普通に入ってこいよ」

「そう、なら入るわ」

リーズは部屋に入り、自分のベットに腰掛けた。

「んふふ、リヒト。最近、私と喋ってないから寂しかったみたいね!」

「ハア! 別に寂しくなんか……」

「ミレーユに相談したくせに!」

「ぐっ、確かに相談はしたけど、あれはお前が悪い。だって近づくと離れるし、話しかけると無視するし、まるで僕を避けてるみたいじゃないか!」

「避けてないわよ。職業のことを考えてたの」

 リーズはどうやら僕と一緒で今後の方針について考えていたようだ。

 正直、働いてみたい職業なんて僕自身にはない。

 それ以上に大切なことがある。

 僕にとって一番優先すべきことは、王国にあの時の復讐をすること、そしてリーズを守ることだ。

 今はそんな力はないが、いつか最強の力を手に入れ、あいつらを皆殺しにし、必ずロベルト王国を滅ぼしてやる。

 僕は真剣な眼差しでリーズを見つめながら再確認した。

「あの日、僕とリーズは家族を殺された。そして、復讐を誓ったんだ。もう一回聞くぞ、本当にいいんだな?」

「うん、この命に懸けても復讐はやり遂げる……必ず、ママの仇を」

 そう答えたリーズは、もう一度固く決意したかのように拳を強く握りしめた。

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