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side元貴「んっ、」
頬に突き刺すような冷気で、目が覚める。
スマホのロック画面の時計を見ると、11時で窓の外では、フワフワと粉雪が舞っていた。
腕の中にはまだ愛おしい人が居て、綺麗な目尻には涙の跡があった。
その、目尻がピクンと動き、瞼がゆっくりと重たそうに開いていく。
「おはよ。」
と、声を掛けると涼ちゃんの身体が腕の中でピクッと震えて、こちらに目を向けたかと思えば、俺の腕の中から、スルリと抜け出した。
「ご、ごめん、起こしちゃった?」
と、涼ちゃんが申し訳なさそうに俯きながら、離れ、ベッドから下りる。
「じゃ、朝ごはん作ってくるから、元貴はもうちょっと寝てなよ。ごめんね、邪魔しちゃったよね。」
”もうちょっと一緒に居たい”が、喉に引っかかって声にならない。
「うん、ありがと、涼ちゃん。」
すっかり覚めてしまった目を擦りながら、1人残されたベッドでスマホを弄りながら、昨日作った”タイトル未定”の曲について薄らと考えた。
きっと、あの曲は涼ちゃんへの俺の気持ちや、俺と涼ちゃんの関係をストレートに描いた曲。
”二人の世界”の曲なんだと思う。
そして、続きが思いつかなかったのはきっと、
「”二人の世界”がもうすぐ終わるから。」
なんだと思う。
俺自身も、涼ちゃんとの、これからの生活に想像がつかない。
”何処かで途切れる関係”だから、曲の続きも思い浮かばない、30秒で、止まったままで、動き出す様子も全くない。
昨日の生理的な涙の理由がやっと理解できた気がする。
右脳ではもう、ずっと前から気づいていたんだ。
でも、涼ちゃんを絶対に離したくない自分がいる。
だから、昨日、涼ちゃんを抱きしめてしまったんだと思う。
勿論、ずっと一緒に居るつもりだった。
「・・・元貴、ご飯できたけど、どうする、まだゆっくりしてる?」
「あっ、今日の収録2時からだから、まだ時間に余裕あるけど、、食欲ないとか、だったら別に無理に食べなくても大丈夫だからね。」
涼ちゃんが、凄く申し訳なさそうに俺に、気を使った選択をひたすら並べてくれる。
「ありがと、食べる、涼ちゃん優しいね。」
「あ、ありがと、、//」
俺がそう言って微笑むと、少し頬を赤らめて、”じゃあ支度できたらリビング来てねって”言って、廊下に消えてしまった。
こんな事言うのも、久しぶりだっけ。
短いなら、短いで、少しだけ距離を詰めてみたい。
涼ちゃんが、嫌がらない程度に、ゆっくり、ゆっくり。
そうすれば、曲の続きだって浮かぶかも知れない。
そんな淡い希望を浮かべながら、リビングに向かった。
to be continue…
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ちなみに、この物語は、ナハトムジークがリリースされる1年前の物語になっています。
※実際の人物とは全く関係ありません。