テラーノベル
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月もなくて真っ暗な深夜。とある町に新築の一軒家が建っていた。この家は作ったばかりで、新田家が買い取ったものだ。
その家のリビングで、一人の少年が声を上げながら泣いていた。その周りには血を流した父と母が倒れており、床は真っ赤に染まっていた。
少年の服も赤黒いシミがつき、様子を見にきた時についたのだろう。まさか少年が殺したわけでないはずだ。その現場に凶器がないからだ。犯人が捨てたか家にとっているのかの二択だ。
少年は警察に保護されて事情聴取をしたが、あまりにも衝撃的すぎて言葉が震えていた。これでは話すどころの話ではない。
彼は大人になって働いてからも、その衝撃は忘れていなかった。16歳ももう立派な大人だ。普通は高校に通う年齢なのだが、お金の面で通うことはせずバイトをしていた。中学の時は通えていたが、金が尽きて難しくなったから中卒だ。
今コンビニバイトをしており、レジ係をしている。顔が眉目秀麗で子供っぽいせいか、よくおじさんに絡まれてしまう。体を売ったこともあったが、お金はたくさん手に入るが長続きせずやめてしまう。もうすでにそれで稼いだお金はそこを尽きており、すでに生きていくので精一杯。金が降ってくればと思いながら働いていた。
通帳を見れば残り残高は10,000円。貯金はほとんどしていないので、働いても働いてもたまって行かない。家賃と生活費、食費と税金を全て払えば、わずかな給料しか得られない。なんて世知辛い人生なのだろうか。一人で生きていくのはこんなに大変なんだと思い知らされた。
「お金欲しいなぁ……」
そう呟いて歩いていたら、黒いスーツを着た男とぶつかってしまう。
「す、すみません」
小さな声で謝ってその場から逃げようとしたら、声をかけられてしまう。振り返ると、そこには立派な口髭をした目の細い男が立っていた。すらっとした体格が特徴的だ。
「ふふふ、お金が欲しいのですね。仕事をしませんか?たくさん稼げますよ?」
そう言われて胡散臭いと感じてしまう。たくさん稼ぐ仕事をしたことがある身としては、反射的に身震いする。
お金が高ければ高いほど、代償が重いのだ。その代償が体なのか、あるいはお金なのか。それは仕事内容による。
「一ヶ月何円ですか?」
僕は恐る恐るその男に聞いてみた。すると「100万円」と言われた。こんな大金を稼ぐとなれば、代償は凄まじいものだろうと予想がつく。ますます逃げたくなってしまう。
踵を返して逃げようとしても、男はずっとついてくる。走っても歩いても同じスピードで追いかけてくる。僕は怖くなってしまった。逃げきれないんじゃないかと不安になる。こうなればもう諦めて降参することにした。
「分かりました。引き受けましょう」
僕がそういうと、男はニンマリとした笑みを浮かべて羽織っていたマントを横に開く。するとマントにはぐるぐると渦を巻く穴があり、誘われる。
「ささ、ここからお入りください」
「え、ここに入るの?」
突然のことに驚愕すると、男はコクコクと頷く。どうやらここが仕事場の入り口のようだ。一体どんな仕事をするのだろうか。目が回ってくる。フラフラして立てなくなりそうだ。貧血かもしれない。
その場で倒れこむと、男が近づき穴は無理やり押し込まれた。そのまま渦の中に入り、落下していく。一体どんな世界が待っているのだろうか。
真っ暗の中でひたすら考えた。
どれくらいか真っ暗闇が続き、光が見えてきた。その光を潜り抜けると、腕が固定されているのか身動きが取れない。
目を開けると、口にはガムテープをしてあり目の前には血で濡れたナイフを持った殺人鬼が立っていた。真っ暗で顔は見えないが、口だけは見える。八重歯が特徴的なことくらいしかわからない。
下を見ると、死体の山が落ちていた。全ての体から内臓が取られており、空洞。隣にいた女が悲鳴を上げながら、男から襲撃を受けている。ここから助かれってことか?そんなことできるわけない。
必死に鎖を取ろうとしたが取れない。次は自分の番だ。
「んんっ……んん……」
叫び声を上げるが息がしにくい。このままでは死んでしまう。今女の内臓をくり抜いているところで、見るだけで鳥肌が立ってしまう。死にたくない。
目から涙をこぼして絶望していたら、男がこちらにやってきた。体全体は真っ赤に染まり、血溜まりを足で擦りながらやって来る。身震いがしてきた。このままでは、あのナイフで殺されて。
首を振りながら絶望的な気持ちになっていたら、顎を触られていることに気づく。一体どういうことだろうか。早く殺さないのだろうか。死にたくはないけど、違和感を感じてしまう。
「ふふ、君好みだな。殺すのは辞めてあげるよ。可愛いね、君」
そう優しい声で言われて目を丸くする。なぜか殺そうとしない男に目を見開き、うーうー唸る。殺されることはなかったが、そのままにさせられるのも嫌である。
それを察したのか、男は口に貼ってあったガムテープを剥がしキスしてきた。いきなりのことに嗚咽を漏らしたくなった。気持ち悪い。見知らぬおっさんのキスなんて最悪だ。吐きそうになる。しかも殺人鬼にだ。ありえない。僕は殺人鬼が大嫌いなのに。
#かごめかごめ
桜城優衣🌸
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サム&主主
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#参加自由
重田💋(omoda)
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コメント
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わあ……第1話からすごい衝撃でした。父母を失った悲しみを抱えて生きてきた少年が、また新たな闇に飲み込まれそうになっていて、読んでいて息が詰まるようでした。「お金が欲しい」という素朴な願いが、こんな恐ろしい世界に繋がるなんて……。ラストの男の異常な執着、背筋が凍りました。続きが気になります。