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私は普通の中学生名前はそら
第1話:『若返りの指先』
中学二年の神谷 そらは、どこにでもいる普通の子だった。
勉強はまあまあ、運動もそこそこ。
放課後は友達とコンビニに寄って帰る、そんな毎日。
でも――
その日、そらの人生は静かに変わった。
⸻
授業中、そらは突然、指先がじんじんと熱くなるのを感じた。
「なんだ…これ、しびれてる…?」
保健室に行こうと思い、立ち上がったとき。
机に手をついた瞬間――
ガタン!
古くてガタついていた机の脚が、
まるで新品みたいにピカピカに光り、
キュッと安定した形へと変わった。
クラスメイトがざわつく。
「え、なに…机、きれいになってない?」
「新品みたい…!誰か交換したの?」
そらは呆然と自分の手を見た。
指先から、**キラ…**と小さな光が消えていく。
⸻
怖くなって、そらは慌てて廊下へ出た。
掲示板の端がめくれているのを見つけ、
思わず手で押さえるように触れた。
紙は新品のように真っ白になり、角までピンと整った。
「……どうしよう。なんで、触るだけで……?」
そらの心臓はどくどくと速く打つ。
考えれば考えるほど、体が熱くなる。
もしこの力を人に触れたら…?
人はどうなるんだろう。
若返り…赤ちゃんとかに戻っちゃう?
そんなことになったら…!
恐怖と興奮が混ざって、頭がぐるぐるする。
⸻
放課後、帰り道。
そらは公園のベンチに座り、ため息をついた。
「こんな力、気のせいだよな…」
そっと、錆びたブランコの鎖に触れる。
ギィ……ピカァッ
錆は瞬く間に消え、鎖は新品同様の銀色に輝いた。
「……気のせいじゃ、ない。」
そらは両手を見つめた。
この手が、もう“普通”じゃないと理解した。
そして気づく。
自分が触れるものすべてを“若返らせる”能力。
それは、まだ始まったばかりの物語の入口だということに。