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~ディファレント=エヴォリューション 第二話~
ファル「――お、来たな!」
チーノ「おはよう…」
午前9時。昨日の約束通り、私はファルの家に来ていた。
ファル「よく寝れたか?」
いやいや寝れるわけないでしょ!何!?あれ何も説明されてなくてよく分かんないし怖かったんだけど!死ぬかと思った!逆になんでそこまで気の利かない言葉を言えるの!?…という感情を抱えつつも、「まぁうん」と答える。
チーノ「色々言いたいことはあるんだけど…まず、この家どうするの?扉壊れてるし、周りに地割れ出来てるし…住める環境じゃないような…」
ファル「捨てる」
チーノ「捨てる!?」
ファル「壊れかけな上に居場所がバレたんだ、掃除してもらって悪いがここはもう使い物にならないぞ」
チーノ「うーん…居場所がバレたって…昨日居た殴りかかってきた人?」
ファル「まぁそうだな、昨日じゃ説明が足りなかったかもしれねぇからもう一回説明すると」
ファル「ある博士により、全てを破壊するべく”造られた”ポケモン達がこの世には居る。昨日のズルズキンはまさしくその一員だ」
ファル「俺もその一人として造られた筈だったんだが、何かの間違いだったのか、俺は意思を持って生まれた失敗作だった」
ファル「博士はそれを気に入らなかったからか、ズルズキンみたいな奴らを使って俺を始末しようとしてるってこった」
ファル「今まで居場所はバレてなかったけど、今になってバレたんだよ。多分」
チーノ「へ、へぇ…」
チーノ「(なんかすごい大変な人と関わってしまった…)」
この時、謎の後戻りできなさを感じた。
ファル「ちなみに博士に造られたポケモンは仮でギガグループって呼んでるけどまぁ、好きに呼んで良いんじゃね?」
チーノ「あと、あれは…姿が変わったのはなんなの?」
ファル「ギガシンカってものでな、博士が造ったポケモン限定の特殊能力だ」
ファル「その前にメガシンカって知ってるか?」
チーノ「知らない…」
ファル「あれの亜種というか応用みたいなもんだ。体に張り巡らされてるギガエネルギーにより身体をムリヤリ改造して、一時的に戦闘能力が膨れ上がる」
チーノ「よく分かんないけど強くなるって事だよね…」
ファル「そゆこった」
チーノ「それで、ここからどうするの?家捨てると言われても」
ファル「とりあえず飛んでどっか遠くに行く。強い団体とかに入れれば襲われにくて楽なんだが、しばらくはとりあえず空の旅しながら野宿だな」
チーノ「えぇ、野宿!?私を連れてく必要無いでしょ!」
ファル「何言ってんだ?居場所がバレたんだぞ?」
チーノ「え?」
ファル「なんかよく分かんないけど昨日のズルズキンの発言からしてお前も狙われてるみたいだし俺が遠くに連れてかないと、お前は多分殺されるぞ」
チーノ「えぇぇ!?」
チーノ「(私近頃死ぬのかな…)」
ファル「分かったら俺に乗れ」
チーノ「ちょ、ちょっと待って……それってこの先ずっと安定した生活出来ないって事だよね…」
ファル「ふぅん?まぁそうだけど」
チーノ「…なら……ちょっと………嫌」
ファル「あぁん!?」
チーノ「やっと安定した生活が出来ると思ってたのに……昔みたいに……これからまた路頭に迷うのは嫌…」
ファル「……でも行かないと死ぬんだぞ?もう自分のせいで人を死なせたりしたくないんd…」
チーノ「分かってるよ!!」
食い気味に強く言うと、ファルが少し驚いてるのをチーノは見る。
チーノ「…ごめん……落ち着いたら決める」
チーノ「………」
チーノ「………?」
旅立つかどうかを考えながらそこら辺を歩いていたはずが、いつの間にかチーノが働いている便利屋会社『ポケモンハンディ』の前に立っていた。
