痛い
モブ「グアァァッッ」
痛い
いつからだろう。
他人の痛みも感じるようになったのは。
ある日戦ってたら、相手の傷を見て、その同じ場所に痛みが走った。
家にある本を全て漁って調べたが何も情報はない。父上なら何か知っているかもしれない、そんな微かな希望を抱いて聞いてみた
「数ヶ月前から他人の痛みも感じるようになったんですが、、何かご存知ですか」
父上も、よく分からないらしいが、頂点になるための神からの試練だ。と言っていた。
頂点に立つための神からの試練
頂点……世界の……覇者……
それは確かに、昔からなりたいと思っていたものだった。
だから、神が試練をくださった。そんな風に思って過ごしていた。
この試練も乗り越えれば本当の頂点に輝ける、と信じていた
だが、症状は悪化するばかり。
かすり傷でも感じるようになり、深手の傷を見ると今まで以上に痛みを感じる。
本来の痛みなのかもしれないが、前のように戦いに集中する事が出来なくなってきていた。
ある日
一緒(近く)に戦っていた同盟を組んだうちの1人が深手を負って叫ぶ。
それと同時に、その傷口と同じ場所と喉が痛む。
困惑した。あいつの事なんざ見ていない。それなのに痛みが走った。それに、喉が痛むなんて初めてのことだった。
隙間時間さえあれば自分のこの症状 と向き合い、考え、あの日放った父上の言葉とも向き合った。
大戦も一先ず終わり、自分がいつ崩壊してもいいように、新しく国を作った。
数十年が経ち、自分は表から退け、息子が表に出るようになった。
もし自分のこの障害を息子が少しでも受け継いでたらどうしよう。
などとも考えていたが、特に自分のような症状は出ていないよう。
安心した
はずであった。
ある日、息子が帰ってきて自分にこう言った。
「低頻度ですが、他人の痛みを感じることがあるのですが…」
それを聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
遺伝していた。
最悪だ。
息子にそう言われた後、なんと答えたかは知らない。覚えていない。
ただ、頭の中には謝罪の言葉で埋め尽くされていた
結局、自分の症状は、神からの試練などではなくただの共感覚だと、後々息子が教えてくれた。
あいつの症状は悪化しなければいいんだが…
コメント
2件
これが誰か当ててみてください☺️カンヒュです。もっと言っちゃうと旧国です。後々答えだします。勘の良い人なら「世界の覇者」で分かりそうですね☺️((