fjsw side
(ピリリリ ピリリリ)
アラームの音と、カーテンの隙間から差し込む光で目が覚める。
「…んん…」
ゆっくり身体を起こし、スマホのアラームを止めてそのまま今日の予定を確認した。
“10時から○○で○○○のレコーディング”
─ 10時に○○…
スマホの時計を見る。
“9時”
─ 10時に○○かぁ。今は〜、9時…く、9時?!!
この家からレコーディングスタジオまでは電車で約40分。大寝坊だ。
すぐにベッドから飛び起きる。
(ズキンッ)
「い”った…!!」
割れるような激痛が頭に走った。
そして床にうずくまると同時に
「お”ェっ…ぅ”…」
吐き気もした。
右手で頭を押さえ、左手で口を押さえる。
一瞬目眩がし、何も理解できないまま「無理かも…」と床に寝転がりそうになった。
─ いやダメだ…行かなきゃ
流石にレコーディングという多数の関係者が協力してくれているものに迷惑をかけることは出来ない。
足に血が行っていないのか、血圧、血糖値が低いからかは分からないが、ほぼ足に感覚がなく、立ち上がるのも精一杯だった。
フラフラしながらも立ち上がり、壁によりかかりながら移動して準備をした。
血糖値が下がってるのは分かるが、食欲が無さすぎるのとご飯を食べている暇がないので、そのままご飯と電車を諦めてタクシーを呼ぶ。
数分後、タクシーが到着し、レコスタの場所を伝えながら乗り込んだ。
やっと一息つけると後部座席に 深く座る。
まだ足の感覚はほぼ無い。
自分で脈を測るとかなり薄かったし、手も小刻みに震え、呼吸もいつもよりしずらかった。
熱は無い。多分ストレスからの低血圧、そして最近仕事が忙しくご飯を食べれていないのでそこからの低血糖だろう。
タクシーの中で低血糖だと分かりながらもご飯食べなかった自分に嫌気がさしたが、あの場で何か食べる時間と、食べてもしそれを吐いてしまった時のタイムロスの方が嫌だった。
スタジオにはいつも食べ物が何かしら置いてあるし、申し訳ないけどそれでいいだろう。
─ 大丈夫、大丈夫。弾くだけだから。練習したでしょ僕、大丈夫だよ。
心の中で自分に暗示をかける。
少しぼーっとしている間にレコーディングスタジオに着いた。
到着時間は10時ぴったり。
僕がよくやる早い入りはできなかったけど、来れただけでも十分だ。
どうにか歩いてみんなが待ってるレコーディング部屋まで来た。
扉の前で深呼吸をして笑顔を作り出す。
「ふー…」
扉を思い切り開ける。
(ガチャッ)
(ゴンッッ)
─ 「ゴン」??
omr「いっってぇぇぇぇえ⤴︎︎︎!!!!!」
wki「wwwwwwwww」
扉を開けて視界に映ったのは、複数人の見慣れたスタッフ、おでこに手を当てて目の前でうずくまりお得意の高音で叫ぶ元貴と、それを指さして少し奥で爆笑してる若井だった。
「えっ、え??」
何が起きているか理解出来ず、とりあえず部屋に入って扉を閉め、うずくまって痛がる元貴を心配してしゃがんだ。
元貴の頬を両手で包むと、半泣きの元貴が目をぎゅっとつむったまま少しおでこを赤くして顔をあげた。
「え、なに、何が起きたの今、w」
元貴の高音叫びと痛がり方に少し笑いながら慌てて聞くと
wki「いやwなんか、 涼ちゃんが珍しく来るの遅かったから、心配してちょっと外見に行こうってなって扉に近づいたら…」
そう言って目線を元貴に移して「ねっ」みたいな顔をする若井。
きっとその瞬間に僕が扉を勢いよく開いて、扉の前に居た元貴にぶつかったのだろう。
wki「涼ちゃん全然電話取らないんだもん、既読だってつかないし…」
「えっ、嘘!」
ポケットからスマホを出して確認する。
─ うわっ、ほんとだ。凄い来てた…
2桁数の通知があった。
最近は睡眠もあまり取れていないので、出来るだけ取れるようにしようとスマホを消音モードにしていたのだ。
「ごめん、消音にしてて…気付かなかった、!」
そう伝えると、「まあ来てくれたから全然いいよ」と若井が笑って答えた。僕が「優男〜」と言うと若井は「だろ〜!」と自信満々に言う。
若井と話している間にいつのまにか僕に抱きついていた元貴が「えーん」と嘘泣きをしてきたので抱き返して「ごめんね」と謝りながら
「遅刻してごめん、ちょっと道が混んでて…スタッフさん達にも、遅れてすいませんでした…」
と若井と元貴とスタッフさん達に嘘と謝罪を伝える。スタッフさん達は「全然大丈夫だよ〜」 と優しく許してくれた。
僕の胸の中で蹲る元貴の表情が「泣」から「?」に変わる。
omr「あれっ?今日は電車じゃなかったの?」
─ やべ
「ん?う、うん!実はちょっとだけ寝坊しちゃいまして〜…」
えへへと笑って誤魔化す。
omr「それもそれで珍しいな」
wki「大丈夫?涼ちゃん」
「うん!全然大丈夫だよ〜」
引き攣る笑顔をひらひらと両手を振って誤魔化すと、「ならいいけど、」と言いながら元貴が立ち上がり、次に僕も立たせようと元貴のこちらに伸ばす手を掴んで立ち上がろうとした。
「おわっ!」
立ち上がった瞬間一瞬頭がクラっときて、元貴の方に少し倒れそうになる。
幸い元貴が身体を支えてくれて倒れはしなかった。
omr「涼ちゃん?!ほんとに大丈夫??」
「ごめん…急いで来たから疲れたのかも。ちょっと足絡まっただけ、!!」
そう言って笑って顔を上げると、不安そうに真っ直ぐこちらを見つめる元貴と、少し奥から何故か少し怒っているような顔で近寄ってくる若井が見えた。
自然の流れのように元貴と繋いでいた手が近づいてきた若井に移り、そのまま若井に支えられながらソファに座った。
言う事を聞かない視界のブレの中、僕の手が元貴から若井に移った時、エスコートのように体が密着していて若井の表情は見えなかったが、一瞬元貴が少し拗ねてるような怒っているような顔をしていた気がした。
─ あれれ…2人とも怒ってるかな…隠してるのバレた…?
少し心配になりながらも、3人ともソファに座りスタッフからの説明が始まった。
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\1話後記╱
りょつがどんどん辛そうになっていってますね…これからどうなっちゃうのか!!
体調悪くて意識レベルが低下してる時って視界ブレますよね…あれまじで酔う。
今回のりょつはまだJCSで意識レベル1ぐらいですね。
低血糖と分かりながらもご飯を食べなかったのは書いてる自分でもどうかと思いましたが、スタジオには色々あるからそう考えるのも無理は無いかなって。
まあこのままどんどん体調悪くなって行ったら食べられそうにもないですが…
匂わせはこのくらいにしておきます!
次回はこの回のおもりsideです。
ではまた次回!🙌🏻
コメントとハートお待ちしております🙈
コメント
8件
即フォロー案件 てとこでフォロー失礼します!
主さんめっちゃ詳しい…!すごいです!こういうのかけたらいいのになぁ…
文の書き方が上手すぎる…… 口調とかも似ていて何もかもが上手…! 続き楽しみにしてますっ!