チーノ「…いつの間に」
そして、扉からポケモンが出てくる…
コジョンド「…ん?」
チーノ「あっ、先輩!」
コジョンド「あれ、先日に続きファル氏の掃除するって言ってなかった?」
チーノ「本当はそうしたかったんですが……あはは〜……」
コジョンド「?まぁいいや、もし会社に用が無いなら折角だしカフェでも行こうよ」
チーノ「えっ、先輩は会社どうしたんですか?」
コジョンド「人手が足りててデスクワークすらやらなくて良いってさ」
チーノ「へ、へぇ…」
コジョンド「くぅ〜っ!やっぱり仕事後のコーヒーは最高…」
チーノ「お酒みたいなテンションで言わないでください…」
チーノ「…あの先輩……も、もしもの話ですけど…急に旅に出て野宿で生活しなくちゃいけなくなったらどうします?」
コジョンド「どうしたの急に?」
チーノ「えっ、いや…」
コジョンド「うーん…時と場合による」
チーノ「〜〜っそりゃ時と場合によるけど…」
コジョンド「まぁ、何があっても流れに身を任せてればなんとかなるんじゃない?」
チーノ「そうですかね…」
コジョンド「君にとっての大事な人ならどうするかって事でも考えておけば?」
チーノ「!」
チーノ(もしお母さんなら……)
するとバッと立ち上がって言う。
チーノ「……退職します!コーヒー代は置いておきます、社長によろしく言っておいてください!」
コジョンド「え!?」
チーノ「ではさようなら!」
コジョンド「えっ、ちょ…」
店を出た時にはもうチーノの姿は消えていた。
コジョンド「え…あの質問マジだったの?」
家を避けて、人をくぐり抜け、元・ファルの家へ向かう。
チーノ「ファル!」
ファル「うぉぉびっくりした」
チーノ「私、行くよ。こんなとこで死ねない」
ファル「……さっきまであんな感じだったのにどこからそんな決意が」
チーノ「先輩と話した」
ファル「…」
チーノ「……」
ファル「…それだけ?」
チーノ「そうだけど!何!?変!?」
ファル「分かった分かった、早く行くぞ」
ファル達は飛んでいく。
だが、そういう時こそ影の目は光るものだった。
「家を壊して逃げる者2名…」
ファル「ん?」
木陰からファルに向かって何かが飛んでくる!
チーノ「うわー!!」
チーノ「急に降下しないでよ!落ちるかと思った!」
ファル「何か飛んできたな…」
チーノ「え?」
ザッ、ザッ、ザッ…
???「今の状況見たわ。」
???「あなた達、昨日に他人の家のドアと床を壊し地割れを起こしたでしょう」
チーノ「(一部濡れ衣着せられてるーー!!!)」
ファル「え、いやあの家は…」
???「言い訳を聞く時間は無いわ」
ファル「あ”?」
ファル「(!急激に身体が重く…)」
チーノ「うわぁぁ、落ちるーー!!」
ファル「砂嵐!」
???「(濃い砂塵…?目くらまし位なら別に)」
ファル「ドラゴンテール!」
???「! 裏をとられ…」
尾の一撃を食らわせ、ダメージこそ少ないもののかなり遠くに遠くに飛ばす。
チーノ「ま、撒いた?今の誰?」
ファル「知らん」
チーノ「昨日のと同じ連中?」
ファル「知らん」
チーノ「それとも別の連中?」
ファル「知らん」
チーノ「真面目に答えてよ…」
ファル「分かんねぇから言ってんだろ、昨日のズルズキンはギガシンカしてきたからギガグループって分かるけど今のはしてこなかったから分かんねぇよ」
チーノ「はぁ…」
ファル「さっきの仲間が来るかもしれないから早く行くぞ、さっきの奴に関しちゃあれを気にしてる暇はない。多分ああ言うのが山程来るから」
チーノ「(帰りたい…)」
???「…っ…飛ばされた…あの竜はしぶとそうね…」
?? 「お?これはこれはピアニじゃん、まさかまさか任務失敗?」
ピアニ「っるっさいわね…パトロールしてたら怪しい奴が居ただけよ」
?? 「その怪しい奴を捕らえられなかったんだね!!!!!」
ピアニ「黙れ殺すぞ…」
ピアニ「…あっ!?どこ行くのよ、シモ!」
シモ 「隊員探しだよ、只のね」
ファル「…お」
チーノ「森の中に一晩過ごせそうな洞穴だ!そばに滝もある!」
ファル「もう夕方だしここで眠るか」
チーノ「そうだね、おやす……」
チーノ「…この音なに?」
そばの滝からバシャバシャと粗く音が聞こえる。
ファル「知らね。ふぁ~あ、俺は寝るぞ…」
しかし、チーノは走りだし洞穴から出る。
『あばばばばばああばば!!』
チーノ「!! ファル!子供が溺れてるよ!!」
チーノ「ファル!? あぁ、もう寝てる!!」
滝が流れている大きな湖でマホミルが溺れている。
チーノ「ちょ、こ、これ掴まって!」
木のツルを湖に投げる。
チーノ「よっこらせ…!」
マホミル「ぷはぁ!溶けるかと思った!」
マホミルは無事湖から出れたようだ。
マホミル「ありがとスカーフの人!」
チーノ「いいよいいよ、無事だったら」
チーノ「おうち帰るまでついてくよ!」
マホミル「家…あっ」
マホミル「ここ…どこだろう」
チーノ「え?」
チーノ「ファル!起きて!」
ファル「う~ん…まだ夜中だぞ…寝かせろ…すやすや…」
チーノ「えい」
ファル「痛!?」
チーノはファルに強烈なチョップを食らわせる。
ファル「だーかーらーなんでこんな夜中に起きなくちゃ…」
チーノ「この子が迷子になっちゃったらしくて…」
マホミルに目をやる。
チーノ「だから飛んで家を探してほしいの!ね?」
ファル「夜中に子供の家探し~?いいから寝かせろ…痛!!チョップやめろ!!」
チーノ「じゃ、おうち探そっか!」
マホミル「めんぼくない…」
ファル「大体なんでこんな夜中に迷子になったんだ?」
寝ぼけているファルが飛びながら話す。
マホミル「夕方に遊びに行こうとしたら凶暴な野生のポケモンに襲われて…」
ファル「野生のポケモンねぇ」
チーノ「逃げてる間に夜になっちゃったんだ?」
マホミル「うん」
マホミル「あ、ここらへん見覚えある!」
巨大な岩を指さす。
チーノ「じゃあ家はもうそろそろ近いかな?」
マホミル「うん」
マホミル「いつもおうちに帰る時間が遅いとママに叱られるんだ…きょうも怒られちゃうかなぁ、ママすっごく過保護だからうざいの」
チーノ「ふふ、でも優しいお母さんなんだね!」
マホミル「え?ま、まぁ…」
チーノ「いいな~」
マホミル「???」
ヒュウゥゥ…ドスン!
ファル「ん?なんか岩が下から飛んできた…」
チーノ「え?」
ドリュウズ「あ”あ”?おめぇら人のナワバリで何やっとんじゃ…2秒以内に消えろ、ここは俺の縄張りだぁァアア!!!」
マホミル「で、でたぁぁぁ!!」
ファル「ドリュウズにしちゃ大きくねぇかこいつ?」
チーノ「このポケモンがマホミルちゃんを追いかけてたやつ?」
だがマホミルは全てを完全に諦めており、「無念…」やら「神様助けて…」などと呟いていて何も聞く耳を持たない。
チーノ「だめだこりゃ」
ファル「いいかげん寝かせてくr…」
ドスン!!
ドリュウズ「ぐ…はっ」
マホミル「!?」
チーノ「ファ、ファルはなんもしてないよね?」
ファル「してない。誰だあいつ」
チーノ「あいつ?……あっ、倒れたドリュウズの上に誰か立ってる!」
??「ふぅ…」
シモ「君たちが今朝ピアニに会った人?」
次 回 予 告 ‼
チーノ「それでは英語の授業をはじめます」
チーノ「発音練習です、”i like robots”と言ってみてください」
ファル「ロバートって誰?」
チーノ「ロボットだよ…」
ファル「発音が分かりにくいわ!」
チーノ「知らないよ! 次回第3話『インファイター』‼ お楽しみに‼」
ファル「大体なんでこんな英語ってややこしいんだ!」
チーノ「どの言語も変わらないでしょ…」
終