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渡会雲雀side
流石に家がバレるのは嫌で。
一人暮らしってバレたら、
家まで着いてきそうだから。
「じゃあ、俺こっちだから」
家まであと5分のところで、
家とは逆を指して別れる。
やっとの解放に肩の力が抜ける。
高校に入学して
半年が過ぎた時の席替えで
あの子とは席が隣になった。
クラスはまぁ今までよりかは過ごしやすかったし
不自由なく過ごしてたんだけど。
「雲雀くんって、好きな子いる?」
席が隣になって初めての会話がこれ。
なんなら初めて話した会話がこれ。
40人いるクラスだと、
話さないってやつも出てくるわけで。
その中の1人だった
その子からの質問に固まっていれば
「⋯あ、いるんだ?!」
なんて言われるから
「いねぇって⋯⋯」そう言えば
「じゃあ、私と付き合わない?」
なんて突然の告白。
ビビったよね。
だけどその時の俺は、
運命の人が現れれば
死なないってことを知ったばっかで。
俺の事好きになってくれるやつなんて
こいつ以外現れないかもしれないとか思って。
「⋯考えさせて」
なんて答えていた。
俺の事を好きになってくれたって、
俺がそいつを好きじゃないとダメだし。
それに運命の人⋯かどうかなんて分からなくて。
元々、俺の苦手な部類なやつだったから
後日丁寧にお断り。
⋯したのに、
そこから暇さえあれば月に何回も
「⋯好きな人いる?」
って聞いてくるようになって。
⋯よく諦めないよな。
なんて他人事のように考える。
半年、好きだよって言って貰えないのに
よく聞いてくるよね。
なんて考えていれば家に着いて、
誰もいない部屋に
「ただいま」
なんて挨拶をして、家の中に入る。
家を出て、1年。
何も言わずに出ていったけど、
親から心配されることも無かった。
1回、叔父さんが会いに行った時に
俺の事聞いたんだって。
そしたら
「あの子はいいのよ。普通じゃないから」
って答えたんだって。
なんかそんときに、全部嫌になったよね。
色が分からないのは普通じゃない。
そんなことはもう理解してるはずなのに、
1番寄り添って欲しかった家族に
「普通じゃない」
そう言われると
結構ダメージって受けるんだよね。
皆が、綺麗⋯って眺める花も絵も
全部俺には白黒にしか見えないから
綺麗なんて感情は無いし。
色のある世界を見たことないから
絵とか書いたって
色が気持ち悪いって言われるし。
つくづくこの病気を恨んだ。
しかも、治療法が運命の人に
出会うことって意味わかんなすぎる。
制服を脱いで、
部屋着に着替えてソファーに
ダイブすれば急に襲ってくる睡魔。
腰痛くなるな⋯なんて思いつつも
抵抗することなく目を閉じた。
次に目を覚ましたのは、
窓から入る夕陽が顔面に当たった時。
何もかもが、白と黒にしか見えない分
光を見ると他より眩しく感じるんだよね。
「⋯ん⋯寝すぎた⋯」
入学式が終わって帰ってきたのが⋯
昼過ぎだから⋯ざっと3時間くらい?
その3時間で、
ガチガチに固まった体をほぐそうと
起き上がれば
「・・・あ、起きた?」
なんているはずのない奴が目の前にいて、
俺を見てる。
「⋯なんでいんの⋯」
「あれ?携帯、見てない?連絡したけど」
そう言われて携帯を確認すれば、30分前に
【今から行くわ】
なんてメッセージが入ってた。
「⋯3時間寝てんだわ、俺」
「ははっ!まじ?寝すぎじゃね」
俺の目の前で、
独特な笑い方をするのはローレン
半年前、たまたま助けたのがローレンで。
それから2週間に1回は俺の家に来て、
飯を食べていく。
年齢は俺より3歳歳上の、20歳。
大学生らしい。
「⋯てか、鍵は?どうやって入った?」
付き合ってるわけでも、
家族でもないから合鍵なんて渡してないし。
「インターホンは押したんだけど
出てこねぇから、
試しに回してみたら開いた」
..いや、怖。
勝手に入ってくるローレンも怖いけど、
それ以上に
「俺、鍵閉めてなかった?」
そっちの方が怖い。
「気をつけた方がいいんじゃね?
てか、食う?これ」
そう言って立ち上がって
キッチンに置いてある袋から
スナック菓子を出してくる。
しかも、俺が好きなやつ。
それはもう、即答で
「食べる」
だよね。
ローテーブルにスナック菓子の袋を広げて
ローレンが見たいって言った映画を見る。
楽しそうに見てるその映画は、
バナナの妖精らしくて
黄色いキャラクターらしい。
ローレンにでさえ、
色が分からないことは言ってないから
最初にこれを見た時に調べたんだよね。
何色かって。
ガハハっと笑うローレンを横目に、
色が分かれば楽なのに。なんて思った。
#男主
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