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心に咲く桜

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心に咲く桜

1 - 第1話

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2024年03月01日

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『桜が満開だよ。おらふくんと…一緒に見たかったな…』


〈危ないっつ‼︎〉

『おらふくんっ‼︎ねぇ、おらふくんってば‼︎目を覚ましてよ‼︎』

君は、目を閉じて、起きてくれない。

ただ、力が抜けて柔らかい手を握る事しかできなかった。

なんで自分のせいでおらふくんが死なないといけなかったのか。ボンネットと側面が凹んだ車、血がついた道路、ざわめいている野次馬、鳴り響くサイレンの音、そして血を流して苦しそうな君、どうしようもできずに崩れ落ちる自分。今でもはっきりと脳裏に浮かぶ。

世界は残酷だ。

君が死んでも世界は当たり前のように何も変わらないし、みんな何食わぬ顔して生活している。


君が死んでから…6ヶ月。今は桜が満開だ。遺影にお茶と近くの甘味処で買った和菓子を供え、手を合わせる。桜が満開だよ…俺は…今でも後悔してるんだ。おらふくんに守ってもらうべき人じゃない気がしてさ。だって、君のかけがえのない大切な命を俺に奪われたようなものなのに。

遺影の中の君は、いつも笑顔だ。でも、天国で泣いてないかな。

そっと桜の花びらを置いておく。


僕はおんりーを助けて死んでしまった。悔いはない。あの時、君が泣き崩れているのが聞こえて、うっすらと目を開けると、本当に君は悲しんでいたね。今でも、おんりーに会いたくて、会いに行っては泣いてしまう。泣かないって約束したのに。

〈おん…り…〉

『おらふくんっ…』

〈死んでもさ…っ…お互い、泣くのはやめよっ…〉

『うんっ…』

透明な身体になってしまった自分。おんりーに触れようとしても透けてしまう。桜…綺麗だな…手を伸ばす。すると、自分の身体が光り、思わず目を瞑る。


周りを見渡す。すると、そこは…僕が死んだ事故現場。

なんで?はっと横を見ると、おんりーがいる。

タイムリープ?いや、違う。

まさかの転生か…有名な映画でしか観た事がない光景だ。おんりーをこっそり追うと、横断歩道の近くのガードレールに花をたむける。

そして、手を合わせる。何を話してるのかはもうわからない。

咄嗟に声を掛けてしまう。

〈あっ…あのっ‼︎〉

『はい?』

〈ここでっ…何をしてるんですか?〉

『昔…僕の大切な友達が、僕を助けてくれたせいで…亡くなったんです。』

〈おらふくんが…ですね?〉

『なんで…知ってるんですか?』

〈まあ…僕と関わりがある、というか〉

前世がおらふくんだから、 なんですよね…〉

『…おらふくん?』

〈おんりーっ…〉

〈会いに…来たよ…〉

『おらふくんっ‼︎会いたかった…‼︎』

〈大好き…〉

『俺も幸せだよっ…』

〈あれ…腕が透けて…〉

『なんで…?』

〈僕はあっちの世界に戻らないとなのかも。〉

『俺のせいで死んだのに…嫌だっ…』

〈僕はおんりーのために、大切な人を守るために死ねるなら…命は惜しまない。〉

〈だから…さ、おんりーが僕の分まで…生きて…〉


おらふくん…俺のせいなのに…

君に笑顔で〈大切な人のためなら命は惜しまない〉

なんて言われたら…生きるしかないじゃん。

君の分まで生きるね。


疲れた。金曜。

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