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本気にさせたい恋

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本気にさせたい恋

47 - 第47話  誰にも渡さない⑤

2024年09月18日

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そして店を出て、二人でマンションに向かって帰ってる途中で。


「わかった?」


隣で歩く彼女に声をかける。


「えっ?何が?」

「だから。ちゃんとオレたち付き合ってるから」


きっとちゃんと言葉にしないと実感ないだろうから。

ってかそれでいいんだよね?

オレあなたの彼氏になっていいんだよね?


「あ、あぁ・・うん・・」

「なんか自信無さげだね」


だけど彼女はまだ頼りない返事。


「何が不安?」


ここまで言葉にしてもどうしてそんなにあなたは不安そうにしているの?

オレはあなたをこんなにも好きなのに。

どう言えばこの人はこのオレの気持ちを信じてくれるのだろう。


「何も心配することないよ。最初に言ったでしょ。オレを知ってくれたらわかるって」


オレのことを知っていってくれれば、あなたをどれほど好きなのか、どれほど大切に想ってるか、きっとわかるはずだから。


「うん。少しずつ樹のことわかっていってるから大丈夫。まさかここまでちゃんと考えてくれてるとは思わなかったけど」


なんとなくやっぱりオレが本気じゃないって思ってた感じかな。


「だからオレはいつでも本気だって言ってるでしょ。今はもう遊びで付き合えるほどオレ案外そんな器用じゃないから」


あなたが昔のオレの悪い噂をどれほど知ってるかは正直わからないけど。

それであなたがオレにどんな印象を持ってしまうか正直不安だけど。

でも今はオレはあなたに夢中だから。

あなた以外は考えられないから。

オレが本気で想うのはあなただけだから。

本気にさせたいのはただあなただけだから。


「透子は遊びじゃないから安心して」


だからオレにはもうそんなことしか言えないけど。

そう言って信じてもらうしかないけど。


「遊びだったら許さない」


そんなことあるはずないでしょ。

あんなにも好きだったあなたをようやく手に入れられたオレの努力も知ってほしいくらいなんだけど。


「会社で高嶺の花を射止めたこと自体オレすごいのに、遊びだなんて逆に強者すぎてオレ周りからボコボコにされるわ」


実際会社でそれ知られたら周りになんて言われるか。

誰も手に入れられないずっと高嶺の花で有名なあなたをオレが射止めただなんて、正直悪く言うヤツも納得しないヤツもいるだろうから。

先輩も上司も同僚も、会社で狙ってるヤツはごまんといる。

だけど誰にも渡したくなかった。

あなたは絶対オレが手に入れたかった。

他のヤツらみたいないい加減な気持ちなんかじゃない。

ただ綺麗だとか仕事が出来るとか、そんな薄っぺらい理由で彼女を狙ってモノにされたりしたらたまったもんじゃない。

オレはそんな理由では片付けられない、もっと深い深い想いがあって、オレには彼女しか絶対ダメだから。

彼女だけがオレを変えてくれた。

彼女だけがオレをこんな気持ちにさせてくれた。

オレには彼女しかいないから。


「・・・ん? 誰が?」


だけど、彼女は意外な反応を返して来て。


「ん?何が?」


え?それどういう反応?


「だから高嶺の花って何?誰の話?」

「え?何言ってんの? 透子に決まってんじゃん」

「・・・えっ??」


えっ、それマジの反応??

あんなに会社中で噂になって長年有名なのに、そんな話この人まったく気付いてないってこと?

マジで!?

どこまでこの人はそういう意識がないのか。

それとも天然??

いや、どちらにしても、そこは自己意識ないとか、ある意味それちょっと心配な気がしてならないんだけど。


「え? 透子自分で気付いてなかったの?」

「ちっとも」

「オレ入社した時から透子すでに高嶺の花で有名だったよ。透子はずっと社内のマドンナ的存在。いや、ていうか恐れ多くてそれ以上に皆思ってるんじゃない? だから手の出せない高嶺の花」


オレが偶然憧れた人は、実際入社したらすでに会社では高嶺の花で。

憧れて当然の人だった。

だけどそれだけ最初から高い壁があって、手に入れるのも難しい人だった。


「そんなの全然知らない・・・」

「まぁ透子今は女性が多い部署だし、男どもは周りにいないから特別そういう話も耳に入って来なかったのかもね。まぁでもオレの周りは男ども多いから、常にその話は有名な話だよ」


本人にしたらそこまで話が入ってなかったってことか。

まぁ確かに部署で男性社員と絡む機会も少なかったみたいだから、余計に野郎どもの恰好の的になってたってことだろうな。

オレにしたら同じように狙われていい迷惑だけど。


「でも今透子の周りに男がいないのはオレにとってはよかったけど」


ホントこれで普段周りにそういうヤツがいたらと思うとゾッとするわ。

改めて女子ばっかの部署でよかった。


「今、樹一緒にしてんじゃん」

「オレ以外ってこと。だからそんな高嶺の花の透子にオレ以外チョロチョロされたら困る」


正直ここぞとばかりに狙ってるヤツいるの知ってるし。

ただ仕事的に関わり少ないからチャンスがなかっただけ。

だからオレはそういう意味でもプロジェクトでリーダーにならなきゃダメだった。


これが他のヤツだったら?

同じようにこうやって彼女にちょっかい出してる可能性もあるってことだよな?

手早いヤツとかだったら見境なしに簡単に・・・。


うわぁぁ!! 想像するだけでマジでキツイ。

うん。オレよくやった。





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