テラーノベル
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数ヶ月後、ルーシーは1人、あの場所を訪れていた。あの激しかった戦いの痕跡は、まるでアバドンの存在ごと無かったかのように綺麗になっていた。戦っている時は気が付かなかったが、ここは海が一望できる、とても景色の良い場所だった。
「…綺麗だなぁ」
その声に答えるかのように、そよ風がルーシーの頬を撫でた。その風はどこか暖かく、記憶の無いはずのルーシーを懐かしく思わせた。
「…ねぇ父さん。あの後大変だったんだ。魔官署の連中が何度も取り調べしてくんの。しつこすぎじゃん?」
返事はない。 それでもルーシーは、困ったように息を吐いた。
「まあ、ちゃんと終わったけどさ」
少しだけ間を空けて、胸元の小さな包みを取り出す。 その中には、乾かないまま大切に持ってきたフリージアの花があった。
「これ、覚えてる?…何でか分かんないけど、この花が好きでさ、2人も好きだった気がしたんだ。あってるか?」
誰に向けたわけでもない問いかけ。
それでもルーシーは、迷いなくそれを地面へと置いた。 風が吹いて、花びらがわずかに揺れる。 まるで、答えたみたいに。 ルーシーはそれをしばらく見つめてから、そっと目を閉じた。
「じゃあね」
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ぎゃる
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