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side涼架今日は、12月22日、朝から音楽番組のクリスマス特番の撮影や、バラエティの撮影で忙しくて、あっという間に日が暮れ、暗い中、次の現場へ向かう。


移動中、車の窓の外を見ていると、自然と目に留まる、イルミネーションの淡い光やデートをしているカップル。

過ぎては去っていくクリスマスの風景を、”いいなぁ”なんて思いながら夢中になってみていると、

「涼ちゃん、イルミネーション綺麗だね。」

と、元貴が横から声をかけてくれる。

「うん。」

「いつか、ふたりで見に行きたいね。」

「うん。」

元貴は最近よく”いつか”の話を良くするようになった。

その話をする時の元貴の目は、いつも少しの不安と期待を宿していた。


バラエティの収録が始まり、元貴のスイッチがONになる。

いつも口数が少なくて、物静かな元貴は影も形もないくらい消え去り、普段の性格とは真反対の元貴が生まれる。

でも、ジッと元貴をみていると、カメラにも映らないくらいの些細な仕草や、表情から、今、元貴は疲れているのかもしれない、助けを求めているのかもしれないと思うことがある。

きっと、苦しいことは、元貴自身は気付いていない、、、いや、気付けて居ないんだと思う。

バラエティ番組に出演した帰りのバスは、特に窶れた顔をしているから、そう思ってしまうのかもしれない。

あくまでも、僕が勝手に考えているだけの根も葉もない妄想に近い想像だけど。


「も〜若井は本当にモテたんですよ 笑笑。」

いつもよりワントーン高くて、大きくハッキリした声がスタジオに響く。

「女子全員、若井のこと好きなんじゃないかってくらい笑。」

「も〜元貴それ言わなくていいじゃん 笑」

あ、やばい話、着いていけてない。

「ね、涼ちゃん?」

「あ、うん、本当そうだよね 笑。」

危なかった。

僕も集中しなきゃ。

元貴は、楽屋に帰るまで笑顔を絶やさなかった。

楽屋に入って少しした頃、元貴が はぁっ、と静かな溜息をつくのを見て、心がズキリとした。

その時、若井が元貴に何気なく話し掛けた

「ねぇ、元貴、前送ってくれた曲聴いたよ。」

「あ、うん、ありがと。」

「僕も聴いた。」

と、二人の会話に入る。

「曲の続きとか、案ある?」

と若井が元貴に問う。

「んーちょっと詰まっちゃって、いつかは完成させてリリースまでしたいけどね。」

若井が更に続ける。

「そうなんだ、いい意味でさ、色んな角度で受け取れるじゃん、あの曲って、だから、元貴はどんなイメージであの曲書いたのかなって気になってて。」

それは、僕も気になってたから聞きたい。

「”二人の世界”をイメージしたかも。」

「”一番近くにいるけど、一番遠く感じてしまう大切で、愛しい存在”への、想いを綴った曲かな。」

「なるほど、ありがとう。」

と、若井がメモを取りながら呟いた。


”一番近くにいるけど一番遠くに感じてしまう大切で、愛しい存在”


僕にとっての元貴のような存在。

元貴にとって僕はどんな存在なんだろう…恋人とか、友達とかじゃなくて、もっと具体的な何かで、答えが欲しい。


でも、答えなんてどこにもないから、考えれば考えるほど分からなくなって、また元貴と上手く関われなくなる。

そうやって、僕が埋めたいはずの元貴との溝を僕自身が深くしてしまっていることに気付いて、罪悪感を覚え始めた。


その罪悪感でさえ、また溝を深いものにすることも知らずに。


to be continue…


※涼ちゃんはONの元貴くんが嫌いな訳ではありません、ただ少し心配になっているだけです。


最後までお読み頂きありがとうございます!

長くなってしまいすみません💦

